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2011年、カリフォルニア州のユバ・リバーのエングルブライト・ダムを見下ろすイヴォン・シュイナード。Photo: Matt Stoecker
2011年、カリフォルニア州のユバ・リバーのエングルブライト・ダムを見下ろすイヴォン・シュイナード。Photo: Matt Stoecker

野生の魚はトラックには乗らない

By イヴォン・シュイナード/マット・シュテッカー   |   2015/08/27 2015年8月27日
2011年、カリフォルニア州のユバ・リバーのエングルブライト・ダムを見下ろすイヴォン・シュイナード。Photo: Matt Stoecker
2011年、カリフォルニア州のユバ・リバーのエングルブライト・ダムを見下ろすイヴォン・シュイナード。Photo: Matt Stoecker

本論説は2015年7月23日のサクラメント・ビー紙に掲載されたものです。

5月7日、ユバ・サーモン・パートナーシップ・イニシアチブ(YSPI)はカリフォルニア州では初の「捕獲と運搬」プログラムに着手する計画を発表した。捕獲と運搬とは魚を捕まえて、トラックに乗せ、ダムなどの障壁を迂回させるために川の上流/下流に運ぶ作業だ。

このイニシアチブが提案しているのは、キングサーモンをエングルブライトとニューバラーズ・バーという2つのダムを迂回させ、ユバ・リバーの北流へと移動させる7億ドルの50年計画である。

私たちはユバ・リバーとそこでサーモンが繁栄するのをこの目で見たい。だがこのような、ユバ・リバーにおける野生で持続可能な漁場や、流域機能の真の復元を達成しない高額なプロジェクトは大きな誤りだ。

この提案はユバ・リバーだけでなく、ダムに塞き止められて破壊された全国の川にとっていちかばちかの賭けだ。捕獲と運搬がここで実現することになれば、次はどこの川か。これほどに費用がかかる近視眼的な方法は、もっと効果的で持続可能な救済方法にどのような影響をおよぼすのだろうか。

カリフォルニア州魚類・野生生物局は自局の「スチールヘッド復元と管理計画」で「捕獲と運搬作業の失敗の歴史」について触れ、このような解決策を「テクノロジーの傲慢さ」と呼ぶ、『コンサーベーション・バイオロジー』誌に登場した研究書を特集している。

エングルブライト・ダムはわずかな水力発電しか行っておらず、貯水池として、あるいはレクリエーションの場としての恩恵も限られている。また野生の自生魚の通過を妨害し、貯水地には大量の汚染した鉱山堆積物が溜っている。この堆積物はモンタナのクラーク・フォーク・リバーからミルタウン・ダムが撤去されたときのようにクリーンアップが可能で、またそうされるべきである。

エングルブライトのような価値の低い、役立たずのダムを撤去すれば、魚はすぐに復帰し、その他の問題も取り除かれることは科学的に明らかになっており、エルワホワイト・サーモン、ペブノスコット・リバーでは実際に成功がみられている。エングルブライトを撤去し、ユバ・リバーの中流および南流への通過経路と十分な水流をもたらすことにより、サーモン、スチールヘッド、チョウザメ、またその他の自生魚のために何十マイルもの生息地を解放することができる。

捕獲と運搬計画は収集施設という形で川にさらなるコンクリートをもたらし、ディーゼル燃料を使った複雑すぎる回避方法を作る。そしてその高額さにもかかわらず、ダムが引き起こす深い問題を解決しない。ダムは水質を劣化させ、栄養素の流れを阻止し、生息地を破壊する。

野生の魚はトラックには乗らない

サーモンの運搬。カリフォルニア州リオ・ビスタ。Photo: Steve Martarano, USFWS

ユバ・リバー・イニシアチブのメンバー(魚類・野生生物局国立海洋漁業サービスユバ郡水道局、〈アメリカン・リバー〉、〈トラウト・アンリミテッド〉、〈カリフォルニア・スポーツフィッシング保護同盟〉)はより総合的かつ透明性をもったユバ・サーモン・フォーラムへと戻るべきだ。

現在ユバ・リバーの生息地を改善する選択肢を吟味するため、300万ドルの米国陸軍工兵隊が研究を進めている。この研究でなされるべきは、すべてのダムの撤去、堆積物管理、洪水保護の選択についてである。カリフォルニア大学デービス校の科学者は、エングルブライト・ダムの撤去は「さらなる研究を要する」という研究結果を昨年発表したばかりだ。

結論からいえば、魚を捕獲や運搬することは漁場と水域の復元には決してつながらない。捕獲と運搬のプログラムは絶滅危惧種保護法に定められた復元水準を満たすことも、カリフォルニア州魚類・野生生物局の目標である「野生」かつ「自己維持が可能」な個体数を支援することもない。

全国で粗悪な前例を作ってしまうこの無駄な運搬プランを見直すよう、僕らの公共機関に働きかけよう。結局のところ、野生の魚はトラックには乗らないのだから。

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イヴォン・シュイナードはパタゴニアの創業者/オーナー。マット・シュテッカーは生物学者でシュテッカー・エコロジカルのオーナー。イヴォンとマットは映画『ダムネーション』を着想し、共同制作した。

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