
横山 勝丘
ジャンボこと横山 勝丘はパタゴニアのクライミング・アンバサダー。25年の経験を積んだいまなお、興奮と懸念を抱いて山に登る。

その壁は登山とクライミングのみならず、探訪者とローカル、それぞれの考え方やスタイルを繋ぐ壁。そして現在と未来を繋ぐ壁にもなる。

2010年5月7日。4日間をかけて標高差3000mにおよぶ未登の南東壁を登り切ったぼくは、パートナーの岡田康とともにカナダ最高峰ローガンの山頂に立った。それはまた、妻の千裕と一緒に回った北米のクライミングトリップの終わり…

2018年1月。積年の課題であるフィッツトラバースを目的に、ぼくは家族と一緒に麓のエル・チャルテンを訪れた。今年は運がついているのか、着いた早々に晴天がやってきた。とりあえずはウォームアップということで、増本亮・さやか夫…

2017年11月1~4日までの4日間、ぼくはユタ州南東部のモアブ近郊で開かれたパタゴニア主催のプレスイベントに参加した。このイベントは、多くの文化的遺産や豊かな自然を有し、その中で遊ぶ機会を提供してくれるベアーズ・イヤー…

2017年8月9日午前9時10分。ぼくとパートナーの長門敬明は、パキスタン、カラコルムヒマラヤの中央部に位置する標高6,615メートルのK7 West山頂に立った。「立った」というよりは「しゃがみ込んだ」というほうが正確…

ネパールヒマラヤ、チャムランという山の北壁に魅せられた今井健司は、その壁の基部にいくつかの痕跡を残したまま、姿を消した。ヒマラヤの壁のソロ。それが夢だったという。いつもワイワイと楽しく登っている姿からは、まさかそんな夢を…

4月下旬、ネパール中部で大地震が発生し、多くの命が失われた。そのちょうど一か月前の3月、ぼくはまさにネパールヒマラヤの心臓部にいた。地震のニュースを聞いてすぐに、そこで出会った現地の人々の顔と、周囲に広がる雄大な山々が脳…

パタゴニアに来てからの2か月間で一度も目にしたことがないほどの透き通った青空が広がっている。その空に向かって延びる一本のクラック。リードするマスのハーネスから垂れたバックロープが、この壁の傾斜の強さを物語っている。見た目…

やっぱりクライミングって素晴らしい。なにを今さらと思われるのは百も承知だし、クライミングが他のスポーツよりも優れていると主張するモチベーションもない。でも、やっぱり良いものは良いと思わせてくれたアメリカでのクライミングだ…

パタゴニア社のロゴを見せて、「このロゴを知っているか」と聞くのはあまりにバカげた質問かもしれない。それぐらいあのスカイラインのロゴは、パタゴニア社の顔として毅然と君臨している。でもどれだけの人がパタゴニアという名前の由来…

今日も外は強風が吹き荒れている。ここは地球の裏側、アルゼンチンはエル・チャルテン。パタゴニアの山々を登るためにここまでやってきたぼくたちだったけど、ここ数日間、小さなこの町で悶々とする日々を過ごしていた。いつもより早い昼…