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ダムの国から『ダムネーション』

ダムの国から『ダムネーション』

By ケイティー・クリングスポーン   |   2012/12/25 2012年12月25日

ケイティー・クリングスポーン

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その圧倒的な数とサイズにもかかわらず、ほとんどの人はダムについてなど考えないでしょう。

パタゴニアの創業者でありオーナーであるイヴォン・シュイナードはそうではありません。

ダムを目にするとき、彼が見るのは、壊れた水路とグリーンからはほど遠いエネルギー生産の古い考えや方法です。彼はまたダムを崩壊することによってこのダメージを修復する可能性をも見ます。

「僕はフィッシャーマンだ。これらの川に魚が戻ってくるのを見たい」 シュイナードは言います。「ダムを作ったり露天掘り鉱山を作ったり山頂除去をしたりしたら、それを修復する責任があるのだということをはっきりさせたい。そこには公共からの信頼がある。だからそれを修復すべきなんだ」

[『ダムネーション』の製作責任者兼パタゴニアの創業者、イヴォン・シュイナードはダム撤去の長年の提唱者であり、自由に流れる川の保護者。写真:Tim Davis]

シュイナードと、彼の義理の息子でフィッシャーマンであり生物学者であるマット・シュテッカーは、アメリカのダムを撤去する膨れる運動を率先しています。彼らはこのための最善の方法は公共の認識と支持を高めることだと考えます。また一般市民がその複雑さを理解すれば、ダム撤去を必ず支持するであろうと信じています。

それがパタゴニアと〈Stoecker Ecological〉がコロラドを拠点とする映画制作チーム〈Felt Soul Media〉と共同で作った映画『ダムネーション』の裏にある意図です。

2013年春にアメリカで公開されるこの映画は、ダム撤去の成功例を探り、現在撤去の戦いが繰り広げられているダムを取り上げ、また将来撤去の対象となる他のダムにも目を向けます。そしてアメリカのダム建設の歴史を振り返り、過去の過激な環境保護者から今日のネクタイを締め、同盟を作り上げるダムの破壊者への変遷を記録します。さらにダム問題の両サイドの鍵となる数人にも焦点を当てます。

撮影は昨年の夏にはじまり、フィルムメーカーのベン・ナイト、トラビス・ラメルとシュテッカーがメイン州からカリフォルニア州までの映像を集めました。

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シュイナードとシュテッカーはダムの撤廃に対する彼らの立場を発言することをためらわない一方で、映画『ダムネーション』ではこの問題を公平に探ることを目指しています。フィルムメーカーは農地の灌漑をダムに頼る農家や、サーモンにその文化を依存する先住民、またダムの反対者を環境過激派と見なす議員などにインタビューをします。対話は科学者やダムの従業員をはじめとするその他の人びとともおこなわれます。

[エルワ・ダムが撤去される前にその下で撮影中、休息を取る『ダムネーション』の共同制作者で水中撮影カメラマンのマット・シュテッカー。写真:Ben Knight]

「私たちの目標はこの問題のすべての側面を見せることによって、視聴者自身に決断してもらうことです」とラメルは言います。「私はこれはすべてのダムを撤去すべきだというような白か黒かの区別がはっきりした問題だとは思っていません」

その利点にもかかわらず、ダムはそれが建てられた川に巨大な影響を与え、その多くが無益な廃物と化しています。

「一般市民はこのことを認識していないと思う」とシュイナードは言います。「これらに寿命があることに気付いているとは思わない」

20年間ダムの撤去に取り組んできたシュイナードは、そのパターンを発見しました。典型的に撤去の努力がはじまるのは、だいたいは大きなチャレンジに直面する小さな草の根団体からでした。反対側はパワフルで、行政の弊害は多く、関わる多くの人が変化に抵抗します。もしこれらの団体が官僚主義と複雑な許可取り付けを突破し、資金と支援と成功を獲得することができたら、それはとても困難な仕事を何年もやってきた結果です。

「だがダムが崩壊したら、川はほとんど瞬時に修復しはじめる」とシュイナードは言います。「そうすると『ああ、これは間違いだった』という人はいないよ」

『ダムネーション』を推進させてきたのは、その多くの利点を見せることによってダム撤去を主流にしたいという希望でした。10年前に最初のダムを撤去に導いたシュテッカーは、以前は規格外の発想だったダム撤去も、いまでは環境保護者だけではなく、政府やダムの所有者が普通に考慮するアイデアだと指摘します。

 「いまではより害の少ない代替手段があります。考え方は完全に変わって来ました」とシュテッカーは言います。

この新しい考え方のよい例は、オリンピック国立公園内/付近にあったエルワとグラインズ・キャニオンのダムの撤去(この映画で取り上げられたプロジェクト)だと彼は言います。先住民の部族と環境保護団体と政府関係者が協力し、この米国史上最大のダム撤去が実現したのです。

「このプロジェクトが完成する前に、すでに野生のスチールヘッドとサケがエルワ・ダムの跡地に戻ってきています」とシュテッカーは言います。

シュイナードは『ダムネーション』が人びとを開眼させることを期待しています。

「私ははこの映画を多くの人に見てもらい、ダムについてのそれぞれの考え方を変えてもらえたらうれしい」と言います。「生きているうちに、もういくつかのダムの撤去を見たいね」

ケイティー・クリングスポーンはコロラド州南西部のテリュライド・デイリー・プラネットの記者兼編集者。『ダムネーション』とアメリカのダムの撤去を取り巻く複雑な問題についての彼女の次の投稿をお楽しみに。

トレーラー、写真ギャラリーやFAQなど、『ダムネーション』の詳細は、新たに設けたウェブサイトDamNationFilm.comをご覧ください。字幕付きトレイラーはこちらからご覧いただけます。

 

日本での上映は詳細が決まり次第、お知らせします。

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