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マラマ・ホヌア:ホクレアの希望の航海 パート4 正しい方向

ナイノア・トンプソン  /  2017年4月24日  /  読み終えるまで4分  /  コミュニティ

グレート・バリア・リーフを抜ける航路にてマカアラ(覚醒)の状態を保つ、 ポゥ航法師のナイノア・トンプソン。ポリネシア航海協会の代表でもあるナイノア船長 は、人生の半分以上におよぶ35年間にわたってホクレア号の舵を取り、祖先の伝統 に習って星、風、月、波、鳥、魚を頼るべき指標としてきた。Photo: John Bilderback

1975年の進水以来この魔法のような船「ホクレア」の、地域と人びとを結び、刺激し、変える力を目撃してきました。そのデッキの上で太平洋の民は、それまで600年間も眠っていた天文航法、ウェイファインディング、遠洋航海のアートと科学をよみがえらせました。ホクレア号で航海してきたこの40年間私たちが教えられてきたのは、過去を振り返りながら未来への期待を強め、祖先の技術と知恵と価値観を現在に活かし、私たちが暮らすこの地球という島をより明るい目的地へとかじ取りする手助けをするよう呼び掛けることでした。

ホクレア号が1970年代の苦闘から生まれた希望の灯台であったように、困難の多いこの時代に最大級の環境的/社会的問題の解決に取り組む世界中の100以上の地域に希望の光を照らすため、私たちは史上初の世界航海に乗り出しました。

世界中をめぐりながら行く先々で気づいたのは、人は異なるというよりも、むしろ似ているということでした。私たちの価値観、伝統、歴 史、遺産は、人類の価値観、伝統、歴史、遺産であり、つまり私たちはひとつの地球家族なのです。しかしそれでも世界のいたるところで人びとは苦しんでいます。人口の増加にともなう海やその他限りある資源の劣化を数字に表してみると、この先地球が機能しなくなるという明らかな現実に直面します。人も大地も海も空気も、すべてが現代生活のストレスの下で苦しんでいます。私たちの無意識の選択が、地球家族の生活の質と共有する惑星に悪影響を与えているのです。

ホクレア号の上では船が正しい方向に向かっていることを確認するため、毎日何千もの観察が行われます。このウェイファインディングの方法を、私たち皆の日常生活での選択に取り入れてみたらどうでしょうか。

食べる物、捨てるゴミ、使うお金。それらが地球に与える影響をひとつひとつ意識し、観察してみたらどうでしょうか。そして自分たちの未来と自分たちを囲むすべての未来への積極的な投資者、擁護者、保護者になってみたらどうでしょうか。

マラマ・ホヌア:ホクレアの希望の航海 パート4 正しい方向

ホクレア号の4年にわたる世界航海の地図。ハワイの双胴型航海カヌーは最新計器を使わず、頼りにするのは太陽、月、波、鳥、風、星といった自然の指標だけ。イラスト:ショーン・エドガートン

マラマ・ホヌアの航海の途中、立場の異なるあらゆる人たちが未来の世代のために、世界をより健康で安全な場所にしようと取り組む姿を見てきました。100か所の港に寄港して数千の人に出会いましたが、私たちにわかっているのは、これは私たちが訪れることのできた世界のほんの一部でつづられた希望の物語──つまり貴重な花を編み上げるための細い糸にすぎないということです。実際は毎日何百万もの人たち──人種や地理や言語や経済によって定義される文化ではなく、優しさと思いやりによって定義される共通の文化で結ばれた人た ち──によって何千もの物語や旅が生み出されている。それを私たちは想像することしかできません。何百万人もの他人同士が、鼓動を合わせ、地球と地球に暮らす人びとをいたわる活動に取り組んでいます。そしてこの活動から、私たちが地球という島をより良い目的地に導くためにたどるべき星の光が現れます。

世界中のどのような地域、あるいはどのような人によるものでも、地球全体をより良くするのは、思いやりのあるひとつひとつの行為です。私たちと一緒に先人たちに敬意を払い、祝福しましょう。そして私たちの足跡をたどる次世代を守るために、いまみずから行動を起こしま しょう。

マラマ・ホヌア:ホクレアの希望の航海 パート4 正しい方向

2017年秋刊行予定(日本語版発売未定)

マラマ・ホヌア:ホクレアーー希望の航海(英語版)

2014 年 5 月にタヒチへ出航して以来、アフリカ、 オーストラリア、ニュージーランド、北アメリカ、南アメリカへと世界中をめぐりながら、持続可能性に対する国際的な認識を高めるというホクレア号の壮大なミッションを記録した美書。寄港地でのホクレアの体験記である本書は、航跡のない航路を導く航法の達人と乗組員の声、そして現代生活における環境的挑戦の数々を乗り越えるために努力を重ねながらホクレア号に心を動かされた科学者、教師、子供を含む地元の先駆者たちの声を織り交ぜ、ひとつの地球社会を築き上げることの必要性を語る。また互いを、そして自然の繊細かつ複雑なシステムを尊敬し、生態系のバランスを保つさまざまな方法で暮らしを営む先住民族固有の文化を紹介する。

ジェニファー・アレン著、写真ジョン・ビルダーバック

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