カリフォルニア大学サンタバーバラ校大学院生がパタゴニアの輸送慣行とその向上のチャンスを評価
何年ものあいだ、パタゴニアはビジネスを営むことの影響を削減する方法を見つけるために、膨大な時間とエネルギーを費やしてきました。私たちはウェアとギアのライフサイクル分析を通して、環境への影響のほとんどが繊維の育成/合成、そして繊布の製造に起因することを学びました。しかし最近まで、輸送システムまたはこれに代替燃料テクノロジーを採用することについての詳細な分析はしていませんでした。
それが変わったのは、2012年4月にカリフォルニア大学サンタバーバラ校のBren School of Environmental Science and Management(ブレン環境科学と管理スクール)の大学院生のグループと仕事をはじめたときでした。課程の一部として、彼らはアメリカで商品を輸送する方法を評価し、より環境に配慮した燃料の使用の可能性について探求していました。パタゴニアは自社の輸送手段を保有しておらず、流通/輸送は他社と契約しています。私たちは温室効果ガスの排出量の削減を期待して、彼らに輸送ネットワークに低炭素エネルギー源を統合する方法について調査を依頼しました。
アメリカのエネルギー消費において、輸送が占める割合はほぼ1/3に値します。大型車両の利用の増加は温室効果ガス排出の増加に繋がっており(出典:EIA 2012)、また今後25年間で、貨物トラックによる輸送は1600億キロ以上増えることが予想されています(出典:EIA 2012)。
米国の輸送エネルギーの90%以上は原油製品に依存しています(出典:Farrell & Sperling 2007)。しかし環境への影響、ことに温室効果ガスの排出とその地球温暖化への負担に関しては、原油を元にした燃料はどれも平等というわけではありません。そのためパタゴニアのような会社は、燃料の選択によって温室効果ガス排出の程度に影響を与えることができるのです。
このプロジェクトに取り組む学生たちが分析しているのは、パタゴニアの輸送ネットワークと二酸化炭素排出、そして代替燃料へのアクセスで、彼らの目標はパタゴニアの慣行を向上させることができるかどうかを見極める手助けをすることです。彼らの究極のゴールは貨幣原価や物流コストを測りながら、既存の影響とその代替可能性を査定するために他社にも幅広く利用してもらえるツールを作ることです。
パタゴニア製品を輸送する運送会社から集めた情報を使用し、ブレンの学生たちはISO 14040/14044基準に沿った基準値を設定しようと取り組んでいます。輸送の分野において非常に有害なエネルギー源であるタールサンド(油砂)がより普及しているために、それがパタゴニアの流通ネットワークにどの程度使用されているのか、そしてそれを避けることは可能なのかについても、見極めようとしています。
それから彼らは企業が独自のロジスティックを入力し、輸送の影響を計算し、代替燃料の使用可能性を探ることができるツールを作ります。燃料ライフサイクル査定ツール「well to wheel(油田から車両へ)」は、異なる燃料の抽出と処理が環境へ与える影響を示すだけでなく、その排気管からの影響も含みます。学生たちはタールサンドだけでなく、圧縮天然ガス、電気、ディーゼル/電気、燃料電池/電気、水素および液化天然ガスについても調査します。
パタゴニアの配送ネットワークに代替燃料とテクノロジーを統合する潜在的可能性は、政府の支援と奨励金にその一部を依存します。そのために、ブレンの学生は関連する地元、州、連邦政府のプログラムを評価します。またより安価な燃料や維持費に起因する長期的な節約のチャンスについても研究し、現在入手できる代替燃料に切り替えることの実用性について査定します。彼らは2013年の4月にこの輸送燃料研究を完了させる予定です。
参考資料
US Energy Information Administration(米国エネルギー情報局)(2012年)。「米国における主要なエネルギー源および使用者は?」
Farrell Alexander E. and Sperling Daniel (2007年)。「カリフォルニアのための低炭素排出水準、第1部:技術的分析」
Farrell Alexander E. and Sperling Daniel (2007年)。「カリフォルニアのための低炭素排出水準、第2部:政策分析」