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Photo: Jason Halayko
Photo: Jason Halayko

Worn Wear College Tour 「責任ある消費」を考える旅

By 藤本 あや   |   2019/06/25 2019年6月25日

パタゴニアは、人とモノとの関係を変えるという使命のため、数年前に「Worn Wear(着ることについてのストーリー)」というプログラムを開始しました。その狙いは、パタゴニアのウェアをより長持ちさせることで、着ることについてのストーリーを祝い、地球への負担を緩和することです。

2019年5月31日(金)、「壊れたら、修理しよう!」を合言葉に、「Worn Wear College Tour」がスタートしました。ツアーでは、ウェアの修理やセルフリペアの方法を共有し、これからの未来を担う学生の皆さんと「責任ある消費」とは何かを共に考えるため、全国11大学を回るツアーに出かけています。今回は、2019年6月10日(月)・11日(火)に訪問した徳島大学の様子をレポートします。

Photo: Jason Halayko
Photo: Jason Halayko

今回訪れた徳島大学の構内に、パタゴニアのリペアトラック「つぎはぎ」が姿をあらわしました。会場には、学生が中心となり企画した環境をテーマとしたブース 、パタゴニアのリペアスタッフによる修理 、自分でウェアを修理するセルフリペアのコーナー、食の分野で環境への解決策を探る「パタゴニア プロビジョンズ」の試食など、実際に楽しみながら触れることができる場が開かれていました。普段のキャンパスとは、がらりと変わっています!

日本では初となる「Worn Wear College Tour」の訪問先は、環境や農業など、環境問題や持続可能な社会に目を向けて熱心に取り組んでこられた大学です。

なぜ、パタゴニアが大学を巡るツアーやっているのか。その背景には「全ての人が環境に対する気づきを持って行動していくことが急務である」という思いがあります。

Photo: Jason Halayko
Photo: Jason Halayko

これまでパタゴニアでは、学生に向けて「みんなが、この地球で長く暮らして生きていく中で、自分たちはどんなことをやっていきたいのか、本当にこのままでいいのか、今持ってるスキルをどう活かしていくのか」。そもそも「責任ある消費」とは何だろう?と問いかけてきました。その問いは、当日の会場にも広がっていきます。

最初は興味や関心が薄い人でも、全く知らないでいた現状を知って急にひらめいたりすることも。学生とパタゴニアという新たな出会いの機会をつくることで、学び合う時間や多様な考え方に触れていくことにもつながっているのだと思います。

みんながいたから実現できたアイデア

椋下美里さん(左)、清瀬直樹さん(右) Photo: Jason Halayko
椋下美里さん(左)、清瀬直樹さん(右) Photo: Jason Halayko

「初めてのことばかりで当初は不安でした。学生、先生、パタゴニアのみなさんとアイデアを出し合い、みんなの力を合わせて準備を進めてきました。パタゴニアの思いも含めて、私たちがこうやって表現できたことがよかったと思います」と話すのは、総合科学部の椋下美里さん。当日を迎えられたことを心から喜んでいる様子。

今回のツアーをきっかけに、Tシャツ一枚をつくるにも環境汚染があることを知り、椋下さん自身の思いから、「Tシャツを雑巾にして小学生にプレゼントする」取り組みが新たに生まれました。「なぜ、Tシャツをリサイクルするのか?」を通して小学校5年生に環境について考えてもらう機会をつくっているそう。

「小学生の時に、掃除の時間に使う雑巾を用意しなさいって言われるんですよね。雑巾を作る人もいれば買う人もいます。だったらTシャツをリサイクルして雑巾を作ってあげたら、その分買う人が少なくなって環境を守ることに繋がるんじゃないか」と思ったことを語ってくれました。

Tシャツの回収をするために、大学にボックスを設置したところ、思った以上に集まり気にかけてくれている人がいることに気づきました。

「人と人とのつながりは大きいと」話すのは、理工学部の清瀬直樹さん。「僕はサーフィン部なのですが、サーフィンを通して出会えた人もいっぱいいて。環境問題に対しては、サーフィンやパタゴニアに触れて視野が広がりました。自分の考えとは全く違う人たちと話せて、見えないでいた世界が知れているのを感じるし。今回のツアーを見に来てくれる人たちも積極的に話しを聞いてくれたり、こういう考え方もあるのを伝えていて。発信側にもなれてるってことを嬉しく思います。何より、みんなでやったら楽しいですね」

みんなで支え合い作り上げた Photo: Jason Halayko
みんなで支え合い作り上げた Photo: Jason Halayko

豊かに暮らしているのに、もったいない

四国の東部に位置する徳島県は、全体的に山地の多い地形で吉野川など豊かな水資源にも恵まれています。なぜカレッジツアーに参加したのか、大学側の思いを伺いました。

「徳島って、実はめちゃめちゃ豊かなんですよ。海は綺麗だしご飯は美味しい。特にそんなにみんな困ってることもなくて」と話すのは、徳島大学総合科学部 准教授の佐原 理さん。

Photo: Jason Halayko
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「これまで学生が自由に買える衣服は、いわゆる“ファストファッション”が多かったと思います。ファストファッションの場合、だいたい1年経ったら捨てちゃうとか、着れなくなっちゃう。学生たちは豊かに暮らしてるんだけど、同時にすごくもったいないことをしている。そこに気づかない状況があったので、考え直すきっかけになればと思い今回のツアーにチャレンジしました」

例えば、T シャツ一枚を作るためにどれだけの水を使っているのか。印刷用のインクにカドミウムや重金属を使ってたり。バングラデシュなどで、小さい子が酷い労働環境の中で作ってるようなことを学生に知ってもらいながらやってきたそうです。

「僕が修理してもらったシャツは22年着ているもの。実は、思い入れがあって着てるんじゃないんですよ。単純に、長く持つプロダクトだったからです。大事にしてるんじゃなくって、いい製品だからずっと持っていられる。直すことで着続けられることが、ありがたいというか。長く持つ商品を企業側に作って欲しいというのも消費者の願いだと思います。この考え方がもっと広まったり、意識を持ってくれた方が環境にも良い。そういうのが根付いてくれるといいなと思います 」

Photo: Jason Halayko
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修理すること、着ることについてのストーリー

「Worn Wear College Tour」でパタゴニアのリペアスタッフによる修理は、ウェアのブランドを問わず無料で行われていました。どんなストーリーが寄せられたのでしょうか?ツアーに参加した学生の声を少しご紹介します。

Photo: Jason Halayko
Photo: Jason Halayko

「古着で買ったものを、リペアしたい」と持って来てくれたのは、高校生のとき古着屋さんで一目惚れして購入したものでした。

「こういう機会がなければ、自分で直そうと思っても実際にやってみようというのは、ちょっとハードル高いと感じていました。失敗したら戻らないことが、理由として大きかったです。これからは、もっと服を大切にしようと思いました。自分で縫ったり、汚れ落としたり。諦めずに頑張ろうと思います。」

破れても汚れがあっても簡単に捨てられないのは、愛着があるから。直すことでまた着ることができる。預けた服を受け取りに来た参加者から、喜びの声があがっていたことが印象的でした。

修理について、どんなイメージを持っているか、リペアを希望する学生に聞いてみたところ、「好きなものを長く使いたい」「何年も受け継いでいきたい」「難しそうで方法がわからない」という声もありました。修理をする機会が少ないことで、これは直せるというイメージにつながりにくいという状況も生まれているのかもしれません。

ユニークなやり方、楽しさから生まれる

リペアの相談に乗る、ロジャース通子さん(右) Photo: Jason Halayko
リペアの相談に乗る、ロジャース通子さん(右) Photo: Jason Halayko

パタゴニア日本支社でWorn Wearツアーを担当するロジャース通子さんは「環境に対する配慮が当たり前になってくるこれからの時代において、環境課題の解決方法の一つとして何ができるのかを一緒に考えていきたい。まずは、小さいことから始めてみることがおすすめです」と話します。

壊れたら修理をすること、選択肢を持つこと、食べることで環境を変えていくこと。自分たちの学びの中から、課題解決方法を見い出していくプロセスを、それぞれが共有していくことで、「このやり方だったら自分にもあってる」と感じられるのかもしれません。

「責任ある消費の奥には、もしかしたら幸せとは何か?という問いがあるのかもしれません。責任ある消費とは、自分のことをしっかり見つめ直すこと。自分の買ったものがどこから来て、どんなプロセスで作られているのか。買うという行為は、会社に一票を入れることになるんですよね。消費することじゃなく、買わないことも責任ある消費じゃないかと思っています」

Photo: Jason Halayko
Photo: Jason Halayko

「もしも、ペットボトルを毎日3本買っているなら、マイボトルを持ってみるのもおすすめです。そのお金を、他の有効なクリエイティブなものに使えるとより良いと思います。小さなチャレンジをやってみる、考えるだけじゃなくて行動してみる。地球の新しい歩き方をみんなで模索して、楽しいねとか豊かだねっていうことをカレッジツアーを通して伝えていきたいなと思っています。

環境課題は、しかめっ面ではできません。かっこいい、可愛いでもいいと思うんです。ちょっと変わったトラックなど、どこかに興味を持ってもらえたら嬉しいですね。ユニークなやり方がパタゴニア。フェアトレード、リサイクル、他にも色々と大事なこともあるけど、一番大事なのは、地球自体が健康じゃなければ何も始まらない。学生は学生パワーで、自分たちが買うものを1つ変えるだけでも、すごい力があることを知ってほしいです」

関わり方も考え方も、一人ひとりが選ぶことのできる自由な時代です。だからと言って「何でもいい」と言っていたら、本当に未来が何でもよくなってしまいます。まずは、自分の今いる所から一歩踏み出してみる、新しいことに小さくチャレンジしてみることから始めてみませんか?

「Worn Wear College Tour」は現在、東海地区を走行中です。訪問する大学の学生の皆さんはぜひご参加を。今後の予定はこちらをご覧ください。

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