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気候に恩恵をもたらす繊維システムを作る

気候に恩恵をもたらす繊維システムを作る

By レベッカ・バージェス   |   2016/07/04 2016年7月4日

レベッカ・バージェス

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気候変動危機はどうやったら解決できるのでしょうか。その答えは私たちの足の下、つまり土壌に存在するのかもしれません。炭素は土壌、海洋、食物、繊維、そして大気のなかを移動するかぎりある資源で、古代の炭素は地球の核のなかに化石として残されています。地球を入ったり出たりする炭素はなく、私たちはたんに誤った場所に過多な炭素があるのを目撃しているだけなのです。しかし炭素のサイクルを見ると、その移動パターンは、この危機を巨大なチャンスに移行させる重要な可能性を明らかにしています。

どうすればいいのでしょうか。それは地球の土壌に炭素を復帰させることです。土壌は地球第二位の炭素源です。そしてオリジナルの炭素の50~70%を失っており、その多くは大気にさらされると酸化しています。産業革命の幕開以来、私たちが土壌から抽出してきた炭素は136ギガトン(1ギガトン=10億トン)になります。

写真上:産業用ヘンプとオーガニックコットンから織られ、天然染料で染められた手製の星条旗を持つレベッカ・バージェス。写真:Donnie Hedden

〈ノースイースト・オーガニック・ファーミング・アソシエーション〉の研究努力からのデータによると、この惑星には83億エーカーの草原と38エーカーの耕作地が存在します。これらの土壌に炭素をもたらす慣行を採用することにより、毎年23.7ギガトンの炭素を戻すことができます。再生可能な農業慣行によって5年以内に健康な土壌を作り、大気から106.25ギガトンの二酸化炭素を除去すれば、気候専門家が安全だと見なす大気二酸化炭素レベルまで戻ることができるのです。

炭素循環農法」と名付けられたこの土壌再生作業は、植物の炭素取り込みを向上させる方法で土地を管理します。炭素循環農法は放牧地にコンポストを適用し、不耕起栽培と放牧地での作付け、また河川に植物を再生させるなど、長年実証されてきた慣行によって可能となります。

私は〈ファイバーシェッド〉の創始者で〈カーボン・サイクル・インスティテュート(CCI)〉の理事長としてこの戦略を前進させるため、農家や牧場主、政策専門家だけでなく土壌、大気、放牧科学者と仕事をし、また既存の地元の牧場主や農家と気候に恩恵をもたらす繊維の開発に勤めています。〈CCI〉と協力し、私たちはカリフォルニア州最大の上質ウール繊維生産業者の1社のために炭素循環農法計画と牧場におけるコンポスト作業を開発しました。

土壌科学の最善の理解を実践することにより、私たちは生産過程での二酸化炭素収支がマイナスな繊維の生産方法の道を開いています。近い将来、着用可能な「炭素吸収源」衣類を心に描きながら。再生した土壌で育った天然繊維の衣類は、土壌で生まれ土壌へ戻ります。これを「土壌から土壌への繊維システム」と呼んでいます。つまり大気中の炭素の削減を促進させ、地球の自然のプロセスと調和する衣類をより多くの人びとに着てもらうためのシステムなのです。

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「土壌から土壌へ」は栽培から衣類および製品の製造工程の各々、そして寿命が尽きた際にコンポストすることまでが完全に考えられた繊維システム。資料提供:〈ファイバーシェッド〉

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再生型農業と繊維システムの交点で働くレベッカ・バージェスは、カリフォルニア州ウエスト・マリンの非営利団体〈ファイバーシェッド〉のディレクター。カリフォルニア州をはじめとする農家や牧場主と恊働し、気候により恩恵をもたらす農業の開発を目的に地域に根ざした繊維システムを先導している。

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