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「つながり・ぬくもりプロジェクト」進行中:東北地方に自然エネルギーを

「つながり・ぬくもりプロジェクト」進行中:東北地方に自然エネルギーを

2011/07/21 2011年7月21日
「つながり・ぬくもりプロジェクト」進行中:東北地方に自然エネルギーを

パタゴニアでは東日本大震災を受け、メンズ・リブ・シンプリー・ジャパン・リリーフ・Tシャツを日本とアメリカの直営店およびオンラインショップにて販売しています。Tシャツの売上の100%は、被災した地域に自然エネルギーを活用した電気、お湯、お風呂を届ける「つながり・ぬくもりプロジェクト」に寄付されます。7月にはアウトレット江坂ゲートシティ大崎鎌倉ストアにプロジェクトの事務局となる<環境エネルギー政策研究所(ISEP)>の竹村英明氏をお招きし、スピーカーシリーズを行いました。竹村氏によるプロジェクトの活動内容をお読みください。

「つながり・ぬくもりプロジェクト」進行中:東北地方に自然エネルギーを

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東日本大震災は私たちのライフラインをいとも簡単に破壊しました。電気、ガス、水道、いつもそこにあると思っていたものが突然なくなりました。この災害を受け、被災者に自然エネルギーの電気と熱を届ける「つながり・ぬくもりプロジェクト」がはじまりました。送電線やガス管などのインフラがなくても、その場で使えるのです。

プロジェクトは突然はじまった
プロジェクトのきっかけは、震災直後に〈自然エネルギー事業共同組合(REXTA)〉の東北地方のメンバーが太陽光発電パネルをかかえて被災地に入って行ったこと。でもNPOが単独で設置できるのは1件か2件で、多くの被災者を支援するには、たくさんの人や企業のサポートが必要でした。

〈REXTA〉は、企業支援を引き出すには環境エネルギー政策研究所(ISEP)の「ビッグネーム(?)」が必要だと考えました。ソーラーフロンティアに一緒に行き、そこで太陽光発電パネルの無償提供が決まりました。ただし工場出荷時の検査でパスしなかったロットのものです。抜き取り検査で不良品が出たロットはまるごと廃棄になります。不良品は使えませんが、他のほとんどは使えるものです。ただし通常の10年補償等はつきません。緊急支援にはそれで十分と判断しました。

こうして〈ISEP〉と〈REXTA〉の共同プロジェクトがスタート。しかし太陽光発電にはパネルのほかに直流を交流に変えるパワーコンディショナーなどが必要です。被災地で夜に使うためにはバッテリーも。設置架台や留金具さらに工事費用もかかり、ざっと1キロワットあたり35万円となり、提供された量の太陽光発電パネルを設置しようとすれば、これだけで3億円を突破します。ほかのNPOにも呼びかけて広く資金を集めようということになりました。

さらに木質バイオマスと太陽熱温水が加わる
東北地方の他のNPOも支援をはじめていました。バイオマス(森林資源のエネルギー利用)の普及活動をしていた〈岩手木質バイオマス研究会〉は、被災材を使った薪かまどを避難所につくり、薪ボイラーメーカーからボイラーを借り受けてお風呂の提供をはじめていました。こちらも支援してほしいという声が届きました。

バイオマス(薪ボイラー)のお風呂に入る子供たち。大槌町 写真:つながり・ぬくもりプロジェクト
バイオマス(薪ボイラー)のお風呂に入る子供たち。大槌町 写真:つながり・ぬくもりプロジェクト

そこで広範なNPOなどに呼びかけ相談会をもちました。太陽熱温水器の普及活動をしている〈ぐるっ都地球温暖化対策地域協議会〉〈ソーラーシステム振興協会〉も参加しました。〈ソーラーシステム振興協会〉は太陽熱温水器の業界団体です。この相談会で、自然エネルギーによる被災地支援プロジェクトの立ち上げと、太陽光発電、太陽熱温水器、木質バイオマスの3種類の支援をすることが正式に決まり、4月4日に記者会見を行いました。

支援内容が広がり、集めなければならない費用は増えました。太陽熱温水器は〈ソーラーシステム振興協会〉が取りまとめ、各メーカーからシンプルなタンク方式のものを合計550台格安提供してもらうことになりました。周辺部品と工事費込みで30万円程度となり、550台すべて設置すると1億6千万円です。

薪ボイラーをレンタルした移動薪ボイラー車は1台100万円という見積りでした。これも複数台つくると数千万円で、プロジェクト全体では5億円を超える資金が必要と想定されました。しかし義援金の行き先はどうしても衣類や食料への支援が優先され、まだまだエネルギーへの支援は足りません。

被災地支援の実績
これまでは電気やガスが使えない避難所を中心に支援してきました。31の避難所に太陽光発電、15の避難所に太陽熱温水器を設置、そして2台の薪ボイラー車でお風呂の提供をしてきました。初期の薪かまどは7つの施設に作りました。

はじめのころは、避難所に「太陽光発電はいりませんか?」と訪問し、押し売りと間違われたこともありました。やがて地域の人たちのネットワークや支援ボランティアのルートから避難所を紹介されるようになり、人と人の日頃のつながりが、こういう緊急時にも信頼につながることを強く感じました。

いまでは避難所の方から設置依頼が舞い込むようにもなりました。大震災から4か月が経ち、電気や水道が復旧しているところも増えてきましたが、インフラが回復していないところもあり緊急支援はまだつづきます。

避難所に設置している太陽光発電は400ワット程度のバッテリー付きの独立型システムです。これだけあれば夜の照明、テレビ、パソコン、携帯電話の充電などがまかなえます。屋根ではなく庭先などに置いて、下地も木組みでシンプルに作っています。

Oさん宅で設置中の太陽光発電。陸前高田市 写真:つながり・ぬくもりプロジェクト
Oさん宅で設置中の太陽光発電。陸前高田市 写真:つながり・ぬくもりプロジェクト

太陽熱温水器は250キロリットル程度のタンク式で、これも屋根に上げずに地べたに置いています。水道がなかったので、沢水などを汲んでタンクに入れながら使うためです。これだけで皿洗いや洗濯、洗面、体拭き用などの温水がまかなえます。

高館小学校(避難所)に設置した太陽熱温水器。名取市 写真:つながり・ぬくもりプロジェクト
高館小学校(避難所)に設置した太陽熱温水器。名取市 写真:つながり・ぬくもりプロジェクト

薪ボイラーは〈トモエテクノ〉からのレンタル。2台で毎日100人くらいの人がお風呂を使っています。浴槽は被災したがれきのなかにあったプラスチック製のカゴ。それにビニールシートを敷き、テントで覆ってお風呂を提供しています。移動薪ボイラー車と銘打ったのは、学校の校庭には永続的な構築は認められないので、トラックに乗せて「移動」として了解を取ったのです。実際に動きまわっているわけではありません。

移動薪ボイラー車。写真:つながり・ぬくもりプロジェクト
移動薪ボイラー車。写真:つながり・ぬくもりプロジェクト

これから第二段階に突入
最近では仮設住宅への設置や、復興住宅、エコタウンなどの新しい街づくりの話が増えています。電気や水道は復旧しているので、主旨は緊急支援から生活支援に変わり、保育園や学校への太陽光発電設置の依頼もあります。復興のシンボルに自然エネルギーを導入したいという話もあり、街づくりのなかに自然エネルギーが折り込まれ、地域の産業や雇用を生み出すようになればと思います。

仮設住宅への設置第1号は、住田町の仮設住宅110棟への太陽熱温水器の設置。住田町の仮設住宅は地元森林材を使って街が独自に作ったもの。木のぬくもりのする、素晴らしい仮設住宅です。

保育園や学校への太陽光発電設置は緊急支援より本格的なものになります。5キロワットとか10キロワットという大型のシステムとなり余剰電力は売電もできます。被災地の教育施設の光熱費の支援になればという趣旨と、これからの時代を担う子供たちに自然エネルギーの力を知ってほしいという思いがあります。プロジェクトは少なくとも3年くらいのスパンで支援をつづける予定です。皆様のご支援が大きな力になります。

詳しくは、プロジェクトのホームページをご覧ください。http://tsunagari-nukumori.jp/

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