認めるべき事実:本当に「グリーン」なウェットスーツはまだ存在しない
なぜパタゴニアはウェットスーツに竹繊維を使用しないのか、についてのこの広告をお読みください。
竹とレーヨンについて
竹がレーヨンになる
竹は地上で最も成長の早い植物で、1日に最高120 センチも伸びます。竹の大半は農薬などを使わない有機栽培で(認証を取得している数はごくわずかですが)、どんな場所でも大抵は灌漑も肥料も必要とせずに育ちます。パンダが生息する自然の竹林が破壊されたり、あるいは竹のプランテーションのために森林が伐採されたりという懸念があるものの、おおむね竹の栽培は持続可能とみなされます。
竹の茎に含まれる靱皮繊維が加工されるのは、亜麻(リネン)やヘンプのような比較的堅く、粗い繊維ですが、市場に出まわるほとんどの竹素材はシルクのように滑らかで、レーヨンのような肌触りです。これはそもそもレーヨンが竹から作られているためです。レーヨンは天然原料を化学処理によって繊維に変えた再生セルロース繊維で、天然繊維と化学繊維の中間に分類されます。セルロース源は木材や紙やコットン繊維、そして竹に由来します。
ビスコース法によるレーヨン製造の問題点
レーヨンの製造方法は1つだけではありませんが、最も一般的で竹の加工に幅広く利用されているのがビスコース法です。この方法では竹などのセルロース原料を強力な溶剤に溶かして濃厚な粘性溶液を作り、それを紡糸口金に通してから急冷剤に入れることにより糸を凝固させて、繊維にします。この過程では繊維が化学溶液のなかで「紡がれる」ため、加水分解アルカリ化または溶液紡糸と呼ばれます。溶剤として使われる二硫化炭素は、生殖器系に障害をおよぼすことが知られている有毒化学物質で、工場で働く人びとを危険にさらし、また大気放出や廃水を介して環境を汚染する可能性があります。ほとんどのビスコース工場における二硫化炭素の回収率はおよそ50%で、つまり約半分は環境中に流出していることになります。ビスコース法ではこの他に水酸化ナトリウムや硫酸など、潜在的に危険な化学薬品が使用されます。このような環境的問題があるため、パタゴニアではビスコース法で製造したレーヨンや竹素材は使用していません。
レーヨンの代替品
パタゴニアの素材開発チームは2003 年以来、竹について研究してきましたが、ほぼすべての竹素材がビスコース法で製造されるため、パタゴニアではいまでも製品に竹素材を使用していません。靱皮繊維として加工されるリネン風の竹素材もありますが、パタゴニアではその代わりにこうした用途に適しているヘンプを採用しています。竹素材の魅力は滑らかなドレープと手触りですが、これは化学過程であるビスコース法の産物であることが普通です。パタゴニアではこれらの特性を備えつつ環境への影響が少ない代替素材を探した結果、テンセル(リヨセル繊維のブランド名)を見つけました。テンセルも再生セルロース繊維ですが、クローズドループシステムという無害の溶剤を使った方法で製造されています。
テンセルの原料はユーカリの樹林農場で収穫された木材パルプで、パルプは森林管理協議会(FSC)の認証済みです。竹やその他のセルロース原料を使うことも可能ですが、ユーカリからは無駄を最小限に抑えながら最高品質の繊維を産出することができます。そのため、パタゴニアはユーカリからのこの工程が現在ある最高の選択肢であると判断しました。
テンセル/リヨセル繊維の製造過程で徹底しなければならない点は、これらの繊維のフィブリル化処理に有害化学物質が使われないようにすることです。工場によっては繊維のけば立ちを防ぐためにホルムアルデヒド処理を施しますが、ホルムアルデヒドを使わない環境への影響が少ない処理法も存在します。
[文献:フットプリント・クロニクルの竹とレーヨンについて(PDF)]
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