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Photo: Dave McCoy
Photo: Dave McCoy

土地のものを食べて暮らす自由

By マイク・ウッド   |   2018/10/12 2018年10月12日

子供のころ、コネチカット川は私にとってユーコン川のようなものでした。何日も川沿いで遊び、中洲や水たまりへとカヌーを漕いでは、カニやスナッパー、ブルーフィッシュ、アヒルやエールワイフを探しました。エールワイフは見事な銀色の魚で、大西洋の深海で餌を食みながら育ち、晩夏になるとコネチカット川の蛇行する小川に遡上し、産卵しました。

夏の長い1日はメイン州サリーにある祖父の小さな船で、サバを釣って過ごしました。真冬の凍った海水の湾に穴を開けてワカサギを釣ったという祖父の話に耳を傾けながら、直感的かつ基本的な何かが私のなかで起きていました。

いま思えば、その後の私の人生を方向づけたあのころが、ニューイングランド東岸で豊富な魚を体験する最後となりました。かつては40,000匹の野生の大西洋サケがコネチカット川を遡上し、おびただしい数のシャッドの群れが先住民の糧となっていました。しかし現在では、野生のサケは姿を消し、シャッドの数も減りました。エールワイフが戻ってくるのはまれで、もはや湾が凍ることはなく、ワカサギ釣りもできません。それでも川の歴史と想い出は、いまでも私が何を選択し、何のために闘うかに、影響を与えつづけています。

2003年、私はアラスカのタルキートナからデナリ山塊の方に向かって、スシトナ川を電動小船で約10キロ北上しました。川沿いの林に上陸すると、そこにはヘラジカの足跡があちこちにありました。キングサーモンが遡上しはじめたところでした。川には冷たい、澄み切った水が流れていました。私は自分たちの丸太小屋の壁に使うトウヒに目を向けました。

祖父母がそうしたように、妻と私はヘラジカ、サケ、木の実、カリブーなど、この流域が与えてくれるものを食べて暮らしています。春先にはスシトナ川の解氷のなかを重い足取りで進み、夏には蚊を叩き、秋になったら薪と肉を十分に蓄えるのを厭わなければ、快適に冬を越すことができます。おそらく私は祖先と似たような暮らしをしているのでしょう。

アラスカはこのような暮らしを実現することができるアメリカ最後の場所のひとつです。豊富な魚と野生動物により、私たちは驚異の念を刺激され、保護意識が高まります。

野生のサケはこの土地で数千年間にわたりアラスカ先住民を養い、また何千人もの商業サケ漁師を支えています。

土地のものを食べて暮らす自由

しかしここでさえ私たちは限界に直面しています。私たちがチヌークサーモンと呼ぶ貴重なキングサーモンの禁漁はいまではあたりまえとなっています。

アラスカでは、この8年間に人口が急増しました。かつてのニューイングランドと同じように、川や小川や湿地は忍び寄る文明化に免疫がなく、徐々に破壊されています。野生のサケには生き延びる土地、つまり「生息地」が必要です。しかし私たちはサケやその他の魚や動物の再生に欠かせない森林や湿地を、ゆっくりと切り裂いているのです。

私たちは州の発展について、より思慮深く行動しなければなりません。さもなければ最も大切な資源、つまり自尊心を刺激し、アラスカ住民に生活の糧を提供する資源を失います。

私たちにはアラスカを正しくさせる最後の機会があります。食卓に食べ物を並べると同時にサケを守るという、まさに「再生可能資源」の定義に沿った手段を用いて自然資源を採掘し、土地を開発する機会があるのです。それは私たち次第、過去を振り返りながらアラスカの未来を築くのは、皆さんと私、そして全アメリカ人にかかっているのです。

幸い、アラスカ住民は州の隅々でたしかなリーダーシップを発揮しています。今年はじめ、42,000人におよぶ市民が11月の選挙を前に、包括的な魚類生息地保護法令の発案に署名しました。

たくましい野生のサケの群れはアラスカでの自給自足生活の重要な要素だ。Photo: Ben Knight

たくましい野生のサケの群れはアラスカでの自給自足生活の重要な要素だ。Photo: Ben Knight

この発案により、1959年に制定されたアラスカ初の魚類の生息地に関する法律が21世紀に再現することになります。そしてこの法律により、科学的根拠に基づく基準を定め、資源開発にあたっては、鉱山およびその他の事業現場できれいな水と魚道、土手沿いのバッファーゾーンを維持することを重工業会社に義務付けます。現状では、開発者は1つの流域にあるすべての川を破壊し、それを別の流域の川(潜在的に他の州の流域も可能)を保護する形で相殺することができます。また現行の法律では、私の地元の川に提案されている224メートルのスシトナ・ワタナのような大規模水力発電事業によって破壊される野生のサケの群れの代償として、ダム建設業者が孵化場を1つ設けることを許可しています。(この計画はリバーガイド、教師、地元の事業主など、多数がアラスカ住民を呼び集めてダム建設反対を訴え、現在保留になっています。)

この秋の住民投票は開発業者が地元のサケやコミュニティを犠牲にしながら企業の懐を肥やす取引を食い止め、また開発によってサケの群れが徐々に破壊されることのないよう、アラスカ州魚類鳥獣部に法の施行力を与えます。これまでアラスカを除く全米の多くの野生の漁場は、数々の小さな損害の積み重ねにより、破壊されてきたのです。そして今回はじめて、サケの生息地での開発事業に関する民間意見調査期間が設けられます。

アラスカ各地を訪ねるとどこでも、アラスカ住民がどれだけサケの川の保護に力を注いでいるのかがわかります。最近、内陸部の小さな町タナナでユーコン川沿いのアラスカ先住民の漁師数人から話を聞くことができました。ユーコン川はユーコン準州からアラスカの腹部、そしてベーリング海へと3,200キロにわたって流れます。この川は、川沿いの地域に栄養と文化的エネルギーをもたらすサケの活力にあふれた、地球上の栄養源の移動を示す屈指の証拠です。

過去10年間、アラスカのユピックとアサバスカの漁師はキングサーモン漁をみずから制限しなければなりませんでした。最も大きく最も脂の乗ったこのサケの生息数が激減したため、漁業共同体は産卵前のサケが最上流の水源にたどり着けるよう、サケの群れを川に残すことに同意したからです。

群泳するアラスカのベニザケ。Photo: Ben Knight
群泳するアラスカのベニザケ。Photo: Ben Knight

タナナの住民チャーリー・ライトから聞いた話では、キングサーモンの禁漁中は飲酒や犯罪が急増し、また言うまでもなく飢えと貧困も増えました。「でも選択の余地はありませんでした。サケが永遠にいなくなれば、私たちは終わりなのです」とチャーリーは言いました。チャーリーはユーコン川部族間漁業委員会のタナナ地区代表で、内陸部の生息地イニシアチブの主唱者でもあります。「魚が産卵する川と稚魚を育てる生息環境を保護することは、気候変動や海水温の上昇に直面するいま、アラスカ住民としてできる具体的な対策のひとつです。」そしてこうつづけました。「それは魚、そして彼らが立ち上がる対象すべてに、闘う力を与えるのです」

石油産業と鉱業は、11月の投票までまだ5か月もあるにもかかわらず、発案に対抗するためにすでに200万ドル以上を集めました。世界最大のベニザケ漁場であるブリストル湾に提案されているペブル鉱山の後援団体であるペブル・リミテッド・パートナーシップは20万ドルを注ぎ込んでいます。しかしアラスカにはまだ、チャーリーのように行動を起こして反対を声高に訴える多数の住民がいます。

この冬アラスカ議会で発言するためにピーターズバーグから来た19歳のジャスミン・イレミアは、「サケがいなくなったら、私たちの町は衰退します」と訴えました。

チュリュング部族議会の議長で、アラスカ州南西部ジリンハムの自給自足文化の擁護者でもあるゲイラ・ホセスは、10年以上にわたり数千人の地元住民とともにペブル鉱山と闘ってきました。ゲイラにとって、これは地域社会の健康のための、大型スーパーマーケットでは代用できない食糧および生活様式のための、闘いなのです。

ワシラで釣りガイドをしているクリス・トバイアスは、子供に釣りを教えながら語ります。「野生のサケを釣り上げたときに2人の息子が大喜びする姿を見るのが、何よりも嬉しいです」

アラスカの商業漁師。Photo: Bob Waldrop
アラスカの商業漁師。Photo: Bob Waldrop

石油とガスブームが起き、トランスアラスカ・パイプラインが建設された1974年から1982年に第4代アラスカ州知事を務めたジェイ・ハモンドは、当時次のような洞察力に優れた発言をしています。「アラスカ住民は、極めて有害な経済成長というものがあることに注意しなければなりません。開発は環境に配慮し、アラスカ住民が希望するもので、州や納税者に負担をかけず、みずから開発費用を支払うものでなければ、私は反対します」

あまりにも長いあいだ、私たちはアラスカの開発費用を、自然の食糧ときれいな水を運んできた景観を失う、という形で払いつづけてきました。私に言わせれば、それは愚かな駆け引きです。だから、条件を変え、この発案を通過させることによって希望が生まれるのです。これはアラスカ住民にかぎらず、全アメリカ人が関心をもつべき課題です。

皆様にご協力いただけること。

たとえこれを読んでいる皆様がニューイングランドにいても、あるいは南部や西海岸にいても、アラスカの手つかずの野生の川を守るためにいますぐできることがあります。アラスカ住民は歴史的な偉業を成し遂げる態勢を整えています。次世代のために持続可能な漁場とこの土地での仕事や生活を守るという方法で。石油産業と鉱業は、大金と事実を歪める広告とともに、世間に現状維持を訴えながら世界中から押し寄せてきます。この闘いに勝つためには、皆様の協力が必要です。過去の英知を使って、ともに未来を築きましょう。サケのために立ち上がってください。

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