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風と海に導かれて

風と海に導かれて

2012/12/13 2012年12月13日

by  ベリンダ・バグス

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これまでにしてきたすべての旅を通じて、日本は私にとってはいつも特別な存在です。日本は神秘的な文化からさまざまなインスピレーションを受ける場所。日本人の親切さ、毎日の生活への真摯な姿勢から学べることはたくさんあります。私たちの息子、レイソン・コリンには4分の1は日本人の血が流れている。だから日本は彼のルーツでもあるのです。
 
アダム、レイソン、そして私は、光り輝く美しい景色が広がる夏の日本へと3週間のアドベンチャーに出発しました。私のシェイパーであるタッピーの見慣れた顔が空港で出迎えてくれ、彼から2本の新品のロングボードという最高の贈り物をもらいました。タッピーはFCDのビンディ・モデルをシェイプしています。このオールラウンドのログは、日本のさまざまなビーチをめぐる私たちの旅には最適なボードになるでしょう。すぐに水に入りたい衝動に駆られましたが、数日待たねばなりませんでした。

飛行機から降り立ってすぐに向かったのは渋谷の繁華街。私たちの足取りは、路上をせわしなく歩くアメーバのような人通りに導かれていきました。うれしいことに世界的に有名な渋谷の交差点を体験することができました。レイソンを肩車し、目映い街の灯りに畏敬の念を抱きつつ、何千人もの人間が行き交うなかを私たちは何とか向こう側へ渡ることができました(そして何度も!)。私たちが慣れ親しんでいる人気の少ないビーチと高いゴムの木からはかなりの異世界でした。

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息を吸って、大きな青い海を足でキックしよう

Come Hell Or High Water(何が起ころうとも)』の日本でのプレミア試写会では、創意あふれる3人、マーク・カニングハム、キース・マロイ、そしてトッド・ハニガンとの出会いが待っていました。この3人は畏敬の念を抱かせるエリート軍団で、私たちのお気に入りの映画を映画のスターのあいだに座って見ることができたのは夢のようでした。この夜を企画してくれたニクソンとパタゴニアに感謝します。そして私たちを楽しませつづけてくれたキースとトッドにも。レイソンは彼らのフォークソングのリズムに合わせて足を弾ませ、首を振って喜んでいました。
 
旅が終わりに近づいていたマーク、キース、そしてトッドと海で一緒に遊ぶことよりも良い時間の過ごし方があるでしょうか。パタゴニア千葉の前のサンドバーでは、楽しめるレフトとライトがブレイクしていました。プレミア試写会のあとのため、皆ボディサーフィンに興味をもっていたので、マークがパタゴニアのスタッフと友人数名とともに即興でボディーサーフィンクリニックを開くことになりました。マークはつねにアロハ精神をもち、彼のスキルとテクニックを直接目にすることができたのはとても興味深いことでした。そして、タッピーからもらった新しいビンディ・モデルを試すときがやってきました。ターンをつなげながらビーチブレイクのピークでノーズライディングし、私はこのボードの機能性にとても興奮しました。

セッションのあと、皆へとへとになってストアへ戻りました。そして私たち西洋人が予期していなかったのが、とてつもなく熱い黒砂の小道。靴をもっていなかった私たちは、木陰から木陰へと、足の裏を焼きながら小走りすることになりました。でもすぐに耐えられないほど熱くなり、私はもっている物で何とかしようとフィンを履き、ロングボードを脇の下に抱えながらアヒルのようにストアを目指しました。
 
ボードルーム、シェイピングルーム、そして外の温水シャワーが完備されたこのパタゴニア千葉は、とても楽しい場所です。ラッキーなことに、私たちの旅はストアの開店1周年記念に当たりました。フラダンサーやライブ音楽が夜までつづき、素晴らしい会社と、そしてさらに素晴らしい新しい友人たちと出会うことができました。マーク、キース、そしてトッドに別れを告げたあとは、ヨシエ、そしてレイソンの親友のエンゾウとフジとともに笑いが絶えず、インスピレーション、知恵、そして素晴らしい料理にあふれた数日間を過ごしました。彼らは私たちに本物の日本文化を紹介し、故郷である海と家族を分かち合ってくれました。
 
「風と海に導かれて」ツアー

日本に滞在中、私たちの旅の経験をレイソンともシェアしようと決めました。そこで東京に戻った私たちは、90人以上の素晴らしい観客を前にスライドショー「風と海に導かれて」を開きました。筋金入りのサーファーから、ビジネスマン、妊婦さん、そしてオシャレさんまで、皆に共通していたのは、「家族への愛」でした。インドネシア、オーストラリア、フィリピン、そしてニカラグアでの写真や体験、またちょっとした事件や素晴らしい瞬間、その他すべてのストーリーを皆さんに紹介するのは、アダムと私にとってとても楽しいことでした。

鎌倉の伝統的な街並と混雑したビーチに移動すると、ふたたび「風と海に導かれて」を開催する機会に恵まれました。気持ちのよいパタゴニア鎌倉はストーリーテリングの舞台へと様変わりし、私たちの経験を分かち合えることは特別で感動的であっただけでなく、その日はレイソンの1歳の誕生日でもありました。皆に『ハッピーバースデー』を歌ってもらい、美味しいバースデーケーキで祝ってもらいました。鎌倉の皆さん、忘れられない1歳の誕生日をありがとう!

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ふたたび旋風のような旅路に戻り、足を運ばなければいけない場所がもうひとつありました。静岡にあるパタゴニアのディーラーのJACK OCEAN SPORTSです。サーフィン業界の粋なリーダー的存在であるJACKは、サーフィンのライフスタイルに必要な物がすべて揃うとても楽しい雰囲気で賑わう素晴らしいお店です。ここで出会ったすべての人と過ごせた時間は貴重でした。

ツアーを組んでくれたスタッフ、参加してくれた皆さん、新しく出会った友人、ふたたび出会えた古い友人たちに心から感謝します。私たちの経験をシェアできたことは、私たちにとってとても意義のある時間でした。

南への長い道のり

湿度の高い空気に包まれ、そろそろ私たちのピギーを海へつけるときが迫っていました。そこでシンジは私たちを伊豆の緑豊かなジャングル、白い砂、透き通った青い海へと導いてくれました。シンジと一緒にいると、ローカルな体験をすることができます。海へ向かう車のなかで、敬意を抱くことの大切さ、そして地元のルールを必要なだけ、あとは想像できる程度に教えてくれました。知り合いがたくさんいたおかげで、伊豆ではパタゴニア日本支社のプロセールスに登録しているタカミツ・シンジと彼の美しい奥さまの家に滞在させてもらいました。控え目で平和に満ちたシンジのリラックスした、愛でいっぱいの人生に向き合う姿勢は、この魅惑的な景色への完璧な序奏曲となりました。ジュラ紀に存在したような入り江に小さな波がラインを描いて入っていく…。波はクローズアウトでしたが、シンジのサーフィンは速く、正確に流れ、そして電撃的でした。

太陽が最後のオレンジ色で空を染めるころ、私たちの最後のセッションで、幸運にも子供が人生初の波に乗るところを目撃することができました。浅瀬の河口へ向かう優しいスープの波に、彼が立ち上がると同時に父親がボードを押す。ラインをグライドしながら、長い足はボードのようにまっすぐ固まったまま。腕を穏やかに、そして自由にいっぱいに広げ、ラグーンの緑色のフェイスに導かれて、陽の光に消えていく。子供の顔に「やった!」という表情がにじみ出ているのを見て、彼の人生を変えるようなこの経験を分かち合うことができたことに心から感動しました。サーファーになるということは、海への一生涯の愛を育むことを意味します。波乗りがどれだけ魂を満たしてくれる特別なものであるかを私に思い出させてくれたこの体験を、私は決して忘れないでしょう。

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そのまま伊豆に落ち着いてしまうのは簡単でした。けれどもトモコとモリケンと一緒に台風のうねりを追い、さらに南に住む古くからの友人ミワへ会いにいくのも楽しみでした。四国への橋を渡るとき、ゴールデンゲートブリッジとその下の強いカレントを思い出しながら、たくさんある河口ポイントについて話しました。話に夢中になっているといつの間にか高知に到着していました。しかも予定より少し早く、12時間44分で。
 
ミワが住む地元の村の前に立つ、秘密のレフトの話はよく聞いていました。そして年に数回しか立たないということも聞かされていたので、朝起きたときにオーバーヘッドのレフトが巻いていたのには驚きました。ポイントには大きな丸い岩が並び、オフショアの風と引き潮のおかげで素晴らしいサーフィン日和の3日間となりました。ロングボード、ショートボード、シングルフィン、そしてボディーサーフィンのセッションまで楽しめる、この使い手を選ばない波は最高に楽しいものでした。私たちは古風な趣の、穏やかでフレンドリーなアベさんという、自転車修理店の奥にある男性の家にお世話になることになり、畳の床や障子に囲まれた家のなかにいると、伝統的な日本に囲まれているような気分でした。
 
新しく出会った友人、家族のような古くからの友人、波、海での時間、豊かな緑、素晴らしい食、日本の文化……。私たち家族の3週間のアドベンチャーは期待以上のもので、心からの愛と優しさを今回出会ったすべての人たち、そして場所と分かち合うことができました。唯一残念だったことは、日本をはなれなければならなかったことだけ!

ありがとう、日本。心から感謝し、また会える日を楽しみにしています。

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ベリンダ・バグスはオーストラリアのサンシャイン・コーストの出身のパタゴニアのサーフィン・アンバサダー。ベリンダとパタゴニア・オーストラリアのクルーについては、パタゴニア・オーストラリア・ジャーナルをお読みください。また彼女の家族でのアドベンチャーについては、On The Road With Raysonでもご覧いただけます。

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