クリーネストライン


ベースとなった藤内小屋にて集合写真。 写真:ウィンタークライマーズミーティング提供
ベースとなった藤内小屋にて集合写真。 写真:ウィンタークライマーズミーティング提供

第6回ウインタークライマーズミーティング:三重県・御在所岳で開催 

By パタゴニア    |   2015/03/27 2015年3月27日
ベースとなった藤内小屋にて集合写真。 写真:ウィンタークライマーズミーティング提供
ベースとなった藤内小屋にて集合写真。 写真:ウィンタークライマーズミーティング提供

今シーズンで第6回目となったWinter Climber’s Meeting(WCM)。今年は公益社団法人日本山岳協会株式会社ゴールドウィン、パタゴニア日本支社の協賛で、三重県・御在所岳で開催されました。以下、パタゴニアから参加したアルパインクライミング・アンバサダーの花谷泰広と、名古屋ストアの日置太郎(以下、日置)に話を聞きました。

花谷:WCMがはじまったのは、2007年に馬目弘仁と横山勝丘が、英国登山評議会(BMC)がスコットランドで開催しているInternational Winter Climbing Meetに参加をして刺激を受け、日本でもクライマーの交流の場を作ろう!と呼びかけたことによる。これまで明神で2回、米子不動で1回、足尾で2回開催され、御在所岳での開催は今回がはじめてである。僕としては、はじめて顔を合わせるクライマーとのクライミングや夜のセッション(つまりは飲んで、語って)が楽しくて、都合がつくかぎり参加させてもらっている。また御在所で冬のクライミングを楽しんだことがないので、これを機会にこの地の概念や山の様子を知っておきたかった。

日置:三重県と滋賀県との境に位置する御在所岳は四季を通して多くの登山者に親しまれています。決して大きな山ではなく、標高も1200メートルほどですが、硬く良質な花崗岩にはクラックが発達し、冬になれば積雪も多く氷も発達することから、これまでも関西や東海エリアのアルパインクライマーの道場として多く登られてきました。その御在所岳が第6回のWCMの舞台に選ばれたことから、地元出身の僕としては、慣れ親しんだ御在所岳のどこのラインを登ることになるのか、ワクワクしました。2015年1月最後の週末、全国から集まったのは30名ほどのアルパインクライマー。参加者はリピーターが多く、初参加の僕は当然はじめて一緒に登ることになります。普段の生活ではなかなか接点のない人同士が、ロープを結び合うことで繋がる。トップとビレヤーと役割分担することで、互いの信頼関係が築かれる。そうしたクライミングは、初対面同士をもすぐに打ち解けさせてくれます。

クライマーを惹きつけてやまない御在所岳の冬壁 。写真:ウィンタークライマーズミーティング提供
クライマーを惹きつけてやまない御在所岳の冬壁 。写真:ウィンタークライマーズミーティング提供

花谷:僕にとっての初日(ミーティングの初日は仕事で参加できず、僕は2日目からの参加となった)は、はじめてロープを組む関西の5.14&4段クライマーの宮川さんと、若い新宮くんとのクライミングとなった。大人数が集まるので、ルートは世話役を中心に事前に振り分けられている。この日は首尾よくジャンケンに勝って、最初のトップにありつけた。仕事明けの深夜特急で御在所入りして、さらにアクセルをベタ踏みしなければならなそうだったが、それは望むところだ。宮川さんのいろいろ言いながらも卒のないクライミングと、迷いながらも決めるところは決めた新宮くんのクライミングに刺激を受けた。ルートはとても日本的で玄人好みなラインで、最後は思わず吠えてしまった。

風雪の中尾根P2を登る花谷泰広。写真:ウィンタークライマーズミーティング提供
風雪の中尾根P2を登る花谷泰広。写真:ウィンタークライマーズミーティング提供
左から、宮川、花谷、新宮。写真:ウィンタークライマーズミーティング提供
左から、宮川、花谷、新宮。写真:ウィンタークライマーズミーティング提供

花谷:夜はベースの藤内小屋での楽しいセッション。上田さんの黒部横断の話を聞き、そういえばこのところ国内で重厚な山登りをしていないなあ……と反省。そして、この雪まみれの世界に戻れるかな、いや戻るぞ、と思わせられた、舟生くんの北海道の話も興味深かった。カミホロとか利尻とか、行ってみたい場所はたくさんある。そして長門と増本と横山(横山はミーティング不参加だった)のK7。カラコルムにはまだまだ可能性がたくさん残されている。いつか行ってみたい。夜遅くまで盃を傾けながら聞き入った。自分もいつかは、とか、今度は自分が、という刺激をたくさんもらった。最高だ。クライミングはもちろんだけど、こういう時間の過ごし方も本当に贅沢だ。そして付け加えておきたいのが、今回ベースとして利用させていただいた藤内小屋の居心地の良さ。我々が最大限動きやすいように配慮してくださった。

中尾根上半部でトルキングを決める舟生大悟。写真:ウィンタークライマーズミーティング提供
中尾根上半部でトルキングを決める舟生大悟。写真:ウィンタークライマーズミーティング提供

花谷:最終日のクライミングは半日だけだったが、はじめて一緒に登る関西の辻さんと、7年ぶりぐらいでロープを組んだ富山の和田くんとのクライミング。取り付きをミスるという痛恨のミスと、ジャンケンに負けるという最も手痛いミスを犯してしまったが、辻さんのクライミングを見上げながら、和田くんと久しぶりにゆっくりと語り合うことができた(もちろん、ビレイの手は緩めていない)。開催前に山でも雨が降ったとのことで、完全なドライのコンディションを想像していた。でも開催期間中は毎日風雪、クラックのなかに雪がつまり、薄氷が張るという状況となり、クライミングを味わい深いものにしてくれた。無論、はじめての御在所も大いに満喫できた。そして何より、やっぱりWCMは楽しくて魅力的なイベントである。とても稚拙な表現になるけど、これ以上の言葉が思いつかない。クライミングが大好きな者だけが集まり、登り、語り合う時間が楽しくないはずがない。来年は北海道でぜひ、という話になりそうで、いまからとても楽しみで仕方ない。

日置:神経質なベルグラやチムニーで奮闘しながら登ったり、積もった雪を払いのけてなんとか引っかかりがないものか探したり、詰まった雪を掻き出してプロテクションをセットしたり、凍った草付きにアックスが気持ちよく刺さったり、御在所岳名物の強い風雪による寒さを堪えながらかじかむ指先を温めたり、かっこいいラインを登っている人を見て嫉妬したり……。そんな甘美で刺激的な時間はあっという間に過ぎ去りました。固定概念にとらわれることなく自由なラインを伸ばしていくことのできるアルパインクライミングの魅力を再認識した3日間。今回新たに出会ったクライマーたちと今後も一緒に登ることができるよう日々クライミングを楽しんでいこう。そしていつかはかっこいい自分のラインを伸ばせるといいな。濃厚な時間をともに過ごした仲間と、暖かい宿泊と食事を提供してくださった藤内小屋の関係者の皆様に感謝いたします。

日置太郎、中尾根バットレス左凹角にて。写真:ウィンタークライマーズミーティング提供
日置太郎、中尾根バットレス左凹角にて。写真:ウィンタークライマーズミーティング提供

3月28日(土)―29日(日)東京国際フォーラムにて、全国「山の日」フォーラムが開催されます。これは2016年より8月11日を「山の日」とし、国民の祝日が施行されることにともない、山に親しむ機会を得て山の恩恵に感謝することを目指すイベントで、アンバサダーの花谷泰広も参加。オープニングトークをはじめ、世界における日本の山とクライミングについて、また安全登山についてなど対談します。

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