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再生可能エネルギーについてよくあるご質問

〈認定NPO法人 環境エネルギー政策研究所/ISEP〉協力)

 

発電設備はもともと1年のなかで最大の電力需要があるピーク時の電力量に合わせて整備されてきました。いま現在、わずか3基の原発が稼動しているだけですが、夏と冬の最大電力需要期にも電力不足の心配はまったくありませんでした。さらに、その3基の原発を止めたとしても電力供給の問題は発生しません。なぜなら原発が正常に稼働していた時期に原発が賄っていたおよそ3割の電力のうち、ピーク時にはおよそ半分を「無理の無い節電」でまかない、残る半分は止まっていた火力発電を焚き増しすることでカバーしているからです。

今後、事業系および家庭系ともに一定の時間をかけて「無理の無い節電」、つまり設備、運用、慣習の見直しを通じたエネルギー使用の節約および効率化を推進していくと同時に、電力不足が生じないように再生可能エネルギーに置き換えていくエネルギー政策を進めれば問題ありません。

 

電力会社は原発を停止して火力発電を増やした結果、燃料コストが増えたことを口実に電気料金の値上げを申請しています。

しかし現実には、原発があるからこそ高くなっています。輸入燃料費が最大4兆円増えたときでさえ、原発が止まったことによる費用増はその3分の1(約1兆5千万円)に過ぎず、他は原発停止と無関係な理由(円安と石油高)でした。その証拠に、原油が下がった昨年以来、ほとんどの原発が止まっていても燃料費は下がっています。一方、止まっている原発を維持する費用が1兆円以上も電気料金に上乗せされているため、原発をすぐに廃炉にした方が電気料金が安くなると試算されています。

加えて、電気料金として私たちが直接支払っている負担と同時に、電気料金には含まれていない負担を考えることが重要です。

電力会社が原発のコストは安いと主張できる背景は本来、コスト算出の際に含めるべきさまざまな費用を低く見積もっている、あるいは外部化しているからです。例えば、福島原発事故で露呈したように不十分な安全対策に加え、10万年も残る放射性廃棄物の管理・処理費用、廃炉費用、損害保険料、原子力関連施設に対する警戒警備費などです。いざ事故が起きたときの損害をあらかじめ保険でカバーすれば、その保険料で電気料金が数百倍になるという試算もあり、じつは原発は最もコストの高い電源なのです。

火力発電、なかでも石油は最もコストの高い化石燃料ですから、できるだけ早く石油火力への依存を止めていくべきです。石炭は比較的に安価で資源も豊富ですが、石油とともに地球温暖化や大気汚染、酸性雨の最大の原因となっています。また天然ガスの価格を下げる要因となっているシェールガスの水圧破砕法は水質汚染などが懸念されています。これらの環境問題はさらに自然災害や生物多様性の喪失などの誘因になるため、それらの対策や回復にかかる費用、また失われる生態系サービスの価値も加えれば、石炭や天然ガスも決して安い燃料とは言えません。

一方、高いと言われる再生可能エネルギーですが、水力発電や地熱発電、バイオマス発電などの中にはすでに既存の発電と遜色のないコストになっている発電もあります。風力発電も海外では石炭火力を下回るコストに下がっています。確かに太陽光発電はまだ高コストですが、パソコンや液晶テレビと同じ原理(量産効果と技術学習効果)で急激にコストが下がっており、日本でもほぼ電気料金と同程度、ドイツなどではすでに電気料金よりも安くなりました。

いずれにしても未来の世代のニーズを損なわないため、現在の発電コストだけでなく、エネルギー・サプライチェーン全体における長期的な視点での環境的/社会的コストも含めて考える必要があります。

 

電気料金が不必要に高騰することは、確かに経済に影響を与えるでしょう。しかし重要な事実を丁寧に見ていく必要があります。

第一に日本の電気料金は原発が正常に稼働していた時期でさえ、世界でもっとも高い水準でした。背景にはエネルギー原料の輸入国ということもありますが、自由化が遅れていることにより電力事業者間の正常な競争が行なわれていないことや、総括原価方式(発電・送電・電力販売にかかわるすべての費用を「総括原価」としてコストに反映させ、さらにその上に一定の報酬率を上乗せした金額が、電気の販売収入に等しくなるように電気料金を決める方法)によりコスト意識が希薄だったことなどが要因です。したがって日本の電気料金は、いまの競争のない独占体制を見直すことでもっと安くなる可能性があります。こうしたことから、2016年4月にようやく電力小売りの全面的な自由化が始まります。すでに100社以上の新しい電力小売り会社が参入を表明し、電気の世界でも競争が始まろうとしています。

第二に電気料金と経済との関係ですが、産業全体の売り上げに占める電気料金の割合は1%あまりに過ぎません。それが例えば2割上がったとしても、総費用に占める割合は0.2%ほどで、経済に悪影響を及ぼす水準とは言えません。さらに、付加価値の高い産業ほど電力コストの占める割合が小さい傾向にあり、日本経済も経済のソフト化、脱エネルギー化、脱物質化が進んでいるので、電気料金の上昇がそのまま経済に悪影響をおよぼすというのは短絡的な議論といえるでしょう。

電力コストが大きな比率を占める電力多消費産業は確かにありますが、一部に過ぎません(電力コストが総費用の5%を超える産業は生産額にして0.6%)。電気料金値上げの悪影響については、そうした産業に配慮をすればよく、あとは冷静な議論ができるはずです。

企業経営や家庭生活にエネルギーは不可欠ですが、その他の自然資源の多くが有限であることも考える必要があります。つまり、エネルギーに限らず再生不可能な資源を保全し、再生可能な資源を賢く使う、地球1個分の資源で賄える経済活動に移行しなくてはなりません。

そのため、例えばデンマークでは電気料金の6割もの環境税が乗せられ家庭用では日本の倍以上の電気料金ですし、ドイツでも4割が環境税などでやはり日本の3割増しの電気料金となっています。それでもその両国の経済は日本よりもずっと好調ですし、社会の豊かさを実感する国となっています。つまり電気料金は安ければよいのではなく、環境に悪影響を及ぼすものにはそれに応じた費用を支払うことで、将来世代にわたる持続可能な社会を創っていくという考え方が社会で共有されているのです。

また、ここ数年で「再生可能エネルギー100%」の目標を公言し、それを実施しようとしている動きが急速に増えてきました。ナイキやイケア、グーグルなどの国際的な大企業(RE100など)やコペンハーゲン、サンフランシスコなどの大都市、そしてスコットランドやアイスランド、デンマークといった国レベルで、100%再生可能エネルギーに転換を目指しています。

 

確かに原発関連の雇用は直接あるいは間接的に影響を受けます。しかし、これは慎重に考える必要があります。

第一に原発の製造と建設に関する雇用について、原発関連の雇用はそんなに多くはありません。そのうえ福島原発事故の前でさえ日本国内で原発の建設予定はほとんどなく、原発設備の製造業では他分野の製品製造との兼業が普通です。一方、再生可能エネルギーはより多くの雇用を生む可能性が高いと言えます。例えば、福島原発事故を受けて2022年までに国内全ての原発を停止することを閣議決定したドイツでは、原発の雇用が1万人程度であることに比べ、再生可能エネルギーの雇用は2004年から2013年までに11万人以上も増えて37万人にのぼり、設備投資額は2兆5千億円にもなっています。企業レベルでも、ドイツ唯一の原発メーカーであったシーメンス社は2011年に原子力事業から撤退し、再生可能エネルギーなどその他の事業分野を強化する戦略を進めています。ドイツ最大の電力会社エーオンも2014年末に原発事業と石炭・天然ガスなどの既存発電事業を分離することを突然発表して撤退する方向を見せ、2015年末にはドイツ第2の電力会社RWE社も同様に再生可能エネルギーに軸足を移す発表をしました。

第二に原発立地地域の雇用については、直接的に影響はありますが、ここも丁寧に見ていく必要があります。原発を閉鎖しても廃炉には長い期間がかかるため、保守・管理やその後の廃炉には引き続き一定の雇用が必要となります。加えて「雇用の質」を考える必要があります。原発立地地域の雇用の特徴は、建設業や原発・電力関連に極端に偏った地域経済の構造(モノカルチャー)になることに加え、電力会社やゼネコン・原発関連企業などの地域外の資本に頼った開発(外発型地域経済)であるため、「電力会社がクシャミをすると原発立地地域が風邪をひく」という関係にあります。この2つの理由から、原発の産む雇用では、ますます地域の自立を遠ざけてしまう状況となります。また原発の雇用は、被ばく労働が必ず伴うことも忘れてはいけません。

これに対して、再生可能エネルギーは地域が主体となって開発することで自立型かつ持続的な地域経済の構造に転換していくことが可能になります。そのうえ再生可能エネルギーが生み出す雇用は、ドイツの例に見ることができるように、原発や火力発電に比べて圧倒的に数多くの雇用を生み出すことができるのです。

日本でも、たとえば北海道下川町では、周囲の豊富な山林を活かしてバイオマスボイラーを導入した結果、自治体で燃料費が浮いて保育など他の行政サービスの改善に繋がっただけでなく、木質燃料の供給のための林業や燃料製造で新しい雇用が生まれるなどの好循環を見ることができます。

 

再生可能エネルギーによる電力供給を増加させるには相応の時間や制度改革が必要で、残念ながら、短期的には不足している電力を火力発電で賄うことで二酸化炭素が増えてしまうことは避けられません。

しかしながら福島原発事故以降を見てみると、原発の電力をすべて火力発電が置き換えたのではなく、ピーク時でおよそ半分、年間でも3分の1は節電によって減らしていることがわかります。今後、エネルギー使用の節約と効率化をさらに推し進めながら、同時に再生可能エネルギーに置き換えていくことによって、原発もなく、同時に地球温暖化も避けることができる電力・エネルギー構造に転換することが可能です。

2015年12月にはパリでアメリカや中国を含む世界196カ国が参加する気候サミット(COP21)が開催され、今世紀末までに温室効果ガス排出を実質ゼロにする「パリ協定」が採択されました。その気候サミットでは、原発ではなく「再生可能エネルギー100%」によってこれが達成できるという声が溢れていました。

 

現在の日本のように、風力発電や太陽光発電といった変動する再生可能エネルギーの比率が数パーセントと低い国では、自然条件によって多少の変動があっても電力全体の中に自動的に調整・吸収されるため、まず問題になることはありません。

すでにデンマークやドイツ、スペインのように電力供給の20~40%、ピーク時には50%から100%以上を風力発電など変動する再生可能エネルギーで供給している国がありますが、それでも問題は起きていません。

なぜなら再生可能エネルギーの比率が大きくなると、数多くの個々の発電所の変動が合成されて緩やかな発電量の変化になり、また気象予測もますます精緻になり、24時間前からかなりの精度で発電量を予測することができます。その変動に対して、主に(1)供給側、(2)需要側、(3)電力市場を介して調整します。(1)供給側とは天然ガスや水力発電など瞬時に調整できる発電手段、(2)需要側とはあらかじめ契約していた需要側による調整(需給調整契約やデマンドレスポンスと言います)、(3)電力市場はそうした供給と需要を繋ぐ場として、価格を通して時々刻々と需給を調整する機能(メリットオーダーと言います)を指します。こうした3つの手段で安定供給に支障がないことがすでに、ドイツやデンマークなどの経験は示しています。むしろその両国は、近年、もっとも停電の少ない「安定供給の国」としての実績を持っています。

さらに将来、再生可能エネルギーがそれ以上の高い比率(50%~100%)に高まった場合でも、将来は、蓄電池や大容量で電力を需要地に送ることができる送電線の整備、発電の変動に応じて需要側も自動的に変動させる仕組み、余った時間帯の再生可能エネルギー電力を使って水素を製造するなど、これから次々に実用化が進んでいくことが期待される技術を含め、さまざまな選択肢が広がっていくと考えられるために、再生可能エネルギーが100%でも電力供給の安定化は解決可能と考えられています

 

「ドイツの再生可能エネルギー政策が失敗」というのは、事実ではありません。2000年に開始した固定価格買取制度によって再生可能エネルギー普及で世界をリードするドイツでは、発送電経費や税金など全体的コスト上昇が電気料金に反映して消費者の負担が急速に大きくなり、その一部(およそ3分の1)の原因は買取価格が相対的に高い太陽光発電が予想を超えて拡大したことも原因です。そのため、電気料金の高騰に対する不満や批判の声はありますが、それでも一般国民の再生可能エネルギーへの高い支持は揺らいでいません。

そこで2012年に、固定価格買取制度の元手の買取価格を大幅に引き下げ、2014年にも制度を大幅に見直しましたが、それでもなお再生可能エネルギーの普及は継続し、当初6%だった再生可能エネルギーの割合は、2015年末には30%以上に達しています。つまり、再生可能エネルギーの普及と価格引き下げが両立しているということは、むしろ成功と言えるのです。

今後、数年で国民の負担なしで普及する可能性も見えていますから、それが実現すれば大きな成功と言えるでしょう。

 

もちろん、再生可能エネルギーにもそれぞれ何らかの課題はあります。

その前に、まずはじめに持つべき共通認識として、もっとも重要なことはエネルギーと社会の持続性です。資源の永続性と環境の持続性を考えると、原発はもちろん、化石燃料(石油、石炭、天然ガス)も決して持続可能ではなく、持続可能なエネルギーはその定義から再生可能エネルギー以外にありえません。

また発電段階だけでなく、原料調達から廃棄物処理までを含めたエネルギー供給の流れ全体で考えた場合、各段階で関わる地域や人々への環境的・社会的影響を考える必要があります。原発は発電時には二酸化炭素を排出しないと言われますが、ウラン採掘、燃料の精製、稼働時の温排水放水などを通じても環境や社会に影響をおよぼします。また、福島第一原発事故が今もなお示しているとおり、大きな事故が起こった場合の影響は、原発はもとより火力発電も再生可能エネルギーとは比較にならないほど大きくなります。

一方、再生可能エネルギーの課題の多くは解決不能な本質的な問題点ではなく、地域社会や環境への配慮が欠けた、地域での合意形成や建設プロセスに起因するものです。一つひとつの再生可能エネルギーの開発にあたって、技術的な解決だけでなく調査にもとづく開発エリア整備や社会的な合意や地域社会の参加を得ながら進めていくことで、さまざまな環境的/社会的な問題を最小限にすることができます。そうした考えのもとで進める再生可能エネルギーは「コミュニティパワー」(ご当地エネルギー)と呼ばれ、むしろ地域が主役となって再生可能エネルギーが積極的に進められています。

 

原発の使用済み燃料を再処理してプルトニウムを取り出し、再び燃料として利用する考えを「核燃料サイクル」と呼びます。しかし実態としては、すでに破たんしています。

まず、「核燃料サイクル」の中核に来るべき「高速増殖炉」は、1995年のもんじゅ事故以降、実用化の途が完全に途絶えています。そのため国はやむを得ず取り出したプルトニウムを既存の原発で燃やす「プルサーマル」で利用する計画に切り替えましたが、これ自体が福島第一原発で行き詰まり、日本は50トンもの余ったプルトニウムを持つ世界第3のプルトニウム保有国となっています。

そしてもう一つの中核となるべき青森県六ヶ所村の使用済み核燃料再処理施設はさまざまなトラブルが発生して、当初1997年完成予定から20回以上も延期されていまだに完成する見込みがありません。仮に完成しても、この工場では、高速増殖炉やプルサーマルからのMOX使用済み燃料を再処理する見通しはなく、「核燃料サイクル」はその名に反して閉じることができないのです。

仮に核燃料サイクルが実現したとしても、再処理した燃料による発電で賄えるのは電力の一部だけですから、石油、天然ガスなどのエネルギー資源の輸入依存を減らすことにあまり貢献しません。したがって、エネルギー安全保障上も大きな意味はなく、むしろ核拡散のリスクを高める余分なプルトニウムを大量に積み上げてしまうため、広い意味での安全保障を危うくします。

放射性廃棄物については核燃料サイクルが実現してもけっして減らず、むしろ危険な核種で汚染されたさまざまな廃棄物がどんどん増えてしまいます。また、40年といわれる核燃料サイクル施設の寿命が終われば、建物そのものも全てが放射性廃棄物となります。

そして何よりも、核燃料サイクルはすべての原子力先進国がとっくに開発と実用化を諦めた電力システムであり、日本でも高速増殖原型炉もんじゅの失敗と六カ所再処理工場の失敗など、実質的に破綻しています。現在でも原発が稼働している限り、放射性廃棄物は毎日増えつづけています。一方、中間貯蔵場所の受け入れ余地は残りわずかになり、完成まで長い時間がかかる最終処分場所もまだ決まっていません。