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脱原発をめざす首長の輪:第一首「地産地消エネルギーから生命が優先される国へ」

上原公子  /  2013年8月22日  /  読み終えるまで7分  /  アクティビズム

ダームスタチウムという大学の土地でダルムシュタット市が運営している国際会議所。再生可能エネルギーを利用し、色々な工夫がされている。写真:脱原発をめざす首長会議

上原公子(脱原発をめざす首長会議事務局長)

脱原発をめざす首長の輪:第一首「地産地消エネルギーから生命が優先される国へ」

ダームスタチウムという大学の土地でダルムシュタット市が運営している国際会議所。再生可能エネルギーを利用し、色々な工夫がされている。写真:脱原発をめざす首長会議

8月6日、超党派の国会議員で構成する〈ゼロの会〉の福島原発汚染水漏れについての緊急ヒヤリングがあった。7月19日には汚染水漏れが分かっていたのに、参議院議員通常選挙後の7月22日まで公表しなかったのは意図的との批判があるという指摘に対し、今後は公表について検討するという東京電力の、相も変らぬ返答であった。まったくこの国は経験に学ぶということを知らない、恥ずかしい国に成り下がっている。

ドイツは福島第一原子力発電所事故後の2011年6月にどこよりも早く、10年以内の原発からの撤退を決めた。当時、原発推進派とされたメルケル首相を決断させた背景には三つの要素がある。一つ目は2011年5月30日に提出された「安全なエネルギー供給のための倫理委員会」勧告書であり、二つ目は事故後の州選挙でメルケル与党が惨敗し、みどりの党が躍進したこと。そして三つ目は、チェルノブイリ原子力発電所事故以来、脱原発社会づくりのための市民の絶えざる実践が積み上げられ、制度を変え、企業も再生可能エネルギー開発にシフトしてきた実績が社会現象となっていたことだった。日本の福島第一原子力発電所事故は、ドイツのその流れを政治的にも決定的にした。ドイツは脱原発社会への完全転換を、紛れもない主権者である市民が決めたのである。

世界から見れば、事故を起こした当事国の市民である日本人が原発推進派の政府を選択したことは理解不可能なことであり、間違いなく大きな不信になっている。日本とドイツの違いはいったいどこにあるのだろうか。

今年5月5日、日本中の原子力発電所が止まったその瞬間、多くの市民が原発ゼロへの可能性に期待した。しかしその直後に〈脱原発をめざす首長会議〉が経済産業副大臣に、大飯原発の再稼動を認めないよう要請する会談をしていたそのとき、大飯町議会が再稼動容認を決めた。その裏にあったのは国との道路整備費等の事業費422億円の確約だった。〈首長会議〉のメンバーはそのときの悔しさをいまも忘れられない。優先すべき住民の生命が、またもや補助金という札束に負けた悔しさである。

ここにドイツと日本の差がある。日本国民の80%は脱原発が民意のはずである。ところが政治となると、なぜかお任せ民主主義が顔を出す。福島第一原子力発電所事故後、多くの人びとが安全神話を信じていたからと、他人のせいにした。しかし安全ではないという議論は山ほどあり、安全をめぐる裁判も長いこと繰りかえされていた。そのなかで信じたふりをして危険な社会を支えてきたのは、やはり民意と称する国民自身であることを自覚しなければならないだろう。民意とは、自分たちが未来を見据えて責任ある決定をすることである。議会も民意、選挙も民意であれば、その結果の責任は主権者にある。もはや学びのない政府や電力会社を当てにせずに、私たちひとりひとりの生命を優先した政治に変えるには、地方から再生可能エネルギーへとシフトさせていき、経済的自立の可能な地域づくりを実践していくしかない。主権者である私たち自身がもたらした政治のゆがみを解消する道はもはやそれしかない。

すでに日本でも、再生可能エネルギーにシフトするさまざまな試みが各地ではじまっている。市民主導、自治体主導、企業主導と態様はさまざまではあるが、ドイツの再生可能エネルギーの経済効果ありという経験が、日本にも聞こえはじめた。しかしながらいずれの形であっても、補助金があるからやってみようという試みは必ず失敗する。補助金にすがる事業は長つづきしない。そこに未来に投資するという住民の決意がなければ、政治的パフォーマンスに振りまわされるだけなのである。

さいわい日本は自然を巧みに活用する知恵の歴史がある。縦に長く、高い山の尾根を背骨として傾斜しながら広がる台地から成る、ぐるりと海に囲まれた地形の日本は、地域によってその自然環境が大きく変化する。他の国とは自然資源も異なる日本にふさわしいのは、その地形に沿った分散型、地域自立のエネルギー政策だ。急流な河川を利用した小規模水力発電や、山の手入れをしながら間伐材を活用するバイオマスエネルギー。山には樹齢100年の木を増やし、家は建て替えでなく100年使う。木の家を維持する大工も地元で育てる。日本は火山国である。いたるところに温泉がある。それは大事な地熱エネルギーになる。温泉場は地熱発電所を併設する。都会は屋根だらけだ。屋根にはソーラーパネルを集中して設置できる。メンテナンスは地域が管理すれば手間を掛けて運用でき、そこに仕事が生まれる。

同時に節電の知恵も産業にする。福島第一原子力発電所事故直後の計画停電は、私たちは電気を使い過ぎていたこと、節電は経済的であること、少々の暗さは不自由ではないことなどを実感させた。計画停電の教訓を日本中が活かせば、格段に電気の使用料は減る。したがって少々電気代が上がろうとも、安全が買える分だけお徳となる。節電とエネルギーの多様な組み合わせが、地域産業として経済効果を発揮するのだ。これからは、大企業に依存しない小規模で地産地消なエネルギーが地域の産業につながっていく。地域が育て、地域で使うエネルギーだからこそ、皆で大切に使う意識が育つ。そして大金をばら撒かれてだまされることもない。地元で管理していくからこそ、自然とのバランスを考えながら、企業が儲けるためにではなく、私たち自身のためにエネルギーをつくることができる。

エネルギー政策は企業のものではない。私たちが暮らしていく街の将来にかかわる壮大なデザインにしていかなければならない。エネルギーも街づくりであり、優れて自治の問題である。これからの鍵となるのは、それぞれの街に適した再生可能エネルギーの資源の発掘とリーダー育成だ。そしてその取り組みもはじまっている。民意で責任ある選択をし、そしていまを生きる私たち自身の生命を持続させるために行動するのは、私たちひとりひとりである。現在を環境破壊とともに生きるのではなく、また未来にリスクを押しつけることのない責任ある社会へと、地球のなかの一国である日本国民が選択して転換することを、いま世界中が注視している。

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