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『フィッシュピープル』の舞台裏

ドニー・ヘデン  /  2017年7月24日  /  読み終えるまで8分  /  サーフィン

タヒチで1日の制作を終えてボートに戻る『フィッシュピープル』の監督キース・マロイ。Photo: Donnie Hedden

映画制作……。ある人は絵コンテにしたがい、またある人は本能にしたがう。キース・マロイはどうだろうか。 彼は本能がすべてで、計画はゼロ。いや言い換えよう。彼には計画はある。ただ髭の裏に隠されたそれが何か理解しがたいだけだ。だが幸運にも彼には、計画を立て、カメラを操り、音声を録音し、スキューバダイビングし、消火作業が得意な友人(そして伝説的な妻)がいる。忘れがたい映画を作るには村ひとつ、そして本能に突き動かされる誰かが必要だ。最近iTunesで公開されたばかりのキースの最新作『フィッシュピープル』はまさにそんな映画だ。

制作カメラマンとしての僕がこの経験から得た見解は、デジタル画像を捉えることを遥かに超えていた。一生忘れることのないいくつかの印象を以下に綴る。

『フィッシュピープル』の舞台裏

『フィッシュピープル』の監督として撮影現場に立つキース・マロイ。Photo: Donnie Hedden

ことのはじまりはサンフランシスコでの肌寒い霧の朝。僕らはエディ・ドネランが運転するバンに乗り、カメラを手に、低所得者が住む地区をドライブしていた。サーフィンに連れていくやんちゃな子供たちをピックアップするためだ。とくに危険そうな地域に入ると、エディは「カメラをあまり向けないように」と忠告した。エディがサンフランシスコ・ベイエリアのこれらの地域と分かち合う関係は、僕らが先人から継承してきた社会的障害の多くを乗り越えている。彼は情け深い人間であり、子育てに専念する父親であり、ソーシャルワーカーであり、そして最も感慨深いことに、彼が子供時代に経験したように、自由をくれる海を知らない子供たちに与える人間なのだ。

『フィッシュピープル』の舞台裏

サーフィンに連れてくためアンソニーをピックアップするエディ・ドネラン。カリフォルニア州サンフランシスコ。Photo: Donnie Hedden

『フィッシュピープル』の舞台裏

オーシャン・ビーチの波をシェアするエディとアンソニー。Photo: Donnie Hedden

『フィッシュピープル』の舞台裏

次世代に映画制作のヒントを与えるスコット・ソーエンズ。Photo: Donnie Hedden

『フィッシュピープル』の舞台裏

お腹の空いた子供たちのために食べ物を捻出する制作チーム。Photo: Donnie Hedden

『フィッシュピープル』の舞台裏

現場だけでなく、編集室でも働き者のアンドリュー・ショーンバーガー。Photo: Donnie Hedden

『フィッシュピープル』の舞台裏

映像をレビューするエディ、アンソニー、スコット、キース。この映画がどんなものになるかを垣間見せる最初のひとコマ。Photo: Donnie Hedden

『フィッシュピープル』の舞台裏

アンソニーがサーフィンする様子、とくに彼が宙に舞う場面をおばあちゃんに見せる。Photo: :Donnie Hedden

『フィッシュピープル』の舞台裏

アウター・サンセットでの親密なインタビュー。Photo: Donnie Hedden

カリフォルニア州ロングビーチに早送りしよう。モニカ(パタゴニアのプロデューサー)はロサンゼルスの水難救助員を映画の一部にしようと説得している。その間93歳の女性メアリー・ソイトは、彼女の後輩で『フィッシュピープル』の登場人物の1人であるリン・コックスと湾で泳いでいる。僕らを若く保つ何らかの特質が海にあることが証明されるとしたら、メアリーはその最たる例だ。メアリーはリンの達成したこと、とくに彼女がベーリング海峡の冷たい水をアラスカからロシアまで泳いだいことを振り返る。彼女が遠距離を泳ぐリンの決意をこれほど讃えるのを見るのは感動的だった。

『フィッシュピープル』の舞台裏

ロングビーチで泳いだあとの『フィッシュピープル』の登場人物リン・コックスと彼女の先輩のメアリー・ソイト。93歳のメアリーは健康な老いについての僕の見解を劇的に変えた。Photo: Donnie Hedden

『フィッシュピープル』の舞台裏

カタリナ島で泳いだあとのリンの笑顔。Photo: Donnie Hedden

『フィッシュピープル』の舞台裏

ロケでの1日を終えるキース、そしてメアリーと仲間たち。Photo: Donnie Hedden

『フィッシュピープル』の舞台裏

スキューバタンクをつけて下からリンを追うのはエリン・ファインブラット。現場で必要とされるのは彼のように責任感があって有能な人物。Photo: Donnie Hedden

次のシーンはこうだ:僕らは 熱帯の滑走路に近づいている。風に対応するために小型飛行機は斜めに傾いている。見渡すと乱気流を心配しているのは僕だけだと気づく。これはびくともしない平静さをもつ狩猟者のキミ・ワーナーと過ごす時間の完璧な予行だ。おそらくキミがサメと泳いでいるのを見たことがあるだろう。それはたしかにすごいことだが、僕は彼女の海と人びとに対する感謝の気持ちは、そんな過激な出来事を遥かに超えるものだと信じている。ハワイの島3つを経て、刺身とキミのストーリーで満腹になった僕らは本土へと戻る。

『フィッシュピープル』の舞台裏

オアフ島から何マイルも離れた沖でばらばらにならないためには、キミ・ワーナーとマーク・ヒーリーの無言のコミュニケーション能力が必須だ。Photo: Donnie Hedden

『フィッシュピープル』の舞台裏

海に浮く『フィッシュピープル』仲間。Photo: Donnie Hedden

『フィッシュピープル』の舞台裏

モロカイ沿岸でカメラ撮影のタグチームを成すアンドリュー・ショーンバーガーとデイヴ・ホムシー。Photo: Donnie Hedden

『フィッシュピープル』の舞台裏

ダイビング後のジャスティン・ターコースキーとキミ・ワーナー。キミと彼女の30メートルのダイビングにお供できるのは、撮影クルーの中ではジャスティンだけ。僕は彼にカメラを手渡し、それが深海での水圧に耐えられることを祈った。彼が捉えた映像は貴重だった。Photo: Donnie Hedden

『フィッシュピープル』の舞台裏

その日の収穫を祝うキミとデイヴとキース。Photo: Donnie Hedden

『フィッシュピープル』の舞台裏

キミと過ごすとき、このような自分で捕まえた手製の料理を経験しないことはない。写真がこの食卓の香りを捉えることができたらいいのに。Photo: Donnie Hedden

僕の人生においてつねにサーフィンのインスピレーションであったデイヴ・ラストヴィッチが、タスマン海の外洋のスウェルで、セーリングカヌーで僕を追い抜く。その瞬間、サーフィンがウォーターマンとしての彼、そしてついでに言えば彼の喜びのほんの一部であることに気づく。これはサーフィン業界から教わったデイヴの生い立ちとは正反対だ。『フィッシュピープル』においては、それが多くの生まれながらの才能をもつ両生類のデイヴのストーリーなのだ。

『フィッシュピープル』の舞台裏

外洋のスェルを飛び回るデイヴ・ラストヴィッチ。水平線の無限のスウェルをひとり占めしている彼の顔から笑顔を消すことは不可能だ。Photo: Donnie Hedden

『フィッシュピープル』の舞台裏

映画の魔法を作るデイヴ・ラストヴィッチとスコット・ソーエンズ。Photo: Donnie Hedden

『フィッシュピープル』の舞台裏

ラストヴィッチの秘密を明かすサーフボード・シェイパーのディック・ヴァン・ストラーレン。Photo: Donnie Hedden

『フィッシュピープル』の舞台裏

デイヴと彼のパートナーで著作家であり活動家のローレン・ヒル。これは彼女にとって初のチョープーでのサーフィンだった。彼女はとにかくチャージしていた!Photo: Donnie Hedden

『フィッシュピープル』の舞台裏

彼女はチャージしていたと言っただろう。タヒチでのローレン・ヒル。Photo: Donnie Hedden

次の撮影場所へ向かって車に乗ろうとしていると、レイ・コリンズが家から出て来て、「おい、タヒチのクリアな水にはこれが必要だ」と言った。彼が僕に手渡したのは僕のカメラのための防水ケース。これはパーティで客に渡すような粗品ではない。この深淵なる行為は新しい地域や喫茶店の見知らぬ人と関与したり、『フィッシュピープル』についていえば、ユニークかつパワフルな波を泳ぎながらカメラのレンズを通して人びとの顔を覗き込むレイのあふれるばかりの自発性を象徴している。この映画のポスターとなった写真は、レイが僕にくれた水中ポートのおかげで撮影できたものだ。

『フィッシュピープル』の舞台裏

カメラのシステムのハッチを締めるレイ。彼が泳ぐのはフレンドリーとは言い難い海。Photo: Donnie Hedden

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オーストラリアの沿岸で水と岩が合流する危なげな場所をレイがくぐり抜ける様子を捉えるキースとアンドリュー。Photo: Donnie Hedden

『フィッシュピープル』の舞台裏

波に入る順番を待つスコット・ソーエンズとデイヴィッド・フォックス。レイと一緒に撮影する日程はわずか3日しかなかったが、その年最高のスウェルが出現。誰も怪我をせず、最高のときとなった。Photo: Donnie Hedden

『フィッシュピープル』の舞台裏

レイと大人気の彼の犬。Photo: Donnie Hedden

『フィッシュピープル』の舞台裏

最前席を確保するキースとアンドリュー。Photo: Donnie Hedden

険しいタヒチの谷間を走り抜けるのを見ているアラビア馬の群れ。チョープーのラインアップから臨めるこれらの深い緑色の谷は、とても劇的であやうく転覆しそうに見える。僕らをここに連れて来てくれたのは『フィッシュピープル』の登場人物で、プロのサーファーのマタヒ・ドロレット。彼の叔父の所有地だ。タヒチの深いルーツをもつこの地方の長老ペヴァ・レヴィのもてなしは、故郷とチョープーのサーフィンの起源(どうやらある女性によって初めて乗られたらしい)の鮮明な物語にまで及んだ。マタヒが受け継いだの海への崇拝(そして自信)は、彼の家族とのこういった瞬間に窺われる。

『フィッシュピープル』の舞台裏

夢のようなシーン。タヒチの谷間で遊ぶ馬の群れ。Photo: Donnie Hedden

『フィッシュピープル』の舞台裏

タヒチの子供時代の異なる物語をシェアするマタヒ・ドロレットと叔父のペヴァ・レヴィ。Photo: Donnie Hedden

『フィッシュピープル』の舞台裏

谷間の奥深くでは、カメラの電源は切れても物語はつづく。Photo: Donnie Hedden

『フィッシュピープル』の舞台裏

チョープーの水中写真を撮るスコット・ソーエンズ。Photo: Donnie Hedden

『フィッシュピープル』の舞台裏

白馬と初期のタヒチの物語につまった谷間を振り返る。Photo: Donnie Hedden

神聖なる地域社会にとってカメラをもった外国人は障害となる。伝統、史跡、そして人間関係は簡単に悪用される。キースの旅の経験とストーリーを語るキャリアは、彼にそういった悪用を避ける感受性を植え付けた。もしかしたらそれは本能から自然に生まれてくる資源なのかもしれない。この映画のためにレンズや力を貸してくれた人びとは高い水準を設定した。彼らはそっと歩き、高潔さを保ち、彼らの知恵を僕とシェアしてくれた。それは普通の映画制作に見られる資質ではない。スコット・ソーエンズ、モニカ・マクルアー、アンドリュー・ショーンバーガー、デイヴ・ホムシー、エミリー・グラント、エリン・ファインブラット、ピーター・ビアーといったクルーたちは全員がそういった人物で、彼らは人柄こそ違うがこの誠実な映画と適切なひらめきを創り出すために必要とされていた環境を作った。

フィッシュピープル
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