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瑪瑙山に向かうトレイルにつながる戸隠イースタンキャンプ場
瑪瑙山に向かうトレイルにつながる戸隠イースタンキャンプ場

社員による社員のためのトレイルランニング・キャンプ

2010/12/16 2010年12月16日
瑪瑙山に向かうトレイルにつながる戸隠イースタンキャンプ場
瑪瑙山に向かうトレイルにつながる戸隠イースタンキャンプ場

パタゴニア日本支社では社員同士がアウトドアスポーツやアクティビティを楽しめる企画を社内で募り、その資金の一部を会社が補助するプログラムを設けています。これまでに北八ヶ岳でのスノーキャンプ、伊豆でのサーフキャンプ、丹沢でのフライフィッシング、屋久島の縦走トレッキングなどが実施されました。そして本格的な秋のはじまりの11月、環境部門の篠健司による長野県斑尾高原でのトレイルランニング企画、「トレイルキャンプ2010秋」が行われました。

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「斑尾エリアは初雪こそガツンと降りましたが、いまは穏やかです。天気が良ければ、いつまでも走っていられるようなコンディションです」との一報が長野県飯山市の知人から届いた。信州北部の山々はすでに紅葉の見頃も終わり、平日にはトレイルに入る人も少ないだろう。落ち葉が積もったふかふかのトレイルが足へのクッションとなり、信越五岳トレイルランニングレースが開催された9月中旬にはまだ葉が茂っていた森も、また違う景色を見せてくれるはずだ。気温も下がり、雪が降るなかを走ることができるかもしれない。最高のコンディションを想像するだけで自然と笑みがこぼれてきた。1週間後には同僚10名と戸隠、斑尾での3日間のトレイルランニングに向かうのだ。

この企画は3年前にパタゴニア・アンバサダーの石川弘樹氏に誘われて参加したカリフォルニアのトレイルランニング・イベントからヒントを得た。合計129マイル(206キロ)を、初日の7マイルからはじまり、2日目50マイル、3日目40マイル、4日目32マイルまで、毎日異なったトレイルを参加者が各自のペースで走りきる。ただし自分のレベルや調子によっては距離を短くしたり、休んだりすることもでき、実際に私の走行距離は4日間で100マイルほどだった。夜はボーリング大会やパーティ、最終日には仮装ランなど愉快なプログラムも用意され、このスポーツを本当に楽しむことができたイベントだった。2009年のウルトラトレイル・ド・モンブランや今年の信越五岳トレイルランニングレース女子の部で優勝したパタゴニア・アンバサダーのクリッシー・モールも、最終日の32マイルをキャラクターの帽子をかぶって走った。この経験から、アウトドアスポーツとしてのトレイルランニングの本質を追及しながらも、楽しめるプログラムを意図した企画を作った。

斑尾山への登山口に向かう林道から望む野尻湖と信越の山々
斑尾山への登山口に向かう林道から望む野尻湖と信越の山々

全員が集合する2日前、一緒にこの企画をサポートしてくれるダイレクトセールス部の八木くんと私は先に現地入りし、分担して全長100キロのコースを試走した。集団ではなく各自が自分のペースで走るため、2日目の50キロについては細かくマーキングを行った。またすべての荷物を持って走らなくてもいいよう、コース上2か所に各自が必要な補給食をデポできるクーラーボックスと給水用のウォータージャグを無人エイドステーションとして設置することにした。

そして当日、参加者たちが戸隠神社の中社に集合。すでに雪が舞いはじめてはいたが、昼食を取ってから出発するころには適度なアップダウンのつづくトレイルをうっすらと雪が覆い、カラマツの落ち葉をいっそう際立たせていた。トレイルに敷き詰められたゴールドカーペットの上を走るような感覚で、瑪瑙(めのう)山を登りはじめるころには完全に雪山のようなコンディションになっていた。トレイルは葉が茂るも雪の重さで頭をたれた低木で塞がれ、ガスが覆って気温も下がりはじめた。私たちは予定を変更して早々に下山することにした。

翌日は10月初旬に開催された斑尾フォレストトレイル50キロのコースを逆走することにした。前半でリタイヤしても毛無山や袴岳の美しいブナの森のトレイルを満喫することができる。早朝は昨日よりもさらに雪が積もっていたが、この日の午前中だけ一緒に走ることになっていたアンバサダーの石川氏が「すごくいい条件じゃないですか!」とひと言。参加者のほとんどにとってスノーランははじめての経験だったが、湿気が少なくほどよく締まった雪が最高の条件を整え、無雪期のトレイルとはまた違った魅力のあるランとなった。

斑尾・大池から続く落ち葉がふかふかのトレイル。写真:篠 健司
斑尾・大池から続く落ち葉がふかふかのトレイル。写真:篠 健司

そして最終日はカリフォルニアのイベントを真似て思い思いに仮装し、ミズナラなどの落ち葉がつくったふかふかのトレイルや、カラマツの葉がきらきら光りながら降ってくる林道など、2日目に走り残したコースを楽しんだ。その後は斑尾山まで登り、雪のゲレンデを一挙に駆け下りるコース。その気持ちよさに皆雄叫びを上げつづけたが、それがドングリの凶作により人里にも出てくることが多かったクマたちへの合図になったのはいうまでもないだろう。

私たちはこの3日間で約80キロのトレイルを走り、アウトドア・アクティビティを楽しんだ。そして同時に楽しみながらも、ウェアの選択やレイヤリング方法、あるいはフィールド情報といった日々の業務に活かせる経験ができた。「人生の達人とは、仕事と遊びの区別も、労働時間と余暇、心と体、教育と娯楽の区別もつけない。両者の違いがわからないのだ。何をするのであろうとひたすら至高の状態を求め、仕事か遊びかの判断は他人に委ねている。本人にしてみれば、常に両方を行なっているようなものだ」 これはパタゴニアの創業者であるイヴォン・シュイナードの著書「社員をサーフィンに行かせよう」のなかで引用されている、19世紀のフランスの政治家/詩人のフランソワ・オーギュスト・ルネ・シャトーブリアンの言葉である。

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