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米国史上最大の素晴らしい機会となった、エルワ・ダム撤去の開始に居合わせるイヴォン・シュイナード。ワシントン州クララム郡 Photo: Michael Hanson
米国史上最大の素晴らしい機会となった、エルワ・ダム撤去の開始に居合わせるイヴォン・シュイナード。ワシントン州クララム郡 Photo: Michael Hanson

投票することは、無駄ではない

By イヴォン・シュイナード   |   2016/06/10 2016年6月10日

「気候変動を否定し、世界の気候科学者の99%よりも自分のほうが賢いと自負する政治家は、いかさま師か大バカのどちらかだ。そんな奴らに、なぜ投票するのか」

アメリカでは、前回の大統領選挙で一票を投じた有権者はわずか60%だった。そのうち多くが大統領候補者の部分にだけ投票し、地方議員投票や住民投票の部分は空白のままだった。

編集者記:日本における直近の選挙の投票率をみると、2015年統一地方選挙では過去最低の、市長選挙50.53%、市議会議員選挙48.62%の平均投票率でした。また2013年参議院選挙では全体投票率は52.61%。しかし20代の若い有権者は33.37%と、世代別でもっとも低い投票率でした。

すべての政治は地方選挙からだ、と皆が言う。だったらなぜ僕ら全員が、僕ら自身の子供たちを教育する人を選ぶことや、僕らの地元の川や運河を掃除するかどうかを気遣わないのだろうか。僕らは鉛で汚染されていない水を飲むことや、きれいな空気を吸うことを気にするべきでないだろうか。狩りや釣りをする地元の沼を土地開発業者が埋め立てるのを、なぜ誰も気にしないのだろうか。君たちの町の空き地を地域菜園のままにしておくために、なぜ誰も市議会と闘わないのだろうか。ミシガン州のフリント市の住民に淡水について聞いてみるといい。ウエストバージニア州で喘息に苦しむ子供たちにきれいな空気について、カリフォルニア州バーノン市の人びとに土地汚染について尋ねてみるといい。

とても単純なことだが、僕らはおしまいだ、健全な環境がなければ。

投票者のほとんどは引退した高齢の白人男性(僕自身も、活動的だが、高齢の白人男性)で、彼らは教育(子供はすでに成人)、累進課税、環境といった、自分たちが死ぬまでには成し遂げない変化や計画には反対票を投じる傾向にある。

若者(18 〜30 歳)では、最近の中間選挙で投票したのはわずか25%だ。若い有権者のほとんどが政治に幻滅し、公民権を剥奪されたと感じているが、彼ら全員が投票すれば政治家は、学生ローン、公平な賃金、居住といった問題を真剣に取り上げざるを得なくなる。投票をしないということは、無気力と行動しないことの永遠の循環だ。

それから中絶、税金、候補者の性別や人種など、ある特定の問題だけを気に掛ける単一争点の投票者もいる──地球に起こっていることは無視して。あるいはすべての政府機関を嫌悪するだけの人も。こうした人びとは、冗談抜きで、教養のない政治家に投票する傾向にある。我々の偉大なる国アメリカは世界においてその生活の質で14 位、医療で37 位、教育で14位と格付けされている。トップの格付けを得ているほとんどは社会民主主義の国々だ。アメリカ人の多くが社会民主主義を共産主義同一視し、否定的にとらえる。しかし、彼らはアメリカが実際に社会民主主義、福祉国家の国であることを認識していない。僕らは巨大な農業ビジネス、大きすぎてつぶせない銀行、化石燃料会社と独占企業に助成しているのだ。そしてその多くが「合法」の策謀により、税金を払っていない。アメリカでは370 億ドルの助成金が化石燃料会社に当てられる。問題は政府の助成金自体ではなく、誰と何が助成を受けているかだ。支払う税金を通して、僕らはこれらの間違った存在を支援しているのだ。

政府は押されなければ、動かない。これができるのは僕ら自身か、あるいはコーク兄弟、あるいはウォールストリート。気候変動懐疑論者のコーク兄弟は、気候変動に取り組む政策や法改正に反対するために何十億ドルも費やしている。〈350. org〉のビル・マッキベンはこう語る。「コーク兄弟は匿名での献金が可能なドナーズトラストのような組織を通して献金し(温暖化傾向にある世界では困難な仕事である)気候変動がないことを立証するのではなく、あらゆる手段を使って可能な限り気候変動があることについて疑念を起こさせるということに終始している。タバコ産業から拝借した手法で」

僕らは以前、市民と呼ばれていた。そしていまでも、投票権を行使し、投票する責任を果たすことによって、市民のように振る舞うことができる。この惑星の物語においてじつに深刻な時期である現在、僕らには自然世界を破滅させるか、あるいは僕らの住処であるこの美しい青い惑星を救うかの可能性がある。気候変動を否定し、世界の気候科学者の99%よりも自分のほうが賢いと自負する政治家は、いかさま師か大バカのどちらかだ。そんな奴らに、なぜ投票するのか。

僕らが行動しなければ、人のため、重要な課題のため、賢明な投票をしなければ、子供達の未来と地球環境に無関心な人々の票が政治に反映されてしまうかもしれない。

皆が一緒に動けば、酷い政府に我慢を強いられるのではなく、僕らが本当に必要とする政府を作ることができる。

投票することは、無駄ではない

日本では何が起こっているだろうか。川から運ばれてきた水の汚れを濾過するフィルターの役割を担い、生命を育む干潟の41%が埋め立てなどにより消滅。大気汚染は一日あたり約180 人の早期死の原因であると推定。EU や韓国で禁止されたネオニコチノイド系農薬は日常生活の中で広範囲に使用され、そして福島第一原子力発電所事故による放射能汚染はいまだに残る状況であるにもかかわらず、原子力政策は維持されたまま――。これらはすべて、私たちが投票で選んだ政治家の政策によるものだ。

ボクらはおしまいだ、健全な環境がなければ。
皆が一体となって動けば、必要な政府を選べる。

参議院選挙2016――Vote Our Planet. 投票しよう。

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