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いちグローバル企業としてTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に反対します。

ローズ・マーカリオ  /  2015年7月9日  /  読み終えるまで5分  /  フットプリント

地図:フットプリント・クロニクル

パタゴニアは環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)とそのファスト・トラック認可に反対します。私たちはTPPとその地域内で製造される製品の関税削減から恩恵を得ることになりますが、マイナーな潜在的利益は社会および環境コストに値しません。

私たちはTPPが貿易協定としては前例のない環境および労働者の保護につながるというオバマ政権の保証にじっと耳を傾けました。そして私たちは、いくつかの理由により、納得していません。

最大の問題はTPPの秘密対応です。つまり部分修正もないまま議会で信任投票され、そして法律となるまで交渉は非公開で行われ、かつパブリックコメントも受け付けないのです。これは透明性とは正反対で、薄弱な民主主義といえます。

複数段階の貿易協定においてある程度の機密性が必要であることは理解できますが、オバマ政権が私たち、そして興味をもつ非営利団体や一般市民が読むことのできない協定への承認をビジネスリーダーに求めるのは、ばかげています。私たちはいまだにTPPに含まれる労働規定、環境保護、あるいは農業への影響についてはっきりと見えませんし、それは他のアメリカ市民も同じです。

いまから20年後、この古くさい慣行がかつて可能で容認できるものと考えられたことに、私たちの子供たちが首を振る様子が想像できます。また私たちはその遂行に関しても懐疑的です。NAFTA(北米自由貿易協定)、CAFTA-DR(米国と中米5か国およびドミニカ共和国との自由貿易協定)、ペルー自由貿易協定、韓国、コロンビア、パナマ協定を含む)以来、すべての主要な貿易協定についてクリントン、ブッシュそしてオバマ政権は、これまでに「前例のない」環境および労働保護を提供すると打ち出してきました。

しかし、ことに労働については、これらの約束は果たされていません。昨年の秋、GAO(米会計検査院)は「米国貿易代表および労働省は『自由貿易協定の労働規定について体系的に監視し、遵守を執行しておらず』、そしてアメリカの機関は全般的に『遵守の問題を識別し、その対応策を開発/履行し、執行行為を取る』ことはしていない」と結論付けています。TPPがこれらと異なることを信じる根拠はほとんどありません。

近年の貿易協定はますます、すでに低い貿易障壁を下げることよりも(巨大な農畜産業、医薬品、メディア産業の)知的財産の保護のためのものとなっています。たとえば〈国境なき医師団〉は、この協定が貧しい国々で医薬品の値段を高く保持するために利用されるのではないかという理由から、TPPに反対しています。オーガニック食品ビジネスの仲間は誰もが未来の世代のアメリカの農夫にもたらす悪影響を懸念して、TPPを支持していません。〈シエラ・クラブ〉やその他の主要環境団体、消費者権利の提唱者、労働組合、そして〈アメリカン・サステイナブル・ビジネス・カウンシル〉もTPPに反対しています。

私たちはとくに投資者と州の紛争解決の構造に懸念を抱いています。それはアメリカを含む参加諸国が協定で定められたレベルを超えて環境保護法を強化した場合に失われる利益の返還を求めて、外国の多国籍企業とヘッジファンドが訴訟を起こすことのできるものだからです。

たとえば、温室効果ガスの排出を削減することを求める国は、協定で定められた以上に厳しい法律を通過させる場合、みずからを危機に晒すことになります。環境保護にとって、これは底辺への競争です。世界的な多国籍企業は恩恵を受け、勘定を支払うのは納税者になります。

パタゴニアは私たちのビジネスに悪影響を及ぼすことを懸念し、1990年代初期のNAFTAとGATT(関税と貿易に関する一般協定)に反対しました。その判断は当たっていました。これらの協定が実行される前、パタゴニアの製品の半分以上がアメリカの繊維工場や縫製工場で作られていました。そしてNAFTAとGATTは専門的な高価値の製造業者を含むアメリカのアパレル産業に大打撃を与えました。

私たちは毎週のように、なぜもっと自国で衣類を製造しないのかとお客様に問われます。それに対するすばらしい回答はありません。なぜなら非常に単純な衣類以外のインフラは自国には無くなってしまっているからです。パタゴニアの品質と社会的/環境的責任への厳格な水準を満たすことのできる最高の工場が存在するのは、いまは外国なのです。

究極的には、問題は貿易が自由かどうかではなく(それは世界中でだいたいにおいて自由です)、新しい貿易協定から誰が恩恵を受けるのかにあります。それは国内あるいは国外の多くの人にとって有益なのでしょうか。それともごく少数の人、つまり不透明で一般の監視なしに自分の利益を法律にしてしまえる経済的/政治的権力をもつ人にとって有益なのでしょうか。

それらの疑問は貿易協定の文章への透明性がなければ回答不可能です。もし私たちそして全アメリカ市民に協定を目にする機会があれば、私たちはその価値について直接討議することが可能です。アメリカ人はやみくもに白地の小切手を出せと求められているのです。来る投票について考慮するアメリカ下院の議員は早期一括交渉権へ反対票を入れるべきなのです。

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