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Photo:Tim Davis
Photo:Tim Davis

ダウン

By モーリー・ベイカー   |   2020/11/02 2020年11月2日

ダウンは羽ですが、帽子の飾りに使うような羽根のことではありません。私たちが着るジャケットに使われるダウンから、「羽」と聞いてまず思い浮かべる正羽まで、実際羽にはさまざまな種類があります。鳥の体を保護する正羽には羽軸があり、水を弾いて飛ぶことができます。ダウンはこうした外側の羽根の下にあり、通常は鳥の胸部にある軽くてふんわりとした保温効果のある羽毛のことです。ダウンは羽軸の代わりに核があり、そこから外側に向かって放射状に伸びた何千もの極細の羽枝が丸い羽毛の塊になります。このやわらかくふわふわの塊が空気を閉じ込めて、鳥(と私たち)を放熱から守り、温めてくれるのです。

人類は何世代にもわたってワシやガチョウやアヒルをはじめ、その他の二足性/温血/卵生脊椎動物(つまり鳥類)からダウンを採取し、寝具や衣類の詰め物として使用してきました。バイキングは夜間ダウンに体を埋めて暖を取り、中世ではダウンが税金として納められていたこともありました。16世紀には早くもロシアの貿易商がダウンをオランダに卸し、アイスランドでは何世紀ものあいだアイダーダックから抜け落ちたダウンを集めるために24時間体制の見張りで天敵から鳥たちを守ってきました。アイダーダックの世話に長けたアイスランド人は、この生き物と「神秘的な」関係をもつと言われています。そして北米大陸でも、ダウンはスピリチュアルな役目を果たしてきました。ニューメキシコ州のズニ族やホピ族は祈祷で使用する棒をワシのダウンで覆い、ホピ族はかつてスネークダンスの儀式のために捕まえたガラガラヘビを落ち着かせるのに、その棒を使っていたと言います。

“今シーズンのパタゴニア製品に使用しているダウンの80%はリサイクル・ダウンです。バージン・ダウンの代わりにリサイクル・ダウンを使用することで、今シーズンの炭素排出量を、二酸化炭素換算で150メトリックトン以上も削減しました。”

1930年代には、釣りに出かけた際に雨でびしょ濡れになったウールのセーターを着ていたエディー・バウアーが低体温症になり一命を取りとめた経験から、ダウンを詰めたキルティングコートを作りました。「スカイライナー」と名づけられたそのコートは、1940年に特許を取得しました。しかしその後は、EPA(米国環境保護庁)やABBA(アバ)が登場する1970年代まで進展はありませんでしたが、ファッションデザイナーのノーマ・カマリが離婚後のキャンプ旅行で着想を得て考案した、アンクル丈の「寝袋コート」が登場しました。やがて丈の短いカラーブロックのデザインが発表されると、それは山あいの町でも都会でも同じようにあふれはじめ、パフコートはいまではあたりまえのものになりました。それ以来ダウンはクローゼットをパンパンにしています。

パタゴニアの製品開発部とフィールドテスターたちは、このように発展した「包みこまれる安心感」に、鳥の羽の温かさとやわらかさを模倣するべく取り組んでいます。それは、極寒の山々を足取り重く登る頑固者(私たちの多くがそういうことに夢中)や、氷雨が降ろうが快晴であろうが街を占拠してデモを行う抗議者たち(これも私たちの仲間にありがち)の手助けをするためでもあります。ダウン・インサレーション入りウェアの改良の一部は優れたデザインにありますが、私たちは同時に製品を倫理的に製造したいと考えています。だからパタゴニアは多くの製品をリサイクル・ダウンに切り替え、最も人道的なバージン・ダウンの調達基準を設けるようつねに尽力しているのです。2015年、長年の取り組みの末に私たちは、製品が公衆衛生と安全の基準を満たすことの試験および認証を行う独立機関〈NSFインターナショナル〉とともに、「グローバル・トレーサブル・ダウン・スタンダード」の立ち上げに携わりました。この基準は、サプライチェーン全体を通して強制給餌や生きたままの羽毛採取から鳥たちを守るものです。

動物福祉にまつわるこうした取り組みは、ダウンコートがほぼ世界中で着用されている今日では、これまで以上に重要となっています。飼い犬でさえ、ダウンを着るようなご時世なのですから。

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