『Unexpected:30Years of Patagonia Catalog Photography』日本語版、Expectedな第2版発行
パタゴニアは初期のころからアウトドア写真家として活躍する友人たちのネットワークを巻き込み、現実に存在する人びとが自然のフィールドで好きなアクティビティに情熱を傾ける姿を収めた写真を送ってくれるよう呼びかけてきました。そしてその結果として生まれたのが新しい、「Unexpected(まったく予期していなかった)」、視覚に訴えかけるようなスタイルのカタログでした。それはいまも、毎号のカタログに新鮮な驚きをもたらしてくれています。パタゴニア・ブックス刊『Unexpected:30 Years of Patagonia Catalog Photography』はそうした写真を私たちのもとへと運んできてくれた多くの人びとの視点や尽力、そして冒険心に捧げるための贈り物です。
その日本での第2版の出版を記念して、本書の編集を担当したジェーン・シーバートからメッセージが届きました。
「日本で『Unexpected』の第2版が出版されたことを聞くのはすばらしいことです。この本を作るのは仕事というよりは、ある意味「好きでしたこと」でした。だから新しい人たちのもとにこの本が届きつづけることを知り、とてもうれしく思います。 この本の目標は、多数のマーケティング的騒音ののなかで、人生と「自分を見失わないこと」のあいだの瞬間を称賛することです。私たちは世界中に散らばるパタゴニアックからの写真を受け取っては、それらに感嘆しつづけています。そしてそうした写真がパタゴニアというブランドの中核を成すのです。」
– ジェーン・シーバート、パタゴニア・フォト・エディター
パタゴニアが発行したカタログのなかから最も感動的な写真100点以上を収録した写真集である本書には、パタゴニア独自の厳しい基準を守ってきた写真編集者たち、そしてそれぞれ個性的なアプローチで自身の作品を提供してきた新旧の写真家たちによるエッセイも掲載しています。
ここでは前出のジェーン・シーバートのエッセイ『パーソナル・ワーク』からの抜粋をご紹介します。
「私のパタゴニアへの道も、ジェニファー・リッジウェイの場合と同じように、やはりきっかけは出会いでした。そのころの私は夏のあいだはクライマーとしてヨセミテで過ごし、冬はマンモス・マウンテンでスキーをするという生活をしていました。山麓の「アルティテュード9000」というレストランで働いていたその冬、ドアから店内に現れたのがイヴォン・シュイナードと彼の妻マリンダでした。クライマーの誰にとっても彼はヒーロー的存在だったので、私は争って彼のテーブルの担当になろうとしました。
それからの1週間の滞在中、彼らはレストランの常連になりました。イヴォンとクライミングについて話をすることのできる機会に恵まれたことは信じがたい幸運でしたが、最終的に私の心を虜にしたのは彼らの会社についてのマリンダの話でした。彼女のパタゴニアの名刺をエプロンに差し込んだ私は、スキーシーズンが終わったらヨセミテに戻るのではなく、ベンチュラに行ってみようと決心しました。
『Unexpected – パーソナル・ワーク – by ジェーン・シーバート 』より転載
Unexpected』はパタゴニア直営店、オンラインショップ、Shibuya Publishing & Booksellersでお取り扱いしています。
『Unexpected: 30 Years of Patagonia Catalog Photography』は2011年度の「バンフ・マウンテン・フィルム/ブック・フェスティバル」マウンテン・イメージ部門のベスト・ブックを授与されています。