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『腹ごしらえをして、種を救おう』

『腹ごしらえをして、種を救おう』

2011/11/21 2011年11月21日

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『腹ごしらえをして、種を救おう』
byイヴォン・シュイナード
『Holiday 2011』カタログ(英語版)掲載

パタゴニアは、環境査定プログラムに着手して「吟味された生活」を営む以前は、他のアパレル企業と同じようにただウェアを作るだけの企業だった。1988年春、ボストンのニューバリー・ストリートにある古いビルを改築し、パタゴニアの3つ目の直営店をオープンした。すると何日もたたないうちに、従業員が就労中に頭痛を訴えはじめた。空気質を分析してみると、ビルの通気システムはたんに同じ空気を巡回させているだけで、私たちのコットンTシャツの縮みを防ぐために使われているホルムアルデヒドやその他の化学薬品が従業員に害を与えていることが判明した。

当時、他のほとんどのアパレル企業は通気を正しはしても、ホルムアルデヒドの問題には目をつぶっただろう。だがこの事件は私たちを悩ませ、まもなく私たちは製品のためのオーガニックコットンのサプライチェーンを築くべく、農家や業者と働きはじめた。そしてその途上で、私たちの製品の製造に何が使われているかについて多くを学んだ。さらに維持可能なアパレル同盟の設立を援助し、私たち自身や地球への悪影響を最小限に抑える知的な決断をするため、衣類それぞれを製造する全工程の追跡をはじめた。いまでは私たちは一枚のTシャツを製造するのにどれだけ多くの水が使用されているか(234人分の1日の飲料水に値する703リットル)を知っている。だがそれだけではなく、工程に使用されている水の種類、つまり古い帯水層の化石水なのか、閉じ込められた川からの灌漑水なのか、あるいは自然の雨水なのかについても学んだ。1996年までには、パタゴニアはスポーツウェアの全製品ラインのコットンを100%オーガニックコットンに切り替えた。確かにコストは嵩んだ。だがこの決断によって、何千キロもの有害な化学薬品を環境から除外することができた。これはパタゴニアの最大の成功の物語のひとつだ。

いま私たちは同じ種類の変革をサーモン業界にもたらしたいと思っている。野生の太平洋サケは1万年ものあいだ人間の食糧となってきた。それは体だけではなく、魂にとってもである。私たちは毎年シーズンになるとサーモンが海から戻ってくることにつねに心を慰められてきた。だがサーモン漁業界に存在する破壊的なやり方を変えなければ、彼らの遡上は年々疑わしくなってくる。

かつては産卵するために南カリフォルニアからアラスカの北極圏までの川に戻ってくるサーモンは川で釣られていた。海岸沿いに住むアメリカ原住民の部族は必要なだけのサーモンを捕え、残りはずっと先のアイダホからモンタナに居住する次の部族のために残しておいた。だが今日、あまりにも多くの危機に晒された種が、無差別な捕獲と維持不可能な養殖技術により減少してしまっている。

サーモンを海で釣れば、それがどこから来たのかはわからない。ベニザケなら昨年2,500万匹(以前に比べわずか12%の量)が戻ってきたブリティッシュ・コロンビアのフレイザー・リバーからのものかもしれない。だがそれは20〜50匹しか残っていないフレイザー・リバーの支流からやってきた可能性もある。または養殖場から逃げてきたもの・・・つまり網の養殖場を「きれいにするため」に使われたダイオキシンや抗生物質、殺菌剤やその他の化学薬品にまみれたコーホーかアトランティック・サーモンかもしれない。またはそれは劣った遺伝子プールを伴う養殖所からのチヌック・サーモンかもしれない。釣り人や消費者はどうやってそれを知ることができるだろう。サーモンは出生した川で釣らないかぎり、その出所を知ることはできないのだ。

パタゴニア・プロビジョン部門のサーモン・プロジェクトは、ウェアを製造する方法を変えたのと同じように、フィッシング業界に変革をもたらすための私たちの取り組みである。私たちの目標は、厳選したサーモンならば収穫は可能なばかりか、それは良いビジネスであり、また野生のサーモンの将来を保護するための手助けとなることを示す新しいモデルを作ることだ。パタゴニアはカナダの魚保護団体〈SkeenaWild〉とともに、維持可能であり、刺し網や地引き網、あるいは伝統的なファースト・ネイションズのインディアン水車やすくい網による漁場を選定した。これらの限定収穫技術はより高い品質の魚だけではなく、ターゲットではない種をも生存させ、産卵させるというより重要な役割を果たす。私たちのサーモン食品は生存が危ぶまれる支流より上流の川で出生/捕獲された完全な成魚のみを使用している。

コットンTシャツであってもサーモン・ジャーキーの製造であっても、私たちはビジネスのために不必要な悪影響を抑えるため、すべての資源をその源流まで遡ることを信条としている。カスタマーはウェアがどこから来てどこで作られたのかを知るべきであるのと同様、パタゴニアの食品がどこから来たのかを知ることを要求すべきだ。もっとはっきり言えば、私たちはこの同じ疑問を買うものすべてに投げかけることができなければならないと思う。

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パタゴニア・プロビジョンのサーモン・ジャーキー
淡白質に富み、低脂肪かつオメガ3脂肪酸たっぷりのパタゴニア・プロビジョンのワイルドサーモン・ジャーキーはスナックに最適です。パタゴニアでは、厳選され、川で捕獲されたピンクおよびベニザケのみを使用し、豊富でない種はその移動に確実に害がおよばないようにしました。私たちはこれらの魚がどこからやって来たのかを知っています。健全であり、維持可能な野生のサーモンの魚種資源からのものだけを収穫しています。そしてその結果は美味。スモーク・テリヤキ、スモーク・ブラックペッパー、スモーク・チリペッパーの3種類のフレーバーをご用意しています。

*パタゴニア・プロビジョン製品の日本導入時期は、現時点では未定です。

*2012年10月25日アップデート:日本でもワイルド・サーモン・ジャーキーの販売を開始しました。詳細はこちらをご覧ください。

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【伝統的な地引き網を使って自分たちの土地を流れる川で野生のサーモンを、選択しながら捕獲するレイク・バビン・ネイションズの漁師たち。レイク・バビン、ブリティッシュ・コロンビア 写真:Britton Caillouette】

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