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1996年のマウント・ロブソンのエンペラー・フェイスへの遠征時のスティーブ・ハウスとバリー・ブランチャード、ジョー・ジョセフソン。「登攀は失敗に終わったが、遠征は先輩たちとの高度なアルピニズムの果てしない世界に僕を導いた」Photo: Steve House Collection
1996年のマウント・ロブソンのエンペラー・フェイスへの遠征時のスティーブ・ハウスとバリー・ブランチャード、ジョー・ジョセフソン。「登攀は失敗に終わったが、遠征は先輩たちとの高度なアルピニズムの果てしない世界に僕を導いた」Photo: Steve House Collection

アルパイン・メンターズ:若手アルピニストのためのユニークなチャンス

By スティーブ・ハウス   |   2012/03/12 2012年3月12日
1996年のマウント・ロブソンのエンペラー・フェイスへの遠征時のスティーブ・ハウスとバリー・ブランチャード、ジョー・ジョセフソン。「登攀は失敗に終わったが、遠征は先輩たちとの高度なアルピニズムの果てしない世界に僕を導いた」Photo: Steve House Collection
1996年のマウント・ロブソンのエンペラー・フェイスへの遠征時のスティーブ・ハウスとバリー・ブランチャード、ジョー・ジョセフソン。「登攀は失敗に終わったが、遠征は先輩たちとの高度なアルピニズムの果てしない世界に僕を導いた」Photo: Steve House Collection

ほぼ2年前の2010年3月25日、マウント・テンプルの北壁を登攀中にホールドが欠け落ちて、僕は25メートル滑落した。それは肋骨を20か所と骨盤を2か所折るのに十分な距離だった。

パートナーのブルースのそばに横たわっていると、すぐにひどい寒気に襲われた。体が手足の血液を胴部と脳に迂回させているからだ。無数の骨折によって胸部が血であふれていくにしたがって、呼吸がどんどん短くなる苦悩を感じた。

このときすでにブルースは携帯で救助を呼んでいた。2時間後には、偶然にも友人のカナダ公園局の局長が操縦するヘリコプターに救助され、ケーブルに吊られて30メートル下を飛んでいた。

2時間というのは色々考えるのに十分の時間だ。2時間のあいだにはアドレナリンも消え、それはとても長い時間に感じられた。自分の人生の後悔について考えるのに、僕が感謝していることすべてをブルースに伝えるのに、そして愛するすべての人たちの名前を口にするのに、十分の時間だった。

その後の数か月の回復期のあいだに、救助を待っているときに思いめぐらせたある質問を思い出した。「まだやっていない登攀でやっておきたかったものはなかったか」 鎮痛剤と車椅子、理学療法漬けの生活で、不鮮明な頭のまま夏が過ぎていくなかで、その質問への答えはいつも同じだった。「いや、僕の人生から欠けているのはより多くの登攀ではない。欠けているもののリストのうち、おもなものは僕がコミュニティーに貢献することだ」 そしてその意図から生まれたのがアルパイン・メンターズだ。

アルパイン・メンターズは僕が友人とアドバイザーを集めて創始した試みで、その使命は「世界の最も偉大な山々を、軽量かつ環境への影響の少ないスタイルで登攀することを望む技術的に熟練した若いアルピニストを勇気づけ、コーチし、そして彼らとともにに登ることを促進する」企画だ。若く高い動機をもつクライマーを熟練したアルピニストと組ませ、トレーニングや登攀や遠征をともにするという、ほとんどのヨーロッパのアルパインクラブにある既存のプログラムをお手本にしたものである。

アルパイン・メンターズは2年周期で構成され、その期間中さまざまなメンター(僕やその他のクライマーたち)とともにコロラドからカナディアン・ロッキー、そしてヒマラヤまで、色々な山を登攀する。

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今期の申込締め切りは2012年4月1日。申込書を検討したあと、優良候補10人にコロラド州南西部まで来てもらい、1週間のトレーニングとさまざまな登攀方法の安全のおさらい、セルフレスキュー技術、そしてもちろんクライミングをする。そして10人からさらに2〜4人に絞る(将来はこの数を増やしたいと思っている)。 候補者は確固としたクライマーで、旅行、トレーニング、登攀がそれぞれ1か月の期間でできなければならない。そしてこの2年間は7,000メートルのクライミング遠征を着想から登頂、帰国まで、チーム全員によって計画/実行することで完結する。

あなた自身、そしてあなたの友人、その友人の友人まで、この条件に見合う人たちからの応募を募っている。21歳から30歳までの、岩、アイス、ミックス、アルパインの技術に卓越した、強くやる気をもったクライマーなら、性別や国籍は関係ない。

ワイルドな山頂、地球上の最も到達しにくい地点、そして自分自身や人とのかかわりや生活環境について多くを学ぶ場所のために、異なる集団間の情熱を育むことの一因となる何かを作ること。これが僕なりのコミュニティーへのお返しだ。その情熱によって僕は自分の人生に多くのものを与えてもらったから。僕らのウェブサイトを訪れて、言葉を広めてほしい。http://www.alpinementors.org/

スティーブ・ハウスはパタゴニアのアルパイン・アンバサダーであり、『Beyond the Mountain』の著者。本書の日本語版は4月末に発売予定です。

スティーブ・ハウスはパタゴニアのアルパイン・アンバサダーであり、『Beyond the Mountain』の著者。本書の日本語版は4月末に発売予定です。

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