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ボブ・ブラウンはオーストラリア緑の党の創始者。彼と彼の財団はタカイナ/ターカインの保護のために何十年も闘っている。Photo: Krystle Wright
ボブ・ブラウンはオーストラリア緑の党の創始者。彼と彼の財団はタカイナ/ターカインの保護のために何十年も闘っている。Photo: Krystle Wright

ターカインを世界遺産として保護する

By ボブ・ブラウン博士   |   2018/06/20 2018年6月20日

ほぼ200年前、ヘンリ-・デイヴィッド・ソローはこう書いた。「野生にこそ世界の救い」と。

私がタスマニアの北西部の森の奥深くにはじめて入ったのは1973年で、失敗に終わったそのときの目的はフクロオオカミ(タスマニアタイガー)を探すことだった。この素晴らしい生き物はいまでは絶滅とされているが、依然としてターカインは、地球上でこの次に大きな肉食有袋類、タスマニアデビルの本拠地だ。この地域はまたオオナガワシ、シロオオタカ、ウォンバット、ワラビー、カモノハシとヤリモグラの主要な生息地でもある。世界最大の淡水無脊椎種はナイルやアマゾンやミシシッピにではなく、それらと比較すると小さな、西へと流出するターカインの川に住むタスマニアオオザリガニで、長さ1メートル、体重6キロにまで成長する。

ターカイン、あるいはイギリスの植民地支配によって残酷にも追放された先住民タカイナ族にちなんでタカイナと名付けられたこの地域は、南半球で最も降雨量の多い場所のひとつだ。これらの森には北極圏で化石化されているのと同じ、5〜6メートルもあるシダや、6千年以上前に恐竜と地球を共有した樹木種が繁殖する。

野生の質の破壊が蔓延し、加速化する世界で、そこにはいまも手つかずの自然という稀な宝物が残っている。そしてそれはまた世界で最も保護が容易なもののひとつだ。タスマニアのたった7%を占めるターカインは、オーストラリア最大の温帯降雨林で、希少および絶滅危惧種の野生生物と南半球屈指のアボリジニの考古遺産が密集する地域である。後者は国家遺産として登録されており、近くの国連の監視基地が行った計測によれば、世界でもっともきれいな空気はターカインの海岸を吹き抜けている。

世界遺産地域の候補としてターカインを有望とする2つの構成要素は原生地と野生動物である。その険しい海岸線、控えめながら非常に古い山脈、介在する川谷と18万ヘクタールのレインフォレスト(ターカイン全土の合計はほぼ50万ヘクタール)は原生地だ。つまりそれは遠隔地であり、野生であり、インスピレーションにあふれる自然の本質の砦であり、道路、港、町、工場や鉱山によって影響を受けていないということ。そのような原生地はいまこの惑星から急速に消滅している。

最近皆伐された森にわずか1本残されたユーカリの木の前に立つニコール・アンダーソン。Photo: Mikey Schaefer
最近皆伐された森にわずか1本残されたユーカリの木の前に立つニコール・アンダーソン。Photo: Mikey Schaefer

1970年代、タスマニアの第2の街、ローンセストンで若い医師だった私は、訪れる患者のほとんどの原因がストレスだという結論に達した。彼らは現代文明のストレスによる高血圧、胃潰瘍、皮膚発疹、不眠を患っていた。野生のなかを歩いたり、ラフティングしながら、私は自然が人間の休息、インスピレーション、冒険と静穏のための最大の資源であるということがはっきりと分かった。残された真の自然を切り倒し、堀り、ダムで堰きとめて、さらに多くの精神安定剤の工場を作るというのは、まったく理解できないことだった。

自然は私たちの魂を救済してくれる。私たちのため、私たちの子孫のために、知るかぎり宇宙で唯一の住処である地球という惑星にわずかに残された野生の自然を守る義務がある。ターカインで、私たちは試されているのだ。

人はいざ知らず、私がここに存在するのは、他の祖先と同様、タカイナ先住民にとって天地万有であった野生を守るためだ。彼らは私たちを生かしてくれるこの唯一の惑星に畏敬の念を抱きながら、調和して暮らしていた。ターカインの野生を保護するために世界に行動を促したいと欲することは、何とシンプルかつ賢明なことだろう。

タスマニア州政府にタカイナ(ターカイン)を世界遺産としてノミネートし、保護するよう依頼しよう

パタゴニアはボブ・ブラウン財団とアボリジニのコミュニティと協力し、タスマニア州政府にタカイナ(ターカイン)を世界遺産としてノミネートし、保護するよう訴えています。

嘆願書に署名

takayna(タカイナ)』フィルム上映会

 活動家、地元民、アボリジニのコミュニティ……これらの相反するストーリーを紡ぎながら、トレイルを走る医師とひたむきな環境保護活動家の体験をとおして語られるこのパタゴニア・フィルム制作のドキュメンタリー映画は、現代の環境保護運動の複雑さを明るみにし、最後に残された真の野生地を守る挑戦を私たちに投げかけます。

2018年7月11日(水)より、パタゴニア直営店にて『takayna(タカイナ)』フィルム上映会を開催します。お問い合わせ/ご予約はストアまでお問い合わせください。

7月11日(水) パタゴニア 仙台ストア 開場19:00 開演19:10
7月13日(金) パタゴニア 横浜ストア 開場19:00 開演19:10
7月18日(水) パタゴニア 福岡ストア 開場19:00 開演19:10
7月24日(火) パタゴニア 渋谷ストア 開場19:00 開演19:10
7月26日(木)パタゴニア 大崎ストア 開場19:00 開演19:10
8月2日(木) パタゴニア 京都ストア 開場19:00 開演19:10

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