社員をサーフィンに行かせよう — パタゴニア創業者の経営論

イヴォン・シュイナード著

パタゴニアの中核には、パタゴニアの創業者であるイヴォン・シュイナードがいる。彼は、フリース製のジャケット1枚を作ることによっても世界を救う。伝説的クライマーであり、サーファーであり、企業家、環境保護主義者、慈善家でもある彼が、独自の方法で導いた成功はあまりに有名です。

社員をサーフィンに行かせよう — パタゴニア創業者の経営論』(日本語訳:森摂。2007年3月1日東洋経済新報社発行。税込み¥1,890)は、イヴォン・シュイナードがその非凡なライフスタイルと仕事、そして彼が育て上げて、今やアメリカン・ビジネスの伝説となったパタゴニアについて語った『Let My People Go Surfing: The Education of a Reluctant Businessman』の邦訳版です。若くしてワールドクラスのクライマーとなったシュイナードは、早くから当時マーケットに出回っていた登山用具よりもはるかに高品質で、しかも岩へのダメージが少ないギアを製造できることに気付きました。シュイナードが鋳造するピトンの噂はすぐに広まり、仲間からの注文が殺到。ピトンの製造はいつの間にかビジネスとなっていました。それから40数年が経ち、シュイナードは今も世界の山々を登り続け、パタゴニアは優れたギアを作り続けています。今日パタゴニアは全世界で年間2億4千万ドルの売上を上げながら、シュイナードの勇敢なリーダーシップの下、その一部を非営利の草の根環境保護グループに寄付したり、コットン製品をすべてオーガニックコットン製に切り替えたり、製品にリサイクル素材を取り入れるなど、一貫して革新的な企業活動を続けています。

本書には、なぜ冒険家の精神を持ち続け、仕事と遊びと社会的義務を融合させることによって多大な成功を収められるのかという事実を示しながら、製品デザイン、製造工程、流通、ブランドイメージ、経営、管理、環境に対する責任についてのシュイナードの持論がまとめられています。パタゴニアは善良な市民による持続可能なビジネスの例証であり、同時にイヴォン・シュイナードは個々の人生そのものを偉大なる冒険にする可能性を実証しています。熱狂的なアウトドア愛好家から頑強な環境保護主義者、ビジネス関係者にいたるまで、本書は幅広い読者層にインスピレーションを与える感動的な回顧録であり、ビジネス・マニフェストです。

原本『Let My People Go Surfing』の扉ページに掲載した紹介文より
本書は、パタゴニア社の創業者/オーナーであり、伝説的なクライマーであり、ビジネスマンであり、そして環境活動家であるイヴォン・シュイナードによる待望の回顧録/マニフェストです。

アドベンチャー・スポーツ、環境問題、ブランド管理やビジネスの成功…、各々の分野においてパタゴニアは今日世界有数の注目すべき企業です。40年以上にわたりパタゴニアが築いてきた卓越したクオリティと独自の開発、さらに環境に対する責任感は他に類を見ません。これらすべてはパタゴニアの創業者イヴォン・シュイナードの哲学に端を発しています。

シュイナードの人生は、いまやアメリカン・ビジネスの伝説ともなっています。彼は幼少の頃、鍛冶屋を営むフランス系カナダ人の父親の下、英語もほとんどできず、また決して裕福ではないままに家族揃って南カリフォルニアに移住しました。10代になると山へクライミングに出かけ、20代前半には全米有数のクライマーとなり、各国の山々で歴史に残る初登攀を記録しました。そして当時一般的だったクライミングギアよりもクオリティの高いものを自分で作ることができると気付き、そして彼のクライミング仲間たちもそれに賛同すると、シュイナードのギアは急速に需要を増し、いつの間にかビジネスとして成り立っていました。それから40数年後、イヴォン・シュイナードはサーフィンに費やす時間の方が長くなったものの、今でも世界中の山々を登頂し、彼が創始したパタゴニアは革新的でクオリティの高い製品を作り続けています。全世界合わせると年間2億4千万ドルにおよぶ売上があり、それを使用して彼が人生を通して愛し、楽しんできた自然を保護するという目的に貢献しています。環境に与える影響を最小限に抑えるというシュイナードの決意により、パタゴニアはペットボトルを回収/リサイクルしてフリースを製造するようになり、1996年にはコットン製品をオーガニックコットンへ全面的に切り替え、毎年売上の1%以上を環境保護グループへ寄付しています。

イヴォン・シュイナードは本書の中で、彼自身について、パタゴニアについて、そしてパタゴニアの原動力となり持続させてきた核となる理念について語っています。これは単に成功したビジネスマンが片手間に善行を行ったり大冒険をしたりする話しではありません。善行を行い、冒険そのものをビジネス・ライフの中心に持ち込み、その結果としてのビジネスの成功を楽しんだ男の物語です。本書は、過去40年の間、なぜパタゴニアがアメリカのビジネスとしてほかに類を見ない影響力を持ち、イヴォン・シュイナードが奮起を促すほかに類を見ないリーダーであるのかを教えてくれます。

『Let My People Go Surfing: The Education of a Reluctant Businessman』よりPenguin Group (USA) Inc.所属The Penguin Pressの許可を得て翻訳/転載しています。©Yvon Chouinard, 2005

推薦
本書は経営者が悩む「会社は誰のものか」という疑問にまったく新しい解をもたらす素晴らしい経営論である。「健康な地球がなければ、株主も顧客も、社員も存在しない」という言葉は、経営の最上位にある命題は何かを明確に示唆している。ビジネスは地球環境に対して責任があると主張するイヴォン氏は「let my people go surfing」という言葉で、正しい行いこそが永続して利益を生むビジネスになるということを我々に指し示している。

帝人株式会社 代表取締役CEO 長島 徹

『社員をサーフィンに行かせよう — パタゴニア創業者の経営論』カバー帯より、東洋経済新報社の許可を得て転載しています。

著者

イヴォン・シュイナードはカリフォルニア州ベンチュラに本拠を置くパタゴニアの創業者であり、オーナーである。1950年代後半にロッククライミングのギアをデザイン、製造、販売してビジネスを始めた。彼が作った改良型アイスアックスはフレンチ・アイスクライミング・テクニックを促進し、現代のアイスアックスの原型となった。1964年、謄写版で印刷した1ページだけのメールオーダーカタログを発行。カタログにはクライミングシーズン中の発送の遅れがあらかじめうたわれていた。2001年、Yellowstone's Blue Ribbon Fliesのオーナー、クレイグ・マシューズと売上の1%以上を数々の草の根環境保護グループに寄付する「1% For The Planet」を創設。