クリーネストライン


インスピレーションを得た瞬間。写真: Streufert Archives
インスピレーションを得た瞬間。写真: Streufert Archives

ザ・ホバーボード

2011/02/07 2011年2月7日
ザ・ホバーボード

数週間前にストゥルーが空いた時間を使って作ったサーフボードの写真をFlickrに投稿しました。その反響がすごかったので、ドクター・ストゥルーケンスタインとQ&Aをすることにしました。今回のインタビューは、この山あり谷ありのマジック・ボードの開発から試乗にいたるまで、3週間にわたって行われました。

ホバーボードをつくるきっかけは?
レイアード・ハミルトンがこのプロジェクトのひらめきだよ。僕がはじめてあのフォイルを見たのは映画『レイアード』。彼はマウイのジョーズのビッグウェーブでトウインをしていたんだ。その瞬間にペリカンが波の数インチ上をグライドしていく様子を連想した僕は、自分もやってみたいと思ったんだ。

レイアードが使っているフォイルはエアー・チェアが原点になっている。YouTubeで「air chair」と「Geno(ジーノ)」という名前の男を検索して、このエアー・チェアが一体どんなものなのか、チェックしてみるといいよ。

そのボードはトウイン用にしたかったのかい?
しなかった。トウインではなく、パドリングで乗れるかどうか、試してみたかったんだ。それに、ストラップも使いたくなかったしね。

なぜ自分で作ってみようと思ったの?どうやって着手したんだい?
エアー・チェアの値段は1,200ドル〜1,500ドル(10万円〜13万円)で、僕には高すぎたから、自分の手で作ってみようと思ったんだ。

サミートゥルー・アメスの18インチのウェッジフィンを持ってきたんだ。これにはちょっとおもしろいボックスがついているんだけど、この型はもう作られてないから見つからなかった。だから、まずは木でボックスを作って、そのボックスにはまるようにフィンを作った。そこから、ボックスをボードにグラッシングでつけたんだ。

どうやってフォイルを組み立てたんだい?
翼の部分はじつは船外機用のエンジンのうしろにつけるハイドロフォイルなんだ。サムの指導でまずはフィンパネルを取りつけてから、ボディと尾翼を切りはずした。それから、ボディと尾翼をエアロダイナミック(空気力学的)に形作ったんだ。ウェッジフィンをボディに差し込んで、そこを樹脂がけして、カーボンファイバーで強化した。そして主翼はボディに付属のボルトでつけたんだ。

ザ・ホバーボード

インスピレーションを得た瞬間。Photo:  Streufert Archives

コンセプトからプロトタイプにいたるまで、どのくらいの時間がかかったんだろう?
8か月ぐらいかな、なんせフレッチのボードを作るのが本当に忙しいからね。少しずつ手をつけながら、でも途中で赤ん坊が産まれたりして、数か月手をつけられなかったりもしたし。

ザ・ホバーボード

初期のプロトタイプ。Photo: Streufert Archives

そして、やっと試乗したときの乗り心地は?
かなりひどいワイプアウトを何回かしたあと、なんとか操れるようになったよ。ピンと張ったロープの上を歩きながら波に乗っているような感じだった。めちゃくちゃ敏感で、コントロールするのに微調整が必要なんだ。

最初のデザインは実際うまくいったんだけど、スピンアウトしないように尾翼にスタビリティフィンを樹脂づけしようとしているところ。

それで、パドリングでそのボードに乗って、浮かせることはできるんだよね?ストラップなしで?
そう、フットストラップなしで、パドリングだけで乗ることが可能なんだ。

浮いている状態でコントロールはできる?
それがなんと、できるんだよ。まずは真っすぐなラインを描きはじめて、それからゆっくりと後ろ足に体重をのせていく。そうすると飛行機がテイクオフするように浮いていくんだ。前に体重をかければ着水する。最初に言ったように、これはものすごく敏感で、簡単ではないんだ。体重をかけすぎると、ボードは水から飛び出していってしまうからね。

将来サーファーもジーノのようなすごいエアーを決めることができると思うよ。でもまずは、もう少し真っすぐのラインで浮かす練習をしないといけないな。日が暮れる前に何本か乗れたし、かなり慣れてきた。みんな僕のやっていることに驚いていたよ。

このボードを見て、みんなどんな反応をするんだい?
僕がこれにチャレンジしているおもな理由は、トウインのために臭いジェットスキーやフットストラップを使わずに、パドリングのみで浮かせることが可能かを確かめるためなんだ。みんながそんなこと不可能だって思ってるなかで可能にさせた、ということにかなり興奮している。それに、僕がもしかしたらはじめて人力でハイドロフォイル・サーフィンを成功させたかもしれないなんて、かっこいいじゃないか。海である人に言われたんだ。キリストが浮上しているように見えたって。おもしろいだろ?

**編集後記:この時点で、このホバーボードにある「事故」が起きたことを耳にする。

フォイルをなくした日のことについて少し話してもらえる?
ああ、その前の日の波はかなり良かったんだ。僕はほれた波でこのボードを試していたんだけど、乗る度にリップに持ち上げられて、そのまま放り投げられていた。チューブではこのボードは無理ってだってことが分かった。オープンフェイスな波で浮く物なんだと。だから、例の悲劇的な「飛行機事故」の前夜、尾翼の下に小さなフィンをもう2つつけて、ボードがスピンアウトしないようにしたんだ。いうまでもなく僕はこのボードがどう反応するのか、楽しみにしていた。

次の朝、サイズは落ちていたけど人は増えていた。みんな前日がとてもいい日だったって聞いていたからね。そして波待ちしながら、なんで僕はここにいるんだろう、なんて思いはじめていた。あと少しで1本も乗らずに岸へパドルして、仕事に戻るところだったんだけど、そのときやっといい波をつかんだ。そしてダウン・ザ・ラインを描きながら、テイクオフした。

普通は浮上しすぎると、自然と水面までボードを引き戻されるんだけど、この波では完璧な高さを見つけて、その高さで維持したんだ。張ったロープの上を歩いているようにね。もう少しでその波の最後まで浮上したままの状態だった。インサイドまでくると、海中に面倒くさい昆布がたくさん生えているところへ突っ込んでいって、真っ逆さまに吹っ飛んだ。前にも何回か同じことをしたことがあったけど、プレーン(飛行機型のフィン)は壊れることはなかった。そして何も知らずに、僕は沖に向かってパドルアウトしたんだ。

何かがおかしいと気づいたのはいつ?
アウトまで戻ったとき。昆布がプレーンに絡まっていないか、手で探っていたんだ。でもプレーン自体がなかった。プレーンは少なくとも2.7kgはあるから、沈んでしまったんだろう。僕のハートと一緒にね。8か月もいじくり回したのに、その月日もおしまいさ。隣にいた友達にそのことを話したら、彼は「ビーチに打ち上げられているんじゃないか?だってそれは浮くだろう?」って言うんだ。いいや、プレーンは沈んでしまったままだ。まだ高潮だったから、彼に注意して見ておいてくれと頼んで、僕はパニクりながら仕事に戻るとロビンサムに言ったのさ。プレーンが無くなっちゃったんだ、捜索隊を集めて探すつもりだよって。

捜索隊?そりゃいい!
だろう?フォーム部に電話してサイラスに、皆をお昼休みに集めて、干潮のときに行こうって誘ったんだ。もちろん、他の誰よりも早く僕が見つけたかったけど、僕らの誰かが必ず見つけるだろうと確信していた。あれは重いものだし、干潮時にむき出しになった岩場にそのままのっているはずだと思った。グラッシング部ではサムが家に戻ってシュノーケルとマスクを取ってくるって言ってくれた(彼は最高の上司だよ)。おそらく落ちているだろうと思われる場所を伝えると、彼は1時間半も探してくれたんだけど、結局見つからなかった。

サムが探しているあいだ、「ポイント」で入っていたジョシュから電話があった。僕がプレーンを無くしたと聞いて、どこを探せばいいかって聞いてきんだ。なんだかおかしなことになってきた気がしたよ。そしたら僕のカミさんと子供までショップに出てきて、「なくしちゃったんだって…?」 なんてね。そして彼らも岩場に向かった。

僕はホットコーティングを終わらせて、ちょうど最干潮時に出かけていった。ショップでウェットを着て、岩場まで走っていった。プレーンが流されているといけないと思って、ポイントの岸側から探しはじめた。プレーンをなくした岩礁まで行って、そこからは碁盤の目のように隅から隅まで念入りに探したんだけど、見つからなかった。他にも何人か来てくれて少し探してくれたけど、ダメだった。

次の日も同じように探してみたけど、見つからなかった。その週末も息子と一緒に雨のなかを満潮時と干潮時に探してみたけど、何も見つからなかった。

ザ・ホバーボード

このフォイルを見かけませんでしたか?Photo: Streufert Archives

もし誰かがプレーンを見つけたら、どうしたらいい?
もし見つけたら、ショップに持ってきてくれるとうれしいな。どうせならプレーンに「パタゴニアへ返してください」とでも書いておけば良かったんだけど、ただ真っ黒なだけでどこのものか見分けがつくようなものは何もないよ。

でも桟橋からCストリートのトップのポイントまでのどこかにあると思うんだ。

これでホバーボードも終わり?
そんなことはないよ。楽観的に考えれば、今度はアルミ製のフォイルが届く予定だしね。この前のとは形も違っているんだ。あとはボディと尾翼を作ればいいだけ。すべてを組み合わせれば、また飛べるさ。

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