• 中西 悦子

中西 悦子

環境・社会部/アクティビズム・コーディネイター

STARTED AT PATAGONIA

2002年

LOCATION

神奈川県横浜市

中西 悦子
「環境問題に取り組むということは、自分の生活をまるごとクリーンにしなければ、と思われがちです。けれども、厳格な聖職者のような暮らしは私を含めて誰でも難題ですし、少ない時間でもできることはいろいろあります。それを自分の10あるうちの5割、6割にできるようバランスさせることかなと思います」
 

情熱を注いでいること:
気候変動など環境問題の解決という究極のゴールは、ひとりで達成することはできません。それでも目の前に崖があるのに前進しているような現状に対する危機感は、いつも心のどこかにあります。だからこそ、人生の多くの時間を費やす仕事として環境問題に関われることに、感謝と責任を感じています。私の中では仕事の時間とライフスタイルを問わず、すでに人生の大切な一部になっています。

お気に入りのパタゴニア製品:
ドラゴンフライ・ジャケット。日常使いの信頼感もさることながら、晩秋の八ヶ岳や北穂高岳など、寒くなり始めた時期の登山で、適温な状態で活躍してくれました。防風機能と透湿性のバランスが私には最適。安心感があるので、いつもフーディニ・ジャケットと合わせて持参してしまいます。みんなに「ミニマリストではない」と言われつつも(笑)。

パタゴニア入社までの道のり:
以前は2つの会社に勤めていました。新卒で入社した大型商業施設のデザイン会社ではさまざまな仕事を経験しましたが、連夜の徹夜続きというハードワークから、絵本の出版と小売りを手がける専門店に移り、社会と女性をテーマにしたミニ冊子の編集に携わります。大量の書籍を運ぶ日々のなかで腰を痛め、入院とリハビリでなにもできない2年間を過ごしました。もしも社会復帰できるなら、自然のなかで過ごす時間を大切にできる仕事をと考え、友人の勧めでもともと製品として信頼していたパタゴニアに応募。以前に雑誌で読んだ「企業は社会を変えるための道具」というパタゴニアの企業理念を思い出したのもそのときでした。

環境問題に取り組み始めたきっかけは?
最初に勤めたデザイン会社では、都市開発の基本構想から建築物や店舗内装、パブリックスペースなどをデザインして、クライアントである企業に提案。そのために取り寄せた、木材や石材、金属、陶器などの素材サンプルの多くは、提案が終わると分別もせずに産業廃棄物になり、定期的にそれらを処分する大型トラックがやってきていました。きらびやかに飾られたプランニングと、現実に起きていることに大きなギャップを感じ、そのときの思いが、パタゴニアに入社して最初に取り組んだ直営店での製品の梱包袋のリサイクル(デポバック導入)につながったのだと思います。

アクティビズム・コーディネーターとしてチャレンジングだった取り組みは?
常にチャレンジングで、慣らし運転であることは少ないです。観察、考察、決定、行動、再考。関わる方と共通のゴールを持ち、 自分のいる位置でできる最高のパフォーマンスを求めていくことの連続です。

アクティビズム・コーディネイターとはどんな仕事ですか?
環境問題や社会課題の解決に向けて、社内外の人が有機的に繋がり力を発揮できる環境を整えながら、ありたい未来や状態を目指す役割です。社内では直営店を含めた全部署で取り組むチーム戦をコーディネイトし、社外では地域のステークホルダーの方にも一緒に関わってもらって、小さな合意を少しずつつくっていく作業を重ねています。現在、環境助成金プログラムの支援先は100を超えますが、なかでも戦略的なプロジェクトとして支援している団体が全国で4つほどあります。

長崎の石木ダムもそのひとつですね?
はい。今まではたくさんの団体を支援したり、スキルを提供する形で取り組んできたのですが、そこから一歩進んで、多くの人を巻き込む形が生まれたのは石木ダムの活動からでした。発言力があり環境問題に関心が高い著名人や記者の方と一緒に現地を訪問して、問題解決の方向を一緒に考える。もちろん、私たちの代弁者になっていただくわけではありません。著名人の方に限らず、皆さんひとり一人が、この問題と向き合ってくださったこと、ご自身の問いを重なって発言や行動されたことで、私たちだけではできなかった広がりや物事をタブー視しない状況の変化が起きています。ほかにも、気候変動問題の大きな要因となっている新規に計画されている石炭火力発電所の見直し、長野県白馬での再生可能なエネルギーの促進や脱炭素化を含め、これからの豊かな山岳リゾートとしての地域を目指す取り組みなどがすすんでいます。