サニーサイド・アップ
この11月、フィッツ・コールドウェル(6歳)は、ヨセミテ国立公園のサニーサイド・ベンチで、人生初の数ピッチのクライミングを成し遂げた。父親のトミーと一緒に。
フィッツ・コールドウェルの言葉(父親のトミーによるインタビュー)
トミー:オースティンと一緒にクライミングに行った日のことを憶えている?
フィッツ:こわかった!
トミー:どんな一日だったか聞かせて。
フィッツ:こわいところがいくつか、ひとつかあった。その他のところは、とっても速く登ったよ。
トミー:登り始めたとき、どんなだったか憶えている?
フィッツ:クラック?
トミー:大きなクラックを登ったよね。僕たち以外に人はいたかな?
フィッツ:いたよ。
トミー:何ピッチで登ったか憶えている?
フィッツ:うーん、、50かな?
トミー:50!はずれ。
フィッツ:5?
トミー:そう5ピッチだ。じゃあ、そのルートの名前は憶えている?
フィッツ:ううん。
トミー:サニ…
フィッツ:サニ…サニーサイド・ベンチ?
トミー:サニーサイド・ベンチ、よくできました!よし、それについておしえてよ。スタートしたところから、登りながら憶えていること全部を詳しくね。
フィッツ:ほら僕、円を作ったよ!パパ、そこに腕を置かないでよ。あのね…ええと。たくさんの人を見てね、最初に見たのはグループだった。次はそんなに多くなかった。2人かな。
トミー:岩はどんな感じだったか、説明して。
フィッツ:むずかしくて楽しかった。むずかしくて簡単だった。
ベッカ:どこが簡単だった?
フィッツ:あのね、クラック以外のだいたい全部。
ベッカ:クラックの何が難しかったの?
フィッツ:あのね、すごく大変だったんだ。抜け出すこともできなかった。
ベッカ:何が起きたの?
フィッツ:はまっちゃったんだよ!
ベッカ:どうやってはまったの?足が滑った?
フィッツ:クラックの中でつっかえちゃったんだ。
トミー:ほとんど登り切ろうとしていた時に君がつかえちゃって、何が起きたんだっけ?クラックの中はどんな感じだった?
フィッツ:うーん、あのね…ただ、はまったって感じた。
トミー:それで何が起きたの。
フィッツ:泣いた。
トミー:そう、ちょっとだけ泣いたよね。
フィッツ:だってさ、まるで…ええと。
トミー:それから、君を楽にしようとパパたちはどうしたんだっけ?
フィッツ:持ち上げた?
トミー:その前にどうしたんだっけ?オースティンさ、オースティンを憶えている?彼は君が楽なようにしばらく支えていたんだよ。その時、ママは下の谷にいたね。
イングリッド:そして、私がママと一緒にいた。
トミー:そうだったね。ママは「フィッツィー、いい調子よ!」って応援してくれたけど、遠すぎて実は僕らからママは見えなかったね。憶えている?そして君はとても怖がったけど、第4ピッチの難所を乗り越えたんだ。
ベッカ:どうやって乗り越えたの?
フィッツ:パパが僕をクラックから持ち上げて、簡単なところまで連れて行ってくれた。
トミー:それで頂上が見えた時、何が起きたんだっけ?言ってみて。
フィッツ:そこからは僕はすごく速く登って、頂上が見えた時、僕がそんなふうに速かったから、パパでも追い付けなかったんだよ。
トミー:その通り、本当にそうだったよね。そして、君は頂上に立った時、どう感じた?
フィッツ:よかった。すごくよかった。すごーーーーーーーーーく、よかった。
トミー:パパが憶えているのはね、君はすごく興奮して、ほぼ半日それについて話し続けていたんだよ。
ベッカ:自分を偉いと思う?
フィッツ:うん。
ベッカ:あの難しい部分がなかったとしても、頂上に着くことが楽しかったと思う?それとも、難しいところがあったから、楽しかったんだと思う?
フィッツ:難しいところがあったから、頂上が楽しかった。