Hōkūle‘a
イラスト by ショーン・エドガートン
Pataloha

マラマ・ホヌア
世界航海

「マラマ・ ホヌア(地球を大切に)」 とふさわしい名がつけられた、全長約19メートルのホクレア号のこの世界一周ミッションは 2013年からはじまり、2018年に完了する予定。

マラマ・ホヌア:
ホクレア——希望の航海

2014年5月にタヒチへ出航して以来、アフリカ、 オーストラリア、ニュージーランド、北アメリカ、南アメリカへと世界中をめぐりながら、持続可能性に対する国際的な認識を高めるというホクレア号の壮大なミッションを記録した美書。寄港地でのホクレアの体験記である本書は、航跡のない航路を導く航法の達人と乗組員の声、そして現代生活における環境的挑戦の数々を乗り越えるために努力を重ねながらホクレア号に心を動かされた科学者、教師、子供を含む地元の先駆者たちの声を織り交ぜ、ひとつの地球社会を築き上げることの必要性を語る。また互いを、そして自然の繊細かつ複雑なシステムを尊敬し、生態系のバランスを保つさまざまな方法で暮らしを営む先住民族固有の文化を紹介する。

ジェニファー・アレン著
写真:ジョン・ビルダーバック

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世界航海の開始にあたるヒロでの出航儀式中、レイを船首にかけるヒキアナリア号の乗組員のエルヴェ・マラエタアタ。パレカイ(「防波堤」または「海から防御すること」の意)での儀式は、旅立つホクレア号の乗組員を守り慈しむため、地元地域からの温かさとアロハによって行われた。
JOHN BILDERBACK

ホクレアよ永遠に
By ジェニファー・アレン&ジョン・ビルダーバック

風はなく、波は穏やかだ。双胴型航海カヌー「ホクレア」のまわりでさざ波を立てているのは、大きな円を描きながら子供たちが漕ぐパドルボードだけ。船首にはティリーフの花冠が掛けられ、帆は巻かれたままマストに結ばれている。ハワイの王のマントと同じ深紅に染められたこれらの帆は、強い風のなかでは15メートルにわたって広がる。

ホクレア号はすでに1週間ほど、ヒロの近くにある湧水の入り江パレカイに係留していた。商船、貨物コンテナ、石油タンクが溶岩石で囲まれた湾に並ぶなか、ホクレア号はまるで島のように、臆することなくしっかりと錨を下ろし、風が吹くのを待っている。

グレート・バリア・リーフを抜ける航路にてマカアラ(覚醒)の状態を保つ、 ポゥ航法師のナイノア・トンプソン。ポリネシア航海協会の代表でもあるナイノア船長 は、人生の半分以上におよぶ35 年間にわたってホクレア号の舵を取り、祖先の伝統 に習って星、風、月、波、鳥、魚を頼るべき指標としてきた。
JOHN BILDERBACK

正しい方向
By ナイノア・トンプソン

1975 年の進水以来この魔法のような船「ホクレア」の、地域と人びとを結び、刺激し、変える力を目撃してきました。そのデッキの上で太平洋の民は、それまで 600 年間も眠っていた天文航法、ウェイファインディング、遠洋航海のアートと科学をよみがえらせました。

ホクレア号で航海してきたこの 40 年間私たちが教えられてきたのは、過去を振り返りながら未来への期待を強め、祖先の技術と知恵と価値観を現在に活かし、私たちが暮らすこの地球という島をより明るい目的地へとかじ取りする手助けをするよう呼び掛けることでした。

マオリ族はニュージーランドをアオテアロアと呼び、その意味は「白雲が長くたなびく地」だ。マウント・タラナキ、ニュージーランド北島。
JOHN BILDERBACK

マラマ・ホヌア:ホクレアの希望の航海 パート3
ニュージーランド

By ジェニファー・アレン&ジョン・ビルダーバック

ホクレア号は世界航海をつづけながら、私たちの「地球島」をいたわる「マラマ・ホヌア」を実践する人びとの国際的なネットワークを紡ぐ。昨年の秋にはアオテアロアのワイタンギに上陸し、数百人に迎えられた。マオリ族はニュージーランドをアオテアロアと呼び、その意味は「白雲が長くたなびく地」だ。

太平洋の島々に最初に定住したポリネシア人の移動経路をたどりながら、ホクレア号がはじめてアオテアロアに航海したのは30年以上前のこと。1985年の上陸当時、壮大なカヌーが海を横断する姿に感銘を受けた地元のリーダーは、ハワイ人たちをニュージーランド最北の地、タイ・トケラウの第6部族と名づけた。

アメリカ領サモアのトゥトゥイラ島のレインメーカー・マウンテンをうっそうとした熱帯雨林が覆う。
JOHN BILDERBACK

マラマ・ホヌア:ホクレアの希望の航海 パート2
サモア

By ジェニファー・アレン&ジョン・ビルダーバック

島の食料と生活用品の90%を運ぶため、毎月約1,000ものコンテナが毎月入港するのだ。釣りや狩り、そしてタロイモやバナナやパンノキの実を収穫しながら育ったプアにとって、これは大きな懸念だ。プアはかつて港でスピアフィッシングをしていたが、いまでは沖の岩礁まで行かなければ魚は見つからない。彼は雨林で野ブタの狩猟もした男でもある。プアは島が比較的自立した持続可能な存在から、依存度の高い持続不可能なライフスタイルへと変換するのを、人生わずか50年のあいだに目の当たりにしてきた。

40年以上航海してきたホクレア号は、ポリネシア中の島のコミュニティで航海カヌーの再生を刺激してきた。
JOHN BILDERBACK

マラマ・ホヌア:ホクレアの希望の航海
By ジェニファー・アレン&ジョン・ビルダーバック

地球規模のオハナ(家族)の自覚こそが、地球の健康の鍵となる。アメリカ領サモアでオニヒトデ駆除の代替手段を探す若い海洋科学者、地震探査から海を守るために戦うマオリ族の首長、農薬やトラクターや燃料を使わずに地域社会に食料を提供する方法を学んだキューバの都市型農家など、ホクレア号の世界航海はマラマ・ホヌアに仕える一家族として私たちを結びつける、希望のストーリーを発見しつづけている。

ARTWORK BY SUMMER DALTON