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次の世代に繋ぐために

中山 翔太  /  2016年5月9日  /  読み終えるまで6分  /  アクティビズム

夏の虫取り。子供たちがのびのびできる自然がここ三つ又沼ビオトープには残っています。写真:松並三男 

幼いころ、何もない草原で虫とりをしたり、外で夢中になって遊んだ記憶はありませんか?昔は当たり前にあった自然も、いまでは「貴重」な自然になっています。足元にある小さな植物も、もしかしたら絶滅する危険性がある植物かもしれません。

NPO法人〈荒川の自然を守る会〉はそんな貴重な自然を子どもたちの大切な財産として保全していくことを目的に活動をしています。この市民団体は荒川周辺に残された自然を守るため、埼玉県上尾市を中心に20年以上にわたって地道に活動をつづけてきました。荒川は日本で最大の広さをもつ関東平野を流れ、そして東京湾に注ぐ一級河川です。古くから農業用水、発電用水、そして水道用水として広く人びとに利用され、地域の人たちに多くの恩恵を与えるとともに地域の発展を支えてきた川でもあります。

この団体の活動場所は、荒川の河口から約48キロメートル上流、埼玉県上尾市、川越市、川島町にまたがる河川敷の大草原です。おもな活動場所である「三つ又沼ビオトープ」と「太郎右衛門自然再生地」をあわせるとその面積は400ヘクタール以上(東京ドーム約100個分)もあり、そこにはいまなおハンノキが繁殖する湿地が残っており、ミドリシジミをはじめ、イタチ、タヌキ、キツネ、カヤネズミなどの野生生物が生息する貴重な生態系をみることができる場所です。そうした場所で、現在はおもに水と緑のネットワークの拠点となる三ツ又沼ビオトープとその周辺の、保全管理、自然環境調査、環境教育の推進などに取り組んでいます。

次の世代に繋ぐために

未来の先生達へ環境教育の種まき。学生たちと輪になって自然について話しあい。写真:水津幸代

神田ストアでは「ボイス・ユア・チョイス」を通して、過去4年にわたりこの草の根団体を助成してきました。そして20年以上地道に活動をつづけているこの〈荒川の自然を守る会〉をサポートするなかで浮上してきた問題点が、団体の活動を引き継ぐ若い世代が育っていないということでした。環境団体の多くは会員の高齢化にともなう後継者不足が問題のひとつになっています。

どんなに良い活動をつづけていても、それを引き継ぐ人がいなければ活動が途絶えてしまう……。それを打破すべく、神田ストアでは昨年度インターンシッププログラムを利用して本団体のサポートを行いました。そしてまずリーフレットとFacebookの団体ページの制作をお手伝いしました。〈荒川の自然を守る会〉を多くの方に知ってもらうための広報ツールの制作です。リーフレットを配布したり、Facebookの投稿で団体の存在や活動を知ってもらうことで、後継者問題の前に、まずは賛同してくれる参加者を増やすことが目的でした。そして今年はそれらの運用面でのサポートをしたいと思い、個人でのインターンシッププログラムを申請しました。

活動に年間を通して参加していくなかで、季節によって違う景色を見せてくれる三つ又沼ビオトープや通うたびに植物が増えていく移植地に惹かれたり、お手伝いしてくださる学校や企業の方などのにぎやかさ、そして団体の方たちのひたむきさなど、この場所を自分のふるさとのように好きになっている自分がいました。その理由のなかで大きなもののひとつには、何より団体の方々が自然が大好きで楽しむ心を忘れず、自分たちのできる範囲で行動していることがあります。そうした良さを知ってもらうためにも、親子向けのイベントの企画をしたり、リーフレットを置いてもらえる場所を団体の方たちとともに地道に増やす努力をしてきました。〈荒川の自然を守る会〉は行政とも、とても良い関係を保っているため、本団体を存続させようと、さまざまな企画の考案に協力的であることも、幸運なことです。

次の世代に繋ぐために

親子自然塾。親子でたっぷり楽しめるイベントも開催しています。写真:荒川の自然を守る会代表 菅間宏子

その結果、少しずつではありますが、あらたに参加してくれる人たちも増えてきました。毎回遊びに来てくれて、大人たちに新しい発見を教えてくれる小学生、すごく熱心に活動に参加してくれている高校生、生態系や自然に興味がある地元の方たち……。とても幅広い世代の方がたが草の根活動に参加してくれています。なかなかすぐには次の世代へと繋げることはできませんが、もっと若い会員が増えなければあと10年、20年で団体がなくなってしまうかもしれない状況のなか、参加者が増えてそこから団体に興味をもって会員になってくれる方が生まれていけば、絶対的なリーダーがいなくても、役割を分担していくことで団体の存続は可能です。また現実的なメリットとして、団体が実施している外来種除去の人出が一時的にでも増えることで、除去範囲の拡大や作業時間が短縮されます。地道につづけてきた活動がなくならないよう、これからもこうした種をまきつづけることが必要だとあらためて実感しました。

次の世代に繋ぐために

春の昆虫観察。大人も子供も昆虫観察に夢中に。写真:中山翔太

代表の菅間宏子さんの言葉で印象深いものがあります。

「私たちは自然を壊してきた世代。生まれ育った土地にある身近な自然の本来の姿を子供たちに残してあげたい」

決して口だけではなく、実際に20年以上にわたり泥にまみれ、汗をかきながら、そしてなにより自然を楽しむことを忘れずにいまも活動をつづけられています。自然を壊してしまうのが人の手によるものなら、自然を守るのも人の手によらなければならない。そう思わされた言葉でした。誰が参加してもいい。参加してくれるだけでうれしい。そんな代表の菅間宏子さんの言葉どおり、どなたでも参加は大歓迎で、どなたでも本当に楽しめます。三つ又沼ビオトープに残された自然のなかにいるとなんだか懐かしい気持ちになります。たまには童心にかえり、自然のなかで思いっきり体を動かしませんか?そこは忙しい日々のなかで忘れてしまった「大切」な何かを思い出せる場所のひとつになるはずです。そしてそれこそが、次の世代に繋ぐための種なのです。

次の世代に繋ぐために

NPO法人〈荒川の自然を守る会〉の活動はパタゴニア 東京・神田でもご報告/ご紹介していきます。活動への参加はどなたでも可能です。ご興味のある方はお気軽にストアまでご連絡ください。

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