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ジャングルのなかで成長する農園

バーギット・キャメロン  /  2020年6月18日  /  読み終えるまで5分  /  食品

加工施設で洗浄される、リジェネラティブ・オーガニック認証を目指してアグロフォレストリーを実践する農園で収穫された新鮮なマンゴー。ニカラグア Photo:Amy Kumler

ニカラグアのサンマルコスにある〈ソル・シンプレ〉は、77件ほどの小規模農園と協働で、パタゴニアプロビジョンズのマンゴー製品(オーガニック・チリ・マンゴーオーガニック・カカオ+マンゴー・バーを含む)の果物を生産している。農園の多くは自然環境と調和しながら森林で食物を育てるアグロフォレストリーの草分けだ。パタゴニアは〈ソル・シンプレ〉とパートナーを組み、「リジェネラティブ・オーガニック(RO)」農業を支援する幅広い取り組みの一環として、環境を再生させる方法で作られた製品の市場を生み出すとともに、リジェネラティブ・オーガニック認証の発展と実践を進めている。

最も小さなものは0.1ヘクタールというこれらの農園の多くは、外からはまるでミニ熱帯雨林のようにも見える。上部の林冠が日差しを遮り、何層もの枯れ葉や腐葉土で覆われた地面を守っている。しかし、一見まったく手入れされていないように思えるこの土地は、じつは収穫量の高い活気あふれる農業システムで、わずか30センチメートル四方の範囲に、想像し得る以上の多様な作物がある。ここではコーヒー、アボカド、マンゴー、プランテン、バナナ、カカオ、スターフルーツ、プルメリア、柑橘類がすべて一緒に育っている。鶏や豚が木々のあいだをうろつき、雌鳥とヒヨコがちょこちょこと駆けまわり、虫が飛び交い、鳥がさえずり、蜂や蝶は花から花へと受粉に忙しい。最も乾燥する季節にも、生き物たちはこの農園と、その日陰と水分と林冠に惹かれてやって来る。

このシステムのすべてには目的がある。柵沿いに伸びるタチナタマメは鶏の餌であると同時に、土壌の肥沃度を増やす窒素固定を行う植物であり、土壌と植物の共益関係を築いている。私たちを囲むマデラネグラの木は虫除けの役割を果たし、さらには農家が台所で使う薪にもなる。

ジャングルのなかで成長する農園

甘酸っぱさと微かな辛さを帯びたパタゴニアプロビジョンズのオーガニック・チリ・マンゴーの原料にするため、手のひら大のジューシーな「ローザ」というマンゴーの皮をむく農家の3代目。 Photo:Amy Kumler

イヴォン・シュイナード

現在のアグロフォレストリー農園に見られる豊かさと多様性は、これまでニカラグアで栽培されてきた農産物、またアメリカ合衆国の大半の農場でいまも栽培されているトウモロコシや豆とは著しく異なる。事実、世界の居住可能地の約50パーセントが農業に利用され、その大部分の食用作物は従来の方法を用いた単一品種の植え付けがされている。そのせいで、世界の温室効果ガス排出量の4分の1近くを占める農業は、気候変動に大きく加担している。有害な化学肥料、殺虫剤、殺菌剤などが散布された一年生作物用の莫大な農地は、生物多様性を破壊し、土壌浸食を加速させ、流出水で水域を汚染しながら、私たちの健康を脅かす。

しかしこうした一次産品の単作農場に未来を委ねるには及ばない。私たちは食料生産を介した農地変換の可能性に真剣に取り組んでいる。これは2012年にパタゴニアプロビジョンズを発足させた大きな理由のひとつだ。痩せた土地を回復させる豆とレンティルで作ったスープから、ヒゲのような巨大な根が炭素を蓄えて表土を守るカーンザという草で作ったビールまで、私たちはこれまでに約30種類の製品を販売し、食物栽培の代替法を後押ししている。

ひとつひとつの歩みは小さく見えるかもしれない。事実それらは目立たない漸進的な改善だ。しかし総合すれば、より安全かつ健康な未来につながる。リジェネラティブ・オーガニックは、土地と労働者と動物を有害な化学肥料や殺虫剤や殺菌剤から解放するというオーガニック認定された農業の伝統ある利点に、不耕起または省耕起栽培、被覆作物、堆肥などの実践を組み入れ、土壌の健康を改善し、炭素隔離の可能性を高めるものである。それだけでなく、リジェネラティブ・オーガニック農園が栽培する作物は、たんにより良い食べ物でもある。

「どのプロジェクトもまだまだ先は長い」と語るのは、パタゴニア創設者のイヴォン・シュイナード。マンゴーバーに含まれるアーモンドはオーガニックだが、まだリジェネラティブ・オーガニックではない。「これまでに取り組んだ最も手強い事業のひとつだ」とイヴォンはつづける。「だが前進しつづけるつもりだ。リジェネラティブ・オーガニックがうまくいくことを実証できれば、それこそ地球を救うことができるかもしれないのだから」

ジャングルのなかで成長する農園

土中の窒素固定を助けるバナナやマデラネグラのあいだに植えられた木からマンゴーを収穫する農家。

ジャングルのなかで成長する農園

収穫されたバナナの束の傍らに座る農家の娘。多種の作物を育てると、農家にとっては通年頼ることのできるさまざまな収入源ともなり、彼らの子どもたちの生活の質を改善することにもつながる。Photo:Amy Kumler

ジャングルのなかで成長する農園

手作りのかごにマンゴーを入れ、収穫所へと運ぶ農家。そこで計測した重さに基づいて、賃金が支払われる。ニカラグア、サンマルコス Photo:Amy Kumler

〈ソル・シンプレ〉によって育てられたマンゴーを原材料としたオーガニック・カカオ+マンゴー・バーが新発売。オーガニック・チリ・マンゴーは2020年夏、ROチリ・マンゴーとして日本発売予定です。

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