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想像を絶する

マダリナ・プレダ  /  2019年10月25日  /  読み終えるまで8分  /  アクティビズム

ニューヨーク市で開催された9月20日のグローバル気候ストライキの1週間前、若い活動家が結集して、参加者が洋服にピン留めするコットンの切れ端にスクリーン印刷するアートワークやバナーを作成。これはニューヨーク市の3つの地区で実施されたアート制作グループの1つ。Photo: Keri Oberl

ニューヨーク倫理文化協会の地下室で、約50人の中学生や高校生が輪になって床に座り込みました。これは9月20日に予定されているグローバル気候ストライキ2日前の水曜の夕刻に行われた、主催者の中核グループと数十名のボランティアによる最終計画会議でした。議題は各メンバーの役割、デモ行進の経路、ストライキの合唱曲、その振り付けやコールの練習などでした。

ニューヨークのグローバル気候ストライキのコアチームの主催者の1人であるアイシャ・シディカは、ストライキ直後のインタビューで「計画はすべて、セントラルパークのすぐ横にあるこの建物の地下で行いました。これまでに起こった大きな出来事はすべて地下室ではじまっています」と語りました。アムステルダム運河の荷船や、西欧のあちこちの不法占拠ビルや農場で行われた結集会議に何度も参加してきた私は、彼女の言っていることがよく理解できました。思いもよらない空間には何か不思議な力があるのです。デザイナーの故ティボー・カルマンは「物事を前進させるのはいつも、ガレージで物事をはじめる変わり者だ」と言いました。このような「変わり者」は、2019年国連気候行動サミットに先立ち、この特有の反社会的空間で世界の指導者に大声でメッセージを送ることを計画していました。指導者らが好むと好まざるとにかかわらず、変化はやって来るのだと。

20歳のアイシャは、9月20日ニューヨークのグローバル気候ストライキを編成した若い活動家15人のうちの1人です。彼女のチームは当日市街を行進したのは25万人以上になると推定しています。〈350.org〉によると、世界中で9月20日と27日の週に開催されたグローバル気候ストライキは、組織的な世界的抗議行動のなかで史上最大級だったとしています。主催者側は185か国のストライキに推定700万人以上が参加し、気候危機に対する大胆な対策を求めたとしています。

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海外からの報道陣が追い掛けるなか、大イベントの前日に最終的な詳細を協議する9月20日のニューヨーク気候ストライキのコアチームの主催者のシマ・ニセンバウム(左)とアザレア・デインズ(右)、そして〈フライデーズ・フォー・フューチャー韓国〉グループのキム・ユジン。17歳のアザレアはチームの報道官であり、プレスリリース発信と報道関係者らとの対応を担当。Photo: Keri Oberly

これは運動の内容にかかわらず卓越した業績に違いなく、そのリーダーがまだ在学中の学生ではなおさらです。それでも、ストライキに関する何百件もの記事、ビデオ、巧みな表現の抗議プラカード、活気づけるコールなどのなかで、ほとんど語られていないものがあります。それはこのアクティビズムに投入される努力です。

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ストライキ前日、ニューヨーク気候ストライキ主催者のアイシャ・シディカとイザベラ・ファラヒ、さらにロサンゼルス出身の気候正義活動家であるケビン・パテルが、アート・プラカードを仕上げる。こうした若い主催者はそのアクティビズムはフルタイムの仕事のようなものだと言う。Photo: Keri Oberly

「アクティビズムは私の副業です」とアイシャは言います。「私は大学の新入生で、授業に出席し、実務研修もやっています。気候問題について勉強し、次の段階について計画を立て、ソーシャルメディアでこの活動を広めるために少なくとも毎日5時間は費やしています」

インタビューした他の主催者も同じように話しました。ニューヨーク市出身の17歳のシーエ・バスティダはそんな主催者の1人です。彼女は去る5月、『ガーディアン』紙でグレタ・トゥーンベリが訴えた行動への呼びかけを見て、直ちに9月20日のストライキ計画を開始しました。シーエは毎週金曜のストライキ、ニューヨーク市庁舎での高官レベルの会議への出席、〈エクスティンクション・リベリオン〉の非暴力による直接行動への度重なる参加など、組織作りに週最大14時間を費やしています。16歳のスペンサー・バーグはストライキの組織作りのためにシーエと緊密に取り組んでいます。彼はアクティビズムに週20時間を費やします。「本当は抗議運動などする必要がなければと思います。でも実際やらなければならない状態にあることは間違いありません」と彼は言います。もう1人のチーム員であるオリビア・ウォルゲムスは組織作りに週35〜40時間を費やしています。彼女は言います。「世界の指導者たちが具体的かつ妥当な気候問題対策を提示するまで、活発に抗議デモをつづけていくつもりです」

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ストライキ前夜、マンハッタンの路上で気候ストライキのチラシを配る、主催者のオリビア・ウォルゲムスとナタリー・スウィート。オリビアは去る3月の金曜日、学校ストライキを開始した。それ以来、グローバル気候ストライキに参加するよう同校の何百人もの学生を説得してきた。Photo: Keri Oberly

このような大規模なイベントをまとめるため、若い活動家らは自宅で会議を開いたり、ときには学校の休憩時間に電話を取ることもあります。この夏、ニューヨーク市の主催者たちは幸運にも月に2晩、倫理文化協会の地下室を自由に使えるようになりましたが、多くの若い活動家は自分の居場所を利用できず、公共の場所やコーヒーショップに頼りながら集会しています。企画会議をしていないときは、好きな曲のスクリーンショットや気候危機についての憂慮すべき記事のリンクを互いにテキスト送信し、ひどいニュースを聞いてうんざりする愚痴をこぼしあいます。また宿題をサボったとか学校を休んでしまったことを互いに告白することもあります。

若い活動家と話していると会話のなかで出てくるおもな話題に、活動家の燃え尽き症候群、そして気候に対する不安の2つがあります。「学校での勉強量をこなそうとする私たちに大きな不安があると感じます」とアイシャは言います。「世界の重みが自分の肩にのしかかっているような気がすることもあります。レポートを書いたり宿題をこなすのに悪戦苦闘するので、互いの宿題を手伝ったり、再生させる役割を設けて、活動家の不安を取り消す誘導瞑想などに取り組むこともあります。このイベントの計画にずいぶん睡眠時間を削ってきました。私たちは本当に互いのサポートを必要としていたのです」

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ストライキ前夜にマンハッタンのデリカテッセン内でストライキのチラシを配る主催者のオリビアとイザベラ。「できるかぎりストライキの組織作りをつづけていくつもりです」とオリビアは言う。Photo: Keri Oberly

ニューヨークでのグローバル気候ストライキの金曜当日、ストライキ主催者によって育まれたこの共同体意識は歴然としていました。活動家、報道関係者、主催者、はじめての、そしてベテランのストライキ参加者、幼児とともに参加した両親、甥や姪と参加した祖父母、あらゆる年齢と背景の人びとがマンハッタン南端部のフォーリー・スクエアに結集しました。ある人がコールをはじめると、それは音の波のように群衆にすばやく広がり、全員が声を揃えてコールを繰りかえしました。そこには疑う余地のないエネルギー、不安、希望、怒り、喜びの元がありました。「絶滅に直面」や「世界を癒せ」と書かれたプラカードが見られました。キャンバス生地でできたバナーの下にしゃがみ、暑い直射日光を避ける小学生2人もいました。アイシャ、シーエ、スペンサー、オリビア、その他の主催者らはウォール街に向けて行進を先導し、メガホンを手に、こう叫びました。「私たちが欲しいものは?気候正義!欲しいのはいつ?いますぐ!」

私はストライキ後に彼らにインタビューし、700万人以上が史上最大の気候抗議に参加したことの意味を尋ねました。一方では、これが彼らに希望を与え、ついに行動するときが来たことを人びとが理解しはじめたこと、これを継続させれば変化が起こるのだと語る人もいましたが、同時にストライキ翌週に開催される国連気候行動サミットから何も好ましい結果が得られないことを懸念する声も聞かれました。

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チラシの配布、スピーチの印刷、チームのため軽食購入など、ギリギリまでマンハッタン中を奔走する主催者のナタリーとイザベラと、その友人。コアチームの主催者たち全員には特定の役割と、仕事量の管理を手助けする共同のリーダーがいる。Photo: Keri Oberly

「みんなが次々とお祝いの言葉をかけてくれて、上出来だと激励してくれます」とアイシャは言います。「9月20日のイベントは、人びとを抗議デモに参加させたり、関心をもってもらえるかどうかのテストではなく、私たちが企業や権力者を監視していること、彼らは私たちの要求に答えなければならないことを示す一手段でした。脚光を浴びるためにやるのではありません。誰かに投票してほしいわけでもありません。正真正銘の変化を求めているのです」

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9月20日のストライキ終了後、コアチームの主催者15人全員がステージ上で完了を祝う。ストライキでは推定25万人が市街を行進した。Photo: Keri Oberly

これらの活動家にとって、700万人はほんのはじまりに過ぎません。10月7日、彼らは世界の都市の主要地域閉鎖を計画する〈インターナショナル・リベリオン〉に参加します。彼らは衣料品業界の汚い慣行にも抗議し、経済的苦境に直面している学生たちがより多くの衣料品の選択肢を利用できるよう衣料品交換を手配するなど、地域レベルでより具体的な行動に参加したいと考えています。何をおいても、彼らは毎週金曜にストライキをつづけ、あらゆる人びとの参加を期待しています。「この運動が成長をつづけることは間違いありません」とオリビアは言います。「私たちの影響の潜在力は想像を絶しているのです」

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