ネバダ州の「深い時間」:ベイスン・アンド・レンジ・ナショナル・モニュメントの提案
ジョン・マクフィーは彼の著書『ベイスン・アンド・レンジ』のなかで、ジュニパー(セイヨウネズ)で緑に染まる高い山脈、しばしば雪で白く覆われたあまり知られていない何百もの山々の禁欲的な美の静かな世界という時間、つまり「深い時間」について語っている。その地形は地質学を叙情的に喚起する本書の背景となり、プレート・テクトニクスの変革と地質年代尺度といった重要な余談も登場する。マクフィーはこうつづける。「100万年といった時間への通常の反応から自らを解き放つことができれば、自分を人間の時間の境界から自由にできる。そうすれば、ある意味自由になれるのだ」
僕はこの20 年間、グレート・ベースンを探索してきた。いちばんやりたいことはネバダ州の遠隔地を旅し、この州の自然と歴史的な驚異を発見すること。連休に人ごみを避けるのであれば、シェラネバダに行くのではなく、グレート・ベースンをぶらつくといい。大抵の場合、この土地でお目にかかるのは数頭の家畜とミュールジカ、ジャックラビット、そして遠吠えするコヨーテだけだ。マクフィーは正しい。ここは時間という概念が静止し、リラックスできる場所だ。そして運がよければ天然の温泉に浸かり、流れ星を数えることもできる。
ベイスン・アンド・レンジ・ナショナル・モニュメントの提案はこの時間を超えた景観を保護し、この地域にある手つかずの場所を残すチャンスだ。本提案には重要な歴史的/文化的資源に溢れる景観と、ワーシントン・マウンテンズのレヴィアサン・ケーブを含む多岐にわたるユニークな地質を含む。また脅威にさらされ、傷つきやすい24種の野生生物がベイスン・アンド・レンジを住処としている。このエリアはキジオライチョウとヤマヨモギに住むミュールジカやピグミーウサギの最も重要な生息地だ。つながり合う山々は鹿やヘラジカの冬場の生息域となり、それは気候変動の観点からも重要だ。
提案が大規模なのは意図的だ。手つかずの山脈と渓谷のシステムは保護のための広大なアプローチを要する。このナショナル・モニュメントの提案はラスベガスから北へ2時間の場所に位置する土地管理局の877,000エーカーから成り、2つの渓谷(ガーデンとコール)と8つの山脈(ティンパヒュート、パロック、ワーシントン、マウント・アイリッシュ、シーマン、ゴールデンゲート、グラント、クイン・キャニオン)を含む。
ベイスン・アンド・レンジの提案にはもうひとつの宝物が含まれている。それは「シティ」と呼ばれるマイケル・ハイザーの完成間近のアートワークで、アメリカにおいて作られた最も重要なサイト特有アートだ。40年の年月をかけ、1.5マイルにおよぶシティ(ワシントンD.C.のナショナル・モールの規模を想像してほしい)は抽象的な彫刻かつ建築物サイズの固められた土とコンクリートのフォルムから成り、古代の儀式都市の規模と形を彷彿させる。正直なところ、この説明では事足りない。こう想像して欲しい。(僕がやったように)そこへ運転していくと1マイル先の水平線に低い隆起がかろうじて見える。砂漠では規模の判断を誤るのは容易だ。さらに近づくと隆起はハイザーの彫刻だとわかる。砂利に覆われた曲線の沈んだ砕石所に位置する長方形の構造物。中に入り、地階に立ってはじめて、土手で隠されたすべての墳丘、穴、通路、プラザ、傾斜面、階段状の地面を見ることができる。ハイザーにとってサイズは重要で、スラブのいくつかは150メートルの高さを持ち、重さは何千トンもある。つまりシティは畏敬の念を抱かせる場所なのだ。
ガーデンおよびコール・バレーとシティを取り巻く8つの山脈の美しさは正しく評価されるに値する。この景観だけでなく、完全かつ永久的にとけ込むアメリカ人アーティストによるアートワークを加えると、ネバダ州における土地利用と保護の劇的なレガシーを残すチャンスとなる。景観そして景観アートを保護するリーダーになることができるのだ。この2つは関連し合い、アメリカ特有のものだ。
先週、水曜日の午後に上院議員ハリー・リードと下院議員ダイナ・タイタスとの「保護のための対話」に出席するために300人がラスベガスに集まった。〈Friends of Gold Butte〉や〈Nevada Resort Association〉などの多岐にわたる市民がネバダの最も重要な景観を守る重要性について発言した。考えてみてほしい。水曜日の午後に300人が集まったのだ。今こそ行動すべきときだ。
このユニークかつ時間を超越した景観を守るために声を届けよう。
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