クリーネストライン


バングラデシュの埋立地でゴミを選り分けながら、しばしの休憩に立ち止まる労働者。ゴミ捨て場での連続勤務時間は1日平均10時間。Photo: BORJA SANCHEZ-TRILLO/GETTY IMAGES
バングラデシュの埋立地でゴミを選り分けながら、しばしの休憩に立ち止まる労働者。ゴミ捨て場での連続勤務時間は1日平均10時間。Photo: BORJA SANCHEZ-TRILLO/GETTY IMAGES

なぜリサイクルなのか?

By パタゴニア    |   2019/10/10 2019年10月10日

地球はプラスチックであふれています。正確に言うと83億トン。大きすぎて想像もつかない数ですが、その年間生産量は人類の総重量を上回っています。

このことをしばし黙考してください。

これは破壊的な量であり、全プラスチック廃棄物の91パーセントがリサイクルされないことを考えるとなおさらです。さらに回収用リサイクルボックスに入れられるプラスチックですら、問題となっています。中国とインドが他国からのプラスチック廃棄物の受け入れを大部分中止したその結果、使用可能なプラスチックは埋立地や焼却炉行きとなるか、行き場のない艀(はしけ)に積まれたままの状態になっています。1970年代初期から実施されてきた環境保護運動の成果が、またひとつ失われる様子を、私たちは目の当たりにしています。

パタゴニアがこのGearカタログをリサイクル特集に捧げる理由は、そこにあります。この問題に関するすべての答えを提供できるわけではありませんが、私たちは自分たちができることはすべてやるという覚悟を決めました。パタゴニアのWorn Wearプログラムでは製品を修理してその寿命を延ばします。新しいReCrafted(リクラフテッド)という製品ラインでは、袖、袖口、フード、ダウンのバッフルなどの中古パーツと工場で発生する生地の端切れを組み合わせ、美しい一点ものを創造することで、さらに多くのウェアを埋立地から救います。一方で、リサイクル成分を含む素材を使用して製品を製造する方法の開発により、廃棄物となるはずのものを良質の製品に──場合によっては新品よりも優れた製品に──生まれ変わらせます。

製品の開発とデザインについて論議中。Photo: KYLE SPARKS
製品の開発とデザインについて論議中。Photo: KYLE SPARKS

パタゴニアがリサイクル素材を使って実験をはじめたのは1990年代初期、私たちが製造するすべてのものは汚染につながる、という事実を認識したときでした。そして1993年、消費者から回収/リサイクルされたペットボトルから作った最初の製品となる、緑色のシンチラ・フリースを発売しました。その1年後には、アウトドア衣料品会社がフリース裁断時に発生する端切れを回収/リサイクルするためのプログラムの設立に携わり、またパタゴニアの大人用のウェアの残り生地からキッズ製品を作りはじめました。その結果、こうしたプロジェクトの開始後わずか5か月で、160トンの端切れを埋立地行きにさせずにすみました。

私たちは毎年リサイクル成分の使用率を増加させる目標を立て、あらゆる可能な部分でバージン素材を回避するデザインをはじめました。たとえばバックパックはバックパネルとショルダーストラップに大量のフォームを使いますが、現段階では理想的なリサイクル・フォームの供給源がないため、代わりにスペーサー・メッシュを組み込んでフォームを最小限に抑えるデザインを採用するなど、その使用を削減しています。この3年間はゴア社と協力し、シェルの表面に使用するリサイクル素材を開発してきました。現在この技術は、それを望むどのブランドにも使用可能なものとなっています。

新たなサプライチェーンも構築し、数百種のリサイクル素材をテストしました。バージン素材をリサイクル素材に替えられない場合は、私たちの創業者のお気に入りのひとつでもあるフライフィッシング用のSSTジャケットですら、リサイクル成分の含有量が実現できるまで製品ラインから外す、という犠牲も払っています(SSTジャケットは2020年にリサイクル素材を使用して、輝かしい復活を遂げることが期待されています)。現在、すべての防水性シェルを含むパタゴニア全製品の69パーセントにリサイクル素材を使用しています。

リノにあるパタゴニアの修理センターに積まれた生地の束。Photo: TIM DAVIS
リノにあるパタゴニアの修理センターに積まれた生地の束。Photo: TIM DAVIS

これで終わりではありません。パタゴニアでは製品の配送がビジネスにおける温室効果ガス汚染の主原因のように思えますが、実際は炭素排出量の大部分(97パーセント)がサプライチェーンで発生し、そのうちの86パーセントをバージン化繊の製造が占めています。リサイクル素材の製造を増加することにより、天然素材を栽培する農場から生地および最終製品を製造する工場にいたる、パタゴニアのビジネス全体で、2025年までにカーボンニュートラルに近づけることが可能になります。(「カーボンニュートラル」とは、私たちが排出する二酸化炭素量のすべてを削除、吸収または埋め合わせて相殺することを意味します。)

残りの31パーセントの製品にリサイクル成分を含ませるためには、おもに微細なパーツを検討しなければなりません。しかし、縁取り、エラスティック、ボタン、防水性/透湿性メンブレン、ジッパー、糸などは、リサイクル素材で実現することが困難です。これらの要素は一見少量ですが、積もり積もってかなりの量になります。さらにゴミから製造されるものは品質が劣るという、真実からは程遠い誤解の克服も必要です。パタゴニアが製造するすべての製品は、確実に最高基準を満たすよう、厳しくテストされています。

私たちの目標はパタゴニアの全製品にリサイクル素材を使用すること。問題はそれをやるかどうかではなく、いつどうやってやるかということです。

パタゴニアが企業として排出する炭素総量の86パーセントはバージン化繊の製造が占めています。だからリサイクル素材を使用することは、無駄を減らすだけでなく、二酸化炭素排出量の削減にもつながります。

メキシコのメリダにあるジオテックス社の工場では、製造段階で回収された端切れから、パタゴニアのためにリサイクル・コットンの糸を製造する。Photo: KERI OBERLY
メキシコのメリダにあるジオテックス社の工場では、製造段階で回収された端切れから、パタゴニアのためにリサイクル・コットンの糸を製造する。Photo: KERI OBERLY
イタリアのプラートにあるベルナルド・カラマイ工場のリサイクル・ウール。カラマイ家は1878以来、ウールのリサイクルに携わってきた。Photo: TIM DAVIS
イタリアのプラートにあるベルナルド・カラマイ工場のリサイクル・ウール。カラマイ家は1878以来、ウールのリサイクルに携わってきた。Photo: TIM DAVIS

このエッセイはGEAR FALLWINTER 2019カタログに掲載されたものを一部加筆修正したものです。

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