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川霧が漂う朝、沈下橋を渡って学校へ向かう子どもたちの元気のよい声が響く。四万十川 写真:村山 嘉昭
川霧が漂う朝、沈下橋を渡って学校へ向かう子どもたちの元気のよい声が響く。四万十川 写真:村山 嘉昭

日本の川の自由な流れを目指して :「フリー・トゥ・フロー – 川と流域を守る」キャンペーン

By パタゴニア    |   2011/05/23 2011年5月23日
川霧が漂う朝、沈下橋を渡って学校へ向かう子どもたちの元気のよい声が響く。四万十川 写真:村山 嘉昭
川霧が漂う朝、沈下橋を渡って学校へ向かう子どもたちの元気のよい声が響く。四万十川 写真:村山 嘉昭

パタゴニア日本支社では2009年から2010年にかけて独自の環境キャンペーン「フリー・トゥ・フロー – 川と流域を守る」を展開しました。

日本の本来の川を復活させ、人間と自然界のバランスを取り戻すために個人または地域社会が現状を認識して行動を起こすことを目指した本キャンペーンは、自然のリズムで自由に流れている川が取りもつ森と川と海のつながりによって、野生生物や私たち人間が享受している生態系による恵みの重要性を一般に広め、また日本全国の清流とその生態系を守る活動に取り組んでいる市民団体に対する支援の輪を広めるためのキャンペーンであり、水源から川、そして海にいたるまでの河川流域が直面している環境問題について率先して声を上げている人びとのエッセイをカタログやウェブサイトで取り上げながら、直営店などでイベントを開催するなど、多面的に展開しました。

毎年サクラマスが産卵するサンル川の上流部。天塩川河口から200キロメートルちかくもある。 写真: サンル川を守る会 環境エッセイ「森と川と海と人間」を読む

毎年サクラマスが産卵するサンル川の上流部。天塩川河口から200キロメートルちかくもある。 写真: サンル川を守る会 環境エッセイ「森と川と海と人間」を読む

本キャンペーンのプランニングを開始した2007年、日本支社が支援してきた団体の多くはわずかに残る日本の清流にこれ以上無用なダムや人工構造物が建設されないように、また不要なダムが撤去されるようにと、各地で熱心に活動を展開していました。そんななか、パタゴニアのミッション・ステートメントに照らせば、私たちがそうした草の根の活動への支援を広げることは時機にかなっていました。そしてキャンペーン開始から半年が過ぎた2009年秋、はからずもエッセイで取り上げたサンルダム(北海道)と八ッ場ダム(群馬県)が見直し対象となり、また球磨川の荒瀬ダムも2010年2月に熊本県知事が荒瀬ダムを撤去する方針を再度表明したことで2012年度からの撤去作業が決定。ダムのゲート全開後、球磨川が注ぐ八代海の生態系にポジティブな変化が起きています。さらに沖縄の自然の宝庫、ヤンバルで計画されていた奥間ダムも建設中止となりました。

新緑の吾妻川。JR吾妻線と国道145号線が走るが、ダムが完成すればこの美しい景観も水没してしまう。写真:八ッ場あしたの会 環境エッセイ「八ッ場ダムを知っていますか」を読む

新緑の吾妻川。JR吾妻線と国道145号線が走るが、ダムが完成すればこの美しい景観も水没してしまう。写真:八ッ場あしたの会 環境エッセイ「八ッ場ダムを知っていますか」を読む

春の川辺川。漁を待つ川舟のまわりに黄色い菜の花が咲く。熊本県相良市 写真:村山 嘉昭 環境エッセイ「球磨川の夢」を読む
春の川辺川。漁を待つ川舟のまわりに黄色い菜の花が咲く。熊本県相良市 写真:村山 嘉昭 環境エッセイ「球磨川の夢」を読む
国指定天然記念物のリュウキュウヤマガメ。森林開発で側溝への転落死、車による圧死も。写真:奥間川流域保護基金・兼城淳子 環境エッセイ「やんばるの川を歩く」を読む
国指定天然記念物のリュウキュウヤマガメ。森林開発で側溝への転落死、車による圧死も。写真:奥間川流域保護基金・兼城淳子 環境エッセイ「やんばるの川を歩く」を読む

環境保護グループへの直接的な支援の一環として、日本支社では資金調達を目的としたファンドレイズTシャツを2種類制作しました。1枚の売上につき500円を寄付するというこのプログラムは、商品購入というお客様の協力がなければ成り立ちません。けれども最初のデザインは1,752枚を販売し、876,000円を川と流域の保護に取り組む5つの団体、〈サンル川を守る会〉〈設楽ダムの建設中止を求める会〉〈子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会〉〈八ツ場(やんば)あしたの会〉〈吉野川みんなの会〉に寄付することができました。2つめのデザインは2010年春より販売を開始。販売枚数は1,057枚で、528,500円を寄付しました。寄付先は国際生物多様性年の同年に緊急に立ち上げられたプロジェクト、「救え!諫早・泡瀬・長島の海」。これは沖縄諸島最大の干潟である泡瀬干潟(〈泡瀬干潟を守る連絡会〉)、九州有明海の西側に位置する諫早干潟(〈諫早干潟緊急救済本部〉)、世界的に珍しい希少生物の宝庫である山口県熊毛郡長島にある田ノ浦とその周辺海域(〈長島の自然を守る会〉)を守ることを目的とした3つの環境団体による共同プロジェクトです。

日本の川の自由な流れを目指して :「フリー・トゥ・フロー – 川と流域を守る」キャンペーン

この諫早干潟については2010年12月、国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の5年間の開門を命じた福岡高裁判決について政府が上告を断念したことで判決が確定。2012年度には干拓の事業主体である農林水産省が長期の開門調査を実施し、常時開門となる方向性に進んでいます。その一方で、泡瀬干潟については裁判で埋め立て事業は不当として原告である市民団体が勝訴したものの、事業主体である沖縄市が提出した新たな土地利用計画案を国が承認し、埋め立て再開を表明したことでふたたび危機に直面しています。また長島の自然は原発建設のための埋め立てが再開され、こちらも依然として危機的な状況に直面しています。

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パタゴニアの環境キャンペーンは、カタログやウェブサイトや直営店などを通じて、そのテーマを取り巻く問題に対する世間の関心を高め、また解決を目指して活動している非営利団体を支援することでポジティブな変化を導き出すことを目指しています。「フリー・トゥ・フロー – 川と流域を守る」キャンペーンは昨年をもって一旦終了し、2011年1月からは、新たなキャンペーン「アワ・コモン・ウォーター(共有の水)」を展開しています。本キャンペーンは人類と地球上に生息するその他すべての生物が必要とする水の、共有のバランスの重要性について考察するもので、キャンペーンの一環として、パタゴニアが事業を展開する過程で消費する水と、それを削減する努力についても「ウォーター・フットプリント」で明らかにします。私たちの取り組みに、引きつづきご注目ください。

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