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4月のニューハンプシャーの吹雪の中のマイカとピーター、キャズ、イレナ。Photo: Peter Doucette
4月のニューハンプシャーの吹雪の中のマイカとピーター、キャズ、イレナ。Photo: Peter Doucette

すると2人がいた

By マイカ・バーハルト   |   2017/11/29 2017年11月29日

親愛なるキャズとイレナへ

あなたたちが生まれて今日で10か月が経ちました。冬のなごり雪が庭から消え去った今週、花開いたクロッカスは閉じ、あなたたちがその紫の花びらを食べる試みも間一髪で免れました。

一緒に過ごすはじめての冬、私はあなたたちをソリに乗せて引きました。私は繋ぎ止められてはいるものの、一人で歩くことができました。家の前に広がる森は私の運動とあなたたちのお昼寝、そして私たち全員の正気を保つ一石三鳥の役割を果たしました。 私たち3人は5か月間にわたって一緒に裏庭のトレイルの雪の状態を研究しました。60センチの深雪をラッセルし、雨で凍った表面をボーゲンで移動し、足首まである完璧なコーンスノーで心地よい音を立てて過ごしました。それらができないときはスノーシューで歩きました。

お父さんと私は人生、仕事、そして何においても垂直を追い求めてのべ50年を過ごしてきました。山で一緒のとき、私たちはオイルが十分に差された機械のように効率的でした。だから子供がいなかったときは、私は子育てにおいて柔軟かつ限りない冒険を可能にする無駄のない効果的なライト&ファストの両親になるだろうと思い描いていました。あなたたち2人と一緒に スノーシュー、そしてゲイターをつけて雪に足を取られながら時間の半分を過ごすことになるとはまったく予想外でした。

でもよく考えてみると、あなたたち2人を生むこと自体がまったくの予想外だったのです。

あなたたちが私のお腹にいたとき、私は未来の登攀計画についての質問は肩をすくめて曖昧にかわしていました。自分自身を無理にコミットさせることも、またその逆もしたくなかったのです。そしてあっという間に1月がやってきて、あなたたちは6か月になり、私はモノポイントのステミングで体重を左右に振りながらアイススクリューをもう1本打つべきかどうかを思案していました。いま、お母さんがつねにギア好きだったことを告白するチャンスです。あなたたちがこの世に出現してからの10か月、私がこれまでにも増してギア好きになったことも。冬の間、あなたたちがハイハイを学びはじめるなか、私は次の2つの新しいルールを持ってより高く遠くへと登りました。それは大切な瞬間の直前に1本のスクリューを、そして直後にもう1本を打つこと。双子……。私はパートナーに、クライアントに、そして自分自身にも私が双子の母であることを知らしめたのです。

でも誤解しないで。私が登っているとき、あなたたちのことについてつねに話し、考えているわけではありません。それは私たち皆にとって良いことなのです。私たちは全員、離れている時間が必要です。短い時間ならね。この冬、私は登っているとき、そしてあなたたちといるときも完全に自分自身でいられるのだということを感じました。これが意味するのは、私がその両方をやる運命であったことだと知るのはそう難しいことではなかったこと。難しいのは、これからもずっとそうかもしれないけど、私が両方をうまくやる必要があるということです。

ときには自分の欲望を減らすことによって家庭生活をもっと楽にできたらいいのにと思います。クライミングとそれに伴う高揚感や欲望や危険を家庭の一部から消去してしまうことができたらいいのにと。新しくできた時間でケールのカップケーキを作ったり、あなたたちの洋服を手縫いしたり、新たに生えてきた歯を磨いてやることを忘れないことができるかもしれません。でもそのかわりに私たちは家族として垂直の情熱をどう管理するかについて学んでいるのです。

去年の冬、ニューハンプシャー州のフランケンシュタイン・クリフにて垂直の時間を過ごすマイカ。Photo: Robe Frost
去年の冬、ニューハンプシャー州のフランケンシュタイン・クリフにて垂直の時間を過ごすマイカ。Photo: Robe Frost

私たちは皆で一緒にクライミングに行くことはあるかしら。 一緒に氷河でロープを結び、山稜や氷のガリーを登ることは。 あなたたちが何を欲するか、そしてあなたたちがコントロール不可能な私たちの延長線になっていくに連れ、親として何に耐えられるのか、成り行きを見守るしかありません。

とりあえずのところ、そして最低でもしばらくの間、あなたたちを危険から遠ざけ、私の腕に抱くことができます。私は朝8時にクライミングにでかけることができるし、午後4時に帰宅するとダブルのキスと4つのベタベタした手に包まれることができます。

私が正しい選択をしていると皆が思っているわけではありません。今年3月、30歳のユンという男性に4日間にわたってアイスクライミングを教えました。その初日、私が双子の母であることを知った彼は、なぜ家に子供がいるのにガイドをしているのかと尋ねました。2日目、彼は私が家の近くでガイドはできてもクライミング旅行には行けないだろうと同情するかのように言いました。3日目、彼はおそらくクライミング旅行はできても、絶対に夫と一緒とはありえないと通告しました。そして4日目、ルートを120メートル登ったところにある日向のビレイで60センチ離れて搾乳していると、彼は私とピーターが次にどこに遠征する計画を立てているのかと聞きました。

今日であなたたち2人と出会って10 か月、ともに過ごした人生はユンと過ごしたその4日間のようで、ただそれが伸び縮みする限りない美しい輪なのだと確信を持って言えます。望まない制限もあるでしょう。期待していない理解も。クライミングもあれば、 好転したり悪化する計画もあるでしょう。そして願わくば、私たち4人がずっと繋がりながら自立していることを。

本投稿は米国山岳ガイド協会のガイド誌(2017年夏号)に初出。

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