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5基の巨大ダム建設はなぜチリ領パタゴニアの中核を脅かすのか:地元チリのサンチアゴからの声

5基の巨大ダム建設はなぜチリ領パタゴニアの中核を脅かすのか:地元チリのサンチアゴからの声

2011/09/15 2011年9月15日

チリのダム建設反対運動については、パタゴニア地方を訪れた多くの人たちからの報告は聞いたものの、そこに住む人びとからの声はこれまで届いていませんでした。ですがそれも今日までです。以下はチリのサンチアゴを拠点とするNGO、<Ecosistemas>の代表でPatagonia Sin Repressasダムはいらない)キャンペーンの国際的な声でもあるホアン・パブロ・オレゴからの投稿です。

Juan

[ホアン・パブロ・オレゴ、パタゴニアのエル・ゴルフ店にて。写真:Rodrigo Farias]

チリ領パタゴニアの中核部と見なされるアイセン地方に5基の巨大ダムを建設する計画は、それによって引き起こされる悪影響について、これまでに見られなかった反響を国内に巻き起こした。問題の複雑さはこの議論がなされる多くの側面で見られ、またパタゴニアからアルゼンチンのサンチアゴ、ボリビア、アメリカ、カナダ、イタリアとスペインまで、多くの人々がエネル(イタリア)、エンデサ(スペイン/チリ)そしてコルブン(チリ)の所有するこのプロジェクトに反対していることにも明らかだ。

このプロジェクトについては3つのおもな問題がある。それは地元への影響、国内のエネルギー政策、そして過去数十年間にチリに侵入した「エナジヴォラス」開発モデル(非常に非効率的なエネルギー消費モデルであり、自然資源の略奪者)だ。

地元への影響についていえば、このハイドロ・アイセン・プロジェクトによってバケル川とパスクア川の何千ヘクタールもの壮大な流域が脅かされるにちがいない。農業と観光関連の多大なる潜在的価値のあるこの2つの川の環境面/文化的/経済的価値は、このプロジェクトによって取り返しができないまでに破壊されてしまうだろう。ダムは6,000ヘクタールの土地を氾濫させ、変換工場と8地方をまたぐ約2,000キロにもおよぶ巨大な配電線の建設を要する。それはまちがいなく国立公園/自然保護地区など、14,000ヘクタールの土地を破壊してしまう。そればかりではない。工業港町、滑走路、道路、作業員の居住地、建設用骨材とセメント工場といった、数えきれない補足的作業の建設による影響をも忘れてはならない。本プロジェクト全体の建設にかかる12年のあいだ、重機が必要とされ、多大な騒音、排ガス、粉塵、漏出、ゴミ屑やその他の汚染が出つづける。これらすべてを考慮すると、危機にさらされているのはパタゴニアの中核、つまりこの地球の環境上の宝物であるエコシステム、微気候、固有種などで構成される複雑なモザイクの健全性なのだ。

チリの商業エネルギー開発はエネルギー業界を支配するエンデサとコルブンによってこの国へ強いられ、過去5つの政権によって受け継がれてきた。巨大な水力発電ダムの建設はその偏った商業エネルギー開発をさらに悪化させてしまう。チリにはエネルギー効率とチリの土地全体に豊富な従来のやり方にたよらない、再生可能なエネルギーに根ざした国内エネルギー政策が必要だ。

チリの開発の道についていえば、いくつかの当局がエネルギー販売会社のビジョン、つまりエネルギー生産自体を最終目的と見なすビジョンを採用していることが主要な問題である。まるで植民地時代の生産段階からにっちもさっちもいかない国にとってだけ機能する、無限のビジネスのような考え方だ。この開発モデルは膨大なエネルギー消費に依存し、自然資源の搾取と処理に基づいている。このやり方は維持不可能であることが証明されているだけではない。自己破壊的ですらある。

銅採掘、木材パルプやチップ、魚粉といった産業は最も強烈なエネルギーと水消費に依存するだけでなく、最大の汚染源であり、一次的職業だけしか作らない。チリに必要なのは、このいわゆる「開発」という方向をただちに改めることだ。南米においては、我が国チリは教育、文化、医療、銀行、通信おいて、高品質のサービスを提供する完璧な位置にある。そして永久的に顕著な利益を生み出し、多数の二次的サービス職を生む遠隔地における広範囲なエコツーリズムの潜在価値はいうまでもない。しかしそれは環境が修復/保護された場合にかぎった話だ。このモデルにはテクノロジーやソフトウェアの創造も含まれる。また汚染と同じようにエネルギーや水の需要も莫大に削減されて、新しい高質な仕事が創造される。

不満を訴えるために外へ出た何万もの人びとが証明するように、つまるところ、このハイドロ・アイセン・プロジェクトへの反対の声はチリの偉大な政治的、経済的、社会的、環境的な挑戦の中核へと結びついている。この独特の状況は、巨大ダムの建設と国内エネルギー政策と経済モデルはそれぞれに独立したものではなく、密接に絡みあった現実であり、共通の健康と重大な環境維持可能性に向けて、全体として再考され、方向付けされなければならないという事実を解き明かすチャンスでもあるのだ。
-ホアン・パブロ・オレゴ、Ecosistemas代表

過去15年間、ホアン・パブロ・オレゴはチリの環境アクティビズムの最前線で活動してきた。1997年にはチリのビオビオ川への類似のダム建設プロジェクトを阻止する努力により、ゴールドマン環境賞を受賞。これは環境問題を一般の意識にもたらした初のキャンペーンのうちのひとつだった(提案された6つのダムのうち2つだけが建設)。

クリーネストラインのブログで意見を聞かせてくれたホアン・パブロ・オレゴとこの投稿を援助してくれたパタゴニア・チリのイグナシオ・モラレスに感謝します。ホアン・パブロは2011年7月26日にパタゴニアのエル・ゴルフ店にてダムについて語ってくれました。以下はこのイベントからの短いビデオです。

 [ホアン・パブロ・オレゴによるプレゼンテーション:なぜパタゴニアにダムはいらないのか?パタゴニア・チリより。ビデオ(音声:スペイン語、字幕:英語):Rodrigo Farias]

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