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リサイクル・ポリエステルをこえて

リック・リッジウェイ  /  2015年3月16日  /  読み終えるまで6分  /  アクティビズム, デザイン

Photo: Tim Davis

私たちは誰もが衣類を着つづけ、買いつづけるが、長持ちする高品質のものを買い、修理が必要になったら直し、使わなくなったら譲るか売るかし、本当に駄目になったものはリサイクルをすることにより、フットプリントを削減することができる。

2010年パタゴニアはリデュース(削減)、リペア(修理)、リユース(再利用)、リサイクル(再生)の4つの「R」を中心に構築された「コモンスレッズ・パートナーシップ」を発足した。そのアイデアは、会社とお客様が共同でパタゴニア製品のライフサクルに責任を追うというものだった。私たちはそれを「コモンスレッズ誓約」と名付けた。

その時点ですでに私たちはリサイクルに関してはかなり前進していた。1993年からペットボトル製のフリースとアンダーウェアを提供していたし、ポリエステル製品のリサイクル・プログラムも5年ほど順調にやって来ていた。お客様はリサイクルのためにパタゴニアの直営店にウェアを持参してくださり、その量は27トンにものぼった。

しかし、最初の「R」が最大の課題だった。パタゴニア側からは長持ちする製品を、そして可能であれば多用途に使えるものを作ることによってそのフットプリントを削減することを誓約した。ではお客様側からは?パートナーシップが議論を招いたのはこの点だった。なぜなら私たちは必要なものだけを買うようにお客様にお願いしたからだ。

コモンスレッズ・パートナーシップのこの側面をローンチするため、私たちは2011年のブラックフライデーにニューヨーク・タイムズ紙に全面広告を出した。最初に新聞社に連絡したとき、広告セールス担当者は新しい顧客ができたと喜んだ。だからベストセラーのジャケットの特大写真に「このジャケットを買わないで」の巨大な太字の見出しが付いたカンプを私たちが送ったときの彼らの混乱を想像してみてほしい。写真の下では、このジャケットを製造するためのフットプリントをいくら削減したところで、私たち全員が消費をつづけるのであれば、毎年製造され使われるモノの量の成長はパタゴニアが行うすべての持続可能性のための革新の利点を無駄にし、私たちの惑星の健康の指標は衰えつづけることを説明した。

広告が出たあと、環境チームのスタッフの隣人がサンクスギビングの週末にその広告を手に家までやって来てこう言った。「ありがとう。僕はこれについてずっと考えてきたんだ。これで僕が独りっきりでないことが分かった」

ほとんどの人が、私たちがこの広告を何度も出したと思い込んでいるが、実際は1994年のスーパーボウルでマッキントッシュを発表した有名なアップル社の広告と同様、これは1度しか出していない。アップル社の広告のように、「このジャケットを買わないで」は広告の歴史に残るものとなった。今日、これをカリキュラムの一部として使わないビジネススクールはアメリカにはほとんどなく、また広告が出て以来出版されたほぼすべての持続可能なビジネスに関する書籍でも言及されている。

4年前にコモンスレッズ・パートナーシップをローンチして以来、6万人以上がこの誓約をした。これは回収された27トンのアパレル同様、大きな数字に聞こえるかもしれない。だが不幸なことに私たちの地球が必要とする違いを生み出すのに十分ではない。だったらどうやってこれらのアイデアを拡大していったらいいのだろうか。もしかしたら、これをもっと楽しいものとするのが解決策のひとつかもしれない。そういうわけで最近、コモンスレッズ・パートナーシップの展開としてWorn Wearブログを立ち上げた。これは4つの「R」に加えて、お客様とお気に入りのパタゴニアのパンツやショーツやジャケットとの関係を称賛するものだ。お気に入りのパタゴニア製品の人生とその冒険のストーリーを語るものだと思ってくれればいい。そしてまだ使えるパタゴニア製品をお客様に持参してもらい、ストアクレジットと交換するトレードイン・プログラムも開始する予定だ。パタゴニアはこれを修理して販売する。つまりユーズドウェアのビジネスへと参入することになるのだ。

新品を作るのに比べて利益ははるかに低いが、人びとに責任ある暮らしをしてもらう手助けをするための責任あるビジネスとなるためには、正しいことのように感じられる。そしてそれは私たちのミッションである「最高の製品を作り、環境に与える不必要な悪影響を最小限に抑える。そして、ビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する」とも合致する。

リック・リッジウェイは著者、登山家、そしてパタゴニアの環境部門担当副社長。

リサイクル・ポリエステルについて

1993年、パタゴニアは企業としてははじめてPCR(消費者から回収/リサイクルされた)ペットボトルからの再生フリースを採用した製品を作りはじめ、のちにキャプリーン・ベースレイヤーにも採用するようになりました。それ以来、パタゴニアは何百万本のペットボトルを廃棄処分から救ってきました。しかし、2000年代初期にはさらに改善の余地があることを認識しました。パタゴニアのポリエステル衣類の多くはリサイクルされたペットボトルを使って製造されてはいましたが、衣類自体は(通常長いあいだ愛用されたあとに)理想的な終焉を迎えていませんでした。統計によれば、多くが埋立て地行きとなっていることが示されていたのです。

実際の衣類をリサイクルすることはできないでしょうか。もし着古したジャケットが新しいそれに変身し、ポリエステルの原材料である原油を循環型リサイクルにできたらどうでしょうか。2005年、私たちはまさにこの実現を約束するテイジン社の「エコサークル」というテクノロジーと提携しました。着古したフリースとベースレイヤーを回収し、どのみち空で返っていくコンテナ船で日本へ輸送しました。テイジンではボタンやジッパーなどポリエステル以外のものを自動的に選別する機械に通し、化学的に繊維を溶かして、新しいポリエステル・チップを作ります。チップは繊維に紡がれ、新しい衣類となります。この工程はエネルギー消費量と二酸化炭素排出量を75%近くも削減するだけでなく、より重要なことに、元のポリエステルとなった原油を完全に循環させます。

このプログラムを促進させるため、パタゴニアはクライミング・アンバサダーのティミー・オニールにスーパーマンの下着を着せて日本へ送り込み、東京の路上で下着をリサイクルするように勧めるビデオを撮影しました。ビデオはバイラルにはなりませんでしたが、リサイクル・プログラムは大成功を収めました。

日本での取り組みと平行して、ユニファイ・マニュファクチャリング社は2007年、ノース・カロライナ州ヤッドキンヴィルでリサイクル・ポリエステル繊維「リプリーブ」を開発していました。同社は紡績工程で発生した廃棄物のリサイクルからはじめ、自社の紡績工場で循環型リサイクルを実現したのです。そして2010年時点ではPETボトルを原料とした100%消費者から回収/リサイクルされた繊維を製造していました。パタゴニアは当初から同社のリサイクル・ポリエステルを使用しています。

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