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「誰かがこの気違い沙汰を止めなければなりません」と言うのは、環境問題に長期的な解決策を促進することを先導するビジネスをおこなうパタゴニアのCEOローズ・マーカリオ。
Photo: ioulex
「誰かがこの気違い沙汰を止めなければなりません」と言うのは、環境問題に長期的な解決策を促進することを先導するビジネスをおこなうパタゴニアのCEOローズ・マーカリオ。 Photo: ioulex

社会的使命を増幅させるたびに成長するパタゴニア

By ジェフ・ビアー   |   2018/05/12 2018年5月12日

変遷する政治的形勢を触媒として利用するファスト・カンパニーの、2018年「世界で最も革新的な企業」に選出された衣料品会社パタゴニアのCEOローズ・マーカリオ

ローズ・マーカリオは眠れずにいた。ときは2016年11月9日、ドナルド・トランプが大統領に当選した数時間後で、パタゴニアのCEOは彼のホワイト・ハウスへの台頭が会社のビジネスのみならず、惑星の将来を破滅させるのではと憂慮していた。

彼女はカリフォルニア州ベンチュラにある自宅の寝室で、トランプの選挙公約である石炭を復活させ、公有地保護を廃絶し、気候変動に抵抗する努力を緩和させるとこと——つまり環境問題の確固たる擁護者であるパタゴニアが長らく闘ってきたことすべて——について苦悶した。「多くの面でがっかりしました」とマーカリオは思い起こす。会社が決起してきたことすべてが「危機にさらされている」という「真の脅威」を感じたからだ。

午前4時、辟易した52歳の仏教徒は瞑想しようと床から出た。それは長時間になりそうだった。マーカリオはパタゴニアの45年の歴史の中核に身をゆだねた。一部のCEOが自由放任の規制環境によだれを垂らすのに反して、マーカリオはこれこそパタゴニアの核を成すDNA、つまり「活動主義への倍賭け」を受け入れる瞬間だと直観した。

これは終わりではなくはじまりである、とマーカリオは思った。彼女はラップトップを開き、全社へ向けたe-mailを書きはじめた。それは「平静を保ち、普段の生活をつづけよ」の、彼女版以上のものだった。そのメッセージで彼女は「野生、空気、土壌、水を保護する」ことの緊迫性を強調した。彼女はこれらの問題について、パタゴニアのコミュニティを「駆り立て」、「その声を継続」させなければならないこと、「愛するものを守るための決意をより深める」ことを思い出させた。

午前9時半に「送信ボタン」を押してオフィスへと向かうと、駐車場でイヴォン・シュイナードに出くわした。パタゴニアの創業者兼オーナーで、この会社を世界的なブランドに立ち上げる以前の、1960年代のフィッツ・ロイとエル・キャピタンの驚異的な初登で有名なシュイナードの思いも同様だった。それどころか彼は、マーカリオにパタゴニアをより奮闘させることを欲し、「前進しつづけるんだ」と彼女に強く忠告した。「闘いの準備をしよう」と。それは彼女も望むところだった。

それ以来、パタゴニアはその努力をただ増強させただけだ。トランプの計略に駆り立てられたパタゴニアは、環境活動主義への忠誠をより深め、企業の社会的責任に前代未聞の賭けをした。これは製品革新とマーケティングを活性化させただけでなく、会社のブランド認知度と売り上げを成長させた。マーカリオはパタゴニアにおける10年の在職期間中、持続可能なデザインと製造、そしてパタゴニアと志を同じくする新興企業への投資を追求し、会社の歳入が4倍になるのを監督してきた。パタゴニアは社会改良家のためのアマゾンのような、高潔なフライホイールを築き上げた。その信条と製品に投資すればするほど、パタゴニアの業績は向上し、クリエイティブな解決策を開発し、他の大小のビジネスが追随する青写真を作る。マーカリオはこう語る。「惑星のためによい仕事をすることが、新たな市場を作り、より高い売り上げにつながるのです」と。それこそがパタゴニアのやり方なのだ。

本記事はファスト・カンパニーのウェブサイトに掲載の記事からの抜粋です。

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