MEET THE CREW: フレッチャー・シュイナード・デザインズ(FCD):「まず俺がブランクスをつくらなきゃはじまらないんだ」
サーフィン歴は?
30年以上かな。
FCDのボード作りでの役割は?
俺の役割はボード作りのプロセスを稼働させる発火役。ブランクスを作る鍛冶屋みたいなものさ。FCDのボードを作るには、まず俺がブランクスをつくらなきゃはじまらないんだから。あんまり派手じゃない仕事もたくさんやってるよ。フレッチと一緒にデザイン開発に加わるなんてこともしてるけどね(つまり、最高のボードにたくさんテストできるってことさ)。
サーフボードの職人歴はどのくらいになるの?この業界に入ったきっかけは?
FCDでは5年ぐらいかな。フレッチとはもともと友達だったし、このショップにもときどき顔を出していた。それまでは他のショップのライダーだったんだけど、ある日、6’3”のメイコに乗ったら、はまってね。あれはそれまでで最高のボードのひとつだった。まるでマジックだった。多分いまごろ、誰かがチリのあたりであのボードを楽しんでいるだろうね。
FCDのボードが他社のものと比べて際立っている点は?サーフボード職人の観点から、ぜひ教えてほしい。
他社とは材料が違うよ。他の誰も俺たちのフォームを使っていないし、自分たちでブランクスから作るメーカーも少ない。FCDのボードはすべて、ここベンチュラ、しかも同じ街区内で生産されている。だから俺たちは毎日送り出すボードすべての品質管理ができるし、カスタマーに最高品質のボードが提供できる。
他社の材料とは違う点について、もう少し詳しく説明してくれるかな?
俺たちはクローズドセル・フォームを使っている。他社のほとんどはポリエステル・フォームと樹脂か、EPSフォームとエポキシ樹脂だ。俺たちのフォームは、そうしたフォームのどちらよりも圧縮度が高く、強度が高い。つまりプレッシャーディングができにくいということだ。それから俺たちが使うエポキシ樹脂も最高のもの。手抜きはなし。FCDのボードを手にする人は、支払った額に見合った品質を手に入れることになる。 軽量で、強度と耐久性の高いボードだ。
高品質の製品を生産するために、FCDの作業工程ではどのようなディテールを必要とし、 そして他社とはどのような点で違った努力が必要とされるんだろう?
ここでの仕事のすべてに細心の注意を払う必要がある。グラスショップのやつらは、さらに神経を使う。自分たちの仕事をよくわかってないといけないから。ポリエステルを使うショップみたいに、ボードの上から樹脂を流して、乾くまで待つだけでいいというわけにはいかない。俺たちのエポキシボードにしっかりとグラッシングを施すには、高度な技量が必要とされるよ。
他に比べてFCDのボードにはどれだけ多くの労力がつぎ込まれていると思う?
1本につき2日ぐらい。
カラーやカスタムについてなど、自分が作ったボードで記憶に残るものは?
それなら、フレッチと一緒につくったスタンドアップだね。悪夢のようだった。12’×30”×5”のフォームを、ブランクスの両脇にのり付けしなきゃいけないんだから。かわいそうにフレッチは、片側ずつシェイプしなくちゃいけなかった。片方を終わらせたら、反対側をまたシェイプする。あのボードについては、グラスショップのやつらも俺たちをまだ恨んでいるよ。あれは俺たちが作る最初で最後のSUPだね。かなりいい感じに仕上がったけど。
FCDのボードの中でお気に入りは?
ダウンレールにフォイルされた6’3” x 19”1/4 x2”1/4のDM3、クワッドフィンの5’10クォーク、フレッチがシェイプした9’1”ハイパフォーマンス。あのハイパフォーマンスは恐ろしいほど俺に合う。
いちばんひどかったホールドダウンは?
リーシュはあんまり付ける方じゃないから、ホールドダウンはそんなに長くはない。でも、去年の11月にデイブ・オーがノースショアで俺を殺そうとしたときは、傑作だったね。
記憶に残る最高のスウェルは?
83年、86〜87年、91年と数年前のクリスマス。それから先週末のスウェル。
人生最高の波は?
たくさんありすぎて・・・ね。
FCDで働くことのいちばんいいところは?
ウォーターツールを作れるところ。
セッション後の好きな食べ物は?
「ペペ」のメキシカン。オックスナード出身だから。
好きなバンドは?
バックスライダーズ!
―ベン・レムキー