『Xboundary』:アラスカとブリティッシュ・コロンビアのサーモン・リバーを露天掘り鉱山から守る
カナダのブリティッシュ・コロンビア州北部ではいま露天掘り鉱山がブームです。その規模は巨大で、その場所は国境を越えてアラスカへと流れ込む主要なサーモンの生息する川の源流に位置することにより、アラスカ州民は何十億ドルもの漁業と旅行産業を脅かす汚染リスクを懸念しています。その懸念は2014年8月4日にブリティッシュ・コロンビア州のフレーザー川の流域付近にあるマウント・ポリー鉱山の破壊的な鉱滓ダムの決壊でさらに高まりました。
昨年の夏、『Xboundary』の制作の一部として、私たちはユヌック川流域160キロを横断しました。以下はその旅のあとに〈Trout Unlimited Alaska〉から受けたインタビューの抜粋と行動への呼びかけです。〈Trout Unlimited Alaska〉はパタゴニアとともに本プロジェクトを支援しています。
ビデオ:サーモン映画『Xboundary』byライアン・ピーターソン
トラウト・アンリミテッド(以下TU):ユヌック川の源流から海までの壮大な旅へと出た理由は?
ライアン・ピーターソン(以下RP):この場所を内から理解し、撮影したいと思ったからです。流域上部はことに遠隔地で、特別な映像が撮影できるかもしれないと思いました。だからブリティッシュ・コロンビアの源流にある湖へと飛び、アラスカの河口までたどりました。半分は徒歩で、半分は
TU:これはユヌック川における源流から河口までの初の遠征だったのですか?
RP:私たちの知るかぎりででは。下流は多くの人が使用しますが、ブリティッシュ・コロンビアの最も上流部に行ったことのある人を見つけることはできませんでした。
トラビス・ラメル(以下TR):ボートを湖に出して流れて行けばいいと思っていましたが、空から見ると僕らの想像とはまったく違うことに気づきました。川は僕が予期していたよりも急で、地形ははるかに険しいものでした。ハイクしなければならない地形、そのスケールの巨大さを見た途端に吐いてしまいました。
TU:どういうことですか?
RP:反吐ですか?
TU:いえ、地形のことです。
TR:飛行機に乗る前にプーティンを食べ過ぎていたのが災いしました。でもパイロットは狭い渓谷の地形の上を回っていただけです。それは巨大で切り立っていて、深い森林に囲まれていました。歩いて通過できそうな空間はありませんでした。そして川の上流はとても険しいのです。5級の滝と丸太の行き止まりで、休憩できる川岸もありません。場所によっては尖った刺の植物であるハリブキでいっぱいで、私たちはトンネルのようにくぐらねばなりませんでした。それはまさに先史時代の様相で、他に良い言葉が見当たらないのですが、いわゆる手つかずでした。
RP:それに熱帯雨林の林冠の下ですから、素晴らしい景色を見ながら快適に歩くというわけではありません。暗くて木だらけで、視界は30メートル程度です。5日間歩いてやっとボートを浮かべられる場所に出ました。「ああよかった。これで終わりだ」と思いました。「これでやっとボートの上に気楽に座って景色を楽しめる」とね。でも川の威力は強烈で、溶岩の渓谷はとても狭く、安全に通過するためには一日一秒たりとも気を緩めることはできませんでした。
TR:友人のゴードン・クルコは僕らよりもはるかにボートの経験があるのですが、彼が先に進んでたどる方向を示しながら、ライアンと僕がやっていたようなお気楽なやり方ではなく、実際にハードにパドリングするよう忠告してくれました。僕らの命が掛かっているかのように。そして僕らはそれが真実であることをすぐに学びました。
TU:文明の気配はありましたか?
TR:鉱山キャンプの跡地を通過しました。ひどい場所でした。ヘリコプターで資材が持ち込まれ、去るときにふたたび費用を払ってヘリコプターで持ち帰りたくなかったのは明らかでした。だから置き去りにしたのです。文字通りゴミで一杯の小屋がありました。
TU:ブリティッシュ・コロンビアのマウント・ポリー鉱山の惨事と同日にアラスカでこの映画のためのインタビューをはじめたと聞いています。事故の1か月後にそこへ行ったときはどんな感じでしたか?
TR:1か月後にも清掃はされておらず、鉱山をふたたび操業するために鉱滓ダムの再建を急いでいたことが語られていました。僕に言わせれば気違い沙汰です。住民の多くは鉱滓ダムの直接下流にあるケスネル湖から水を引いていて、誰もシャワーを浴びたり、水を飲んだりしたがりませんでした。人びとはとても恐れていて、また回答を得ていないと感じていました。そしてこれがマウント・ポリーで起きたという事実が驚きです。この鉱山はわずか17年しか稼動していません。鉱業、クリーンウォーター、サーモンが共存できる輝かしい例として鉱山産業が掲げていた近代的な技術をもつ近代的な鉱山でした。それが決壊したのです。
TU:人びとにこれから何を学んでほしいですか?
RP:アラスカ南東部の漁業と旅行産業は文化の基礎であることは言うまでもなく、何十億ドルもの産業であり、健全そのものです。しかしブリストル湾の国務省とアラスカ議会代表団と接触し、カナダの露天掘り鉱山からアラスカを保護するために立ち上がることを促してください。
ライアン・ピーターソンはアンカレッジ在住で、アラスカおよび北太平洋でサーモンとそれに依存する人びとの物語をレポートしている。過去に2度(「One in Winter」と「Sea-Swallow’d」)クリーネスト・ラインに投稿。