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野生のために働く:2013年度のパタゴニアの環境イニシアティブ

イヴォン・シュイナード  /  2013年10月10日  /  読み終えるまで6分  /  アクティビズム, コミュニティ, フットプリント

創業40年を経たいまも、原生地域のために原生地域を守るという私たちの考えは変わらない。カリフォルニア州ヨセミテ渓谷のロスト・アロー・スパイア。Photo: Glen Denny

野生のために働く:2013年度のパタゴニアの環境イニシアティブ

創業40年を経たいまも、原生地域のために原生地域を守るという私たちの考えは変わらない。カリフォルニア州ヨセミテ渓谷のロスト・アロー・スパイア。Photo: Glen Denny

「世界の生存は野生にある」 — ヘンリー・ディビッド・ソロー

今年パタゴニアは創業40周年を迎えます。祝福に値する多くの功績のなかでも私がとくに誇りに思っているのは、野生を救うために実際に現場で働く人びと、つまり草の根活動家を支援してきたことです。

私自身は活動家ではありません。前線で戦う度胸がないのです。しかし1972年のベンチュラ市議会で、ある青年のスライドショーを見て以来、活動家たちを支援してきました。当時、ベンチュラ・リバー河口の西側の氾濫原に、高速道路の開通にともなう商業開発が計画され、開発促進のために河川周辺の公共事業や道路、各種サービス施設の拡大が提案されていました。市議会では多数の科学者が川はすでに「死んでいる」とみなし、このプロジェクトを支援する発言をしました。しかし、〈フレンズ・オブ・ベンチュラ・リバー〉を名乗る大学院生マーク・カペリは、うなぎ、鳥、アライグマなど、いまでも川に生息する生物がいることを写真で見せ、さらに毎年50匹のスチールヘッドが上流へ遡上していると指摘しました。カペリは満場の大喝采を受け、やがてプロジェクトは中止となりました。彼はたったひとりの人間に何ができるのかを見せてくれました。私に希望を与えてくれたのです。そして私たちはパタゴニアのオフィスの一角を彼に提供しました。

小規模な活動家グループは大企業の弁護士に立ち向かうため、手作り菓子を販売するなどして資金集めをしなければならないのが現状です。そのような小規模団体を支援するべく、パタゴニアは毎年売上の1%を草の根環境保護団体に寄付しています。

ブリティッシュ・コロンビアのバルクレー・リバーで釣りをしていたとき、出し抜けに近寄ってきた男とのやりとりはとくに印象深く、興味深い体験でした。体格のいいひげ面の男はチェック柄のシャツにサスペンダーという典型的な木こりの風貌で、身長は180センチ以上、体重は100キロ近くありそうでした。男は「あんた、イヴォン・シュイナードだな?」と大声で呼びかけてきたのです。

「あぁ、そうだけど…」 私は口ごもりました。

「環境保護活動に金を寄付してるんだってな?」

「あぁ、そうだけど…」 私はウェーダーを着たままどれだけ早く走れるか考えながら答えました。

「いやじつはな、」 その男、ブルース・ヒルは話しはじめました。「ここから北へ行ったところにキットロープって場所があってな。そこを伐採したがってるヤツがいるんだよ。写真を撮って反対運動に使いたいんだが、いや写真家はいるんだが、なんせ僻地なんでヘリコプターを借りなきゃならんのだよ。どうかね?」

私は聞きました。「クレジットカードは使えるかい?」

この40年間、パタゴニアは数々の重要な環境保護活動の勝利を支援してきました。北カリフォルニアのヘッドウォーターズ・フォレスト・リザーブの救済に貢献し(ヘッドウォーターズ・フォレストを所有していたMaxxamは、何世代にもわたって実践されてきた持続可能な伐木搬出の方針を、企業債務の返済のために皆伐に変えました。1990年の森林伐採反対運動レッドウッド・サマー集会には多数のパタゴニア役員が参加しました)、1999年にはメイン州のケネベック川のエドワーズ・ダム撤去に取り組むグループに協力、2009年のオレゴン州ローグ川のサベッジ・ラピッズ・ダム撤去や2011年のエルワ・ダム撤去も支援しました。資金とオフィスの一部を提供した〈ネバダ・ウィルダネス・プロジェクト〉は4つのキャンペーンの指揮を執り、250万エーカーの原生地域と50万エーカーの国立保護区指定に成功しました。また〈セーブ・ザ・コロラド・リバー〉と〈ソノラン・インスティテュート〉と協力してコロラド・リバー・デルタへの復元も支援しました。〈ウィルダネス・ソサエティ〉はホーバック川の上流域を石油と天然ガス開発から救っています。

本年度は気候変動を遅らせる取り組みを率先し、タールサンド・パイプラインの阻止に挑む〈350.org〉のビル・マッキベンに資金を提供しました。ビルはホワイトハウス前での抗議運動で、〈シエラクラブ〉の最高責任者マイケル・ブリュヌらとともに逮捕されました。このデモでは、120年の歴史上はじめて〈シエラクラブ〉はメンバーに市民的不服従を許可したのでした。

創業40年を経たいまも、原生地域のために原生地域を守るという私たちの考えは変わりません。気候変動にともない危機はさらに深まり、支援の必要性はますます増えています。

イヴォン・シュイナードはパタゴニアのオーナー兼創業者。

本エッセイは本日発行された2013年度のパタゴニアの環境イニシアティブ・パンフレット(右クリックでPDFをダウンロードできます)からの抜粋です。昨年度、そしてパタゴニアの40年の歴史にわたる環境への取り組みについてお読みいただけます。

野生のために働く:2013年度のパタゴニアの環境イニシアティブ

戦いに参加しよう

このパンフレットに掲載されたキャンペーンやプロジェクト、そしてとくに草の根団体の活動は、勇気と確固たる決意、そして多大な時間とエネルギーを要します。成功は簡単にはやってきません。ストーリーを読んで感化されたら、汚れのない健全な地球のための戦いにご参加いただけることを願っています。いくつかのアイディアを以下にご紹介します。

・地元の環境保護団体に連絡し、ボランティア活動をする(「環境助成先」のボックスにチェックを入れて検索してください)

お近くのパタゴニア直営店を訪れ、そのストアが支持する環境保護団体についてパタゴニア社員と話をする

・パタゴニアが助成金を提供している環境保護グループに関するデータベースを検索して、関心のある地域での環境保護活動や、ボランティアまたは寄付を行うための団体を検索する。

・このパンフレットをめくり、地元の環境保護団体のウェブサイトを訪れる。

・淡水がさらされている危機について、「アワ・コモン・ウォーターズ(共有の水)」で学ぶ

・「コモンスレッズ・パートナーシップ」で環境フットプリントの削減を誓約する

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