企業の責任とパタゴニアの歩み

Timothy Stuart

アパレル産業
「スウェットショップ(労働搾取工場)」という言葉は、そもそもは19世紀に労働者が熱くて混雑し、大気が循環しない劣悪なコンディションの縫製工場で16時間労働したあともわずかな賃金しか受け取らないことを表現しました。スウェットショップの一般の認識は新しいものではありません。1911年のニューヨークのトライアングル・シャツウエスト工場の火災は146人の死者を出し、そのほとんどは若い女性で、半分以上がユダヤ系の移民でした。これは改革の呼びかけの口火を切りました。それからちょうど100年後に起きたバングラデシュのラナ・プラザの崩壊は1,100人以上の死者を出し、新たな改革の呼びかけが起こりました。

しかし何千もの工場で、人びとはいまだに酷い状況のもと、長時間の低賃金労働をしています。世界的な衣類製造業で働く労働者(ほとんどが女性)はたいてい若年層であり、貧困で、教育を受ける機会や公民権を剥奪されているケースが多く見られます。そうした国々の労働法(および施行)はずさんな場合もあり、労働者は弱みに付け込まれたり、差別的な待遇や嫌がらせを受けたり、あるいは労働組合を結成する権利を否定されたり、さらには脅迫や騙されたりすることもあります。労働環境は安全でも健全でもありません。

これは縫製が一般的に困難な仕事で、すべての工場がスウェットショップであるという意味ではありません。200年ものあいだ、縫製は工業国における初心者レベルの職で、しばしば地元女性に初の独立所得を提供してきました。多くの工場が安全で健全、かつ人道的な就労環境のもとで衣類を生産しており、低賃金であったとしても合法な賃金を支払っています。しかし、それらはどちらかといえば例外的です。

アパレル産業におけるパタゴニア
パタゴニアの従業員――パタゴニアが直接雇用し、オフィスや直営店舗、配送センターで働くおよそ2,000人――は公正な報酬と手厚い医療保険、託児施設利用に対する補助金(ベンチュラとリノ)、柔軟性のある勤務体系、環境インターンシップ・プログラムに参加するための有給休暇など、優れた福利厚生を受けています。従業員の多くがパタゴニアの価値観を共有し、質を重視し、環境問題や地域社会での活動に積極的に取り組んでいます。アメリカ本社における従業員の離職率はひと桁で、その一方で毎月平均200通の履歴書を受け取っています。

大多数のアパレル企業同様、パタゴニアも製品の製造はしておらず、またパタゴニア製品を製造する工場のいずれも所有していません。私たちが行っているのは製品のデザイン、テスト、市場への投入および販売です。こうした領域が私たちの強みであり、素材の製造や裁断、縫製は技術的専門知識と必要な設備を持つ他企社に委託しています。この段取りはどんな製品についても責任を感じる私たちにとっては特別な課題です。

パタゴニアのサプライチェーン
新しい工場を検討するとき、または既存のそれを評価するとき、私たちは品質水準、財政の安定度、適切な生産能力、公平な価格などのビジネス要件と同等に、社会的/環境的慣行を考慮する4段階の審査アプローチを用います。

パタゴニアのソーシャル/エンバイロメンタル・レスポンシビリティ(SER)・チームは(つねに品質管理チームと同じように)新工場との取引に対する拒否権を有します。これはアパレル産業では稀で、パタゴニアと同様の社会的/環境的価値をもたない工場との契約を阻止します。また素材調達と供給計画チームに対しては、私たちのビジネスの意思決定から生まれる工場の従業員たちとその環境へのいかなる悪影響も最小限にするための責任ある実践について教育しています。資材調達と品質管理のスタッフはSERチームと密に協力し、サプライチェーン選択のための共同ミーティングを毎週開いています。

年表

1973年から1990年:
パタゴニアは「粗悪な工場で良い製品を作ることはできない」と信じ、品質と高潔さという価値を分かち合う工場との取引を試みる。清潔で管理が行き届き、技術と経験のある労働者を有し、離職率の低い工場と仕事をする。

1990年:
会社が成長するにつれて、これらの前提をテストする必要性を認識し、契約工場のレビュー工程の正式化に着手。1990年パタゴニアの契約マネージャーと品質チームに、訪れる工場を品質および就労環境の両面で評価するように依頼。訪問できない工場とは一切仕事をしないことを決定。

1991年:
サプライチェーンの契約工場すべてを招いて開催した初回のサプライヤー・コンファレンスにて「契約関係査定」を発表。査定は各工場の異なる分野におけるパフォーマンスを格付けするスコアカードで、工場管理者側にも同じ格付けを依頼。パタゴニアが低く評価した分野に工場側が高い評価を下した場合、その差が対話の課題および焦点となる。私たちのアプローチは非公式なものではあったが、高品質への要求が概ね社会遵守面において責任のある方向へとパタゴニアを導いた。

1990年代半ば:
第三者監査機関に取引先工場の訪問と契約を考慮中の新工場の査定を依頼しはじめる。監査はある時間における寸評に過ぎないが、工場の就労環境と管理システムの様子を示すものであると同時に、変革についての対話を開始する良い方法でもある。

1996年:
ある人権保護団体がウォルマートが販売しているKathie Leeブランドの衣料品は、13〜14歳の女子が時給31セントで20時間労働を強いられているホンジュラスのスウェットショップで製造されたものであると暴露する。これはそもそも定評のあるアメリカの製造会社に委託されたものだったが、需要が増すにしたがって、工場がこのホンジュラスの工場に委託したビジネスと下請契約をしていた。

一般の抗議のあと、感心なことにKathie Lee Giffordは反スウェットショップ運動に参加。Giffordとパタゴニアはいずれもクリントン大統領の「ノー・スウェット・イニシアチブ」に招待された。そこで学んだことをベースにパタゴニアはより正式な工程を作り、独立かつ複数の利害関係者から成る監査と訓練組織で、パタゴニアの工場を監査する公正労働協会(FLA)の創立会員となる。

2000年代初期:
これらの前向きないくつかの段階を経たあと、より安価に製造する新しい工場で製品の製造をはじめ、一歩後退する。取引先工場の数が膨らみ、これらの下請け工場のいくつかはパタゴニアが知らない工場と取引をしていた。誰とビジネスをしているのか、また多くの工場における就労環境が追跡できなくなり、しばらくの期間、FLAから脱退する。

2002年:
パタゴニアのサプライチェーン全体で社会的責任の遵守を監視し、FLAとふたたび仕事をはじめるため、ソーシャル・レスポンシビリティ・マネージャーを雇用。パタゴニア社員を教育し、彼らの行動が無意識に工場労働者の勤務時間を長引かせたり、急がせたり、より大きなストレスを引き起こす可能性があることを理解させる。

2000年代後半:
パタゴニアは監査および、(工場内での特定の問題を解決するための地元の第三者専門家との)特別プロジェクトと情報シェアリングのためにブランドの恊働努力を拡張する。裁断/縫製サプライヤーの3社(合計8工場)がFLA会員となる(それによりパタゴニアと同様のメンバー基準を満たすことが要求される)。パタゴニアは工場とより密に協力し、彼らのサプライチェーンについて知識を深める。個々の関係を強化し、サプライチェーンでの透明性を高めるため、取引する主要工場の数を50%削減する。

2007年:
パタゴニア製品の社会的/環境的影響を追跡するフットプリント・クロニクルをローンチ。
社会監査、トレーニング、能力開発を国際的に提供する非営利団体〈Verité〉に依頼し、サプライチェーンの工場を訪れるパタゴニアの社員75名にパタゴニアの職場の行動規範を完全に理解させるための訓練を実施する。新規および既存の社員のために毎年、再教育を提供。

2010年:
ソーシャル・レスポンシビリティ・マネージャーがソーシャル/エンバイロメンタル・レスポンシビリティ・ディレクターへと昇格。これにより工場レベルにおける社会的責任と環境的責任が一体化される。

すべての下請け工場を識別し、下請け施設を含むほぼ100%の裁断/縫製工場を監査するようになる。

パタゴニアはアパレル産業界における環境的/社会的な実績を測定するための指標作りに、共同で取り組むことが可能かどうかを見極めるため、アパレル産業、NGO、大学関係および米国環境保護庁のトップリーダーを集めて初回のミーティング開催に助力する。2015年時点で〈サスティナブル・アパレル・コーリション〉は100社以上がメンバーとして顔を連ね、その生産高は世界各国で購入されている衣類とフットウェアの3割以上に相当。その共通のゴールは「環境に不必要な悪影響を与えないアパレル産業と、その活動を通じてそれらに関連する人びとやコミュニティに肯定的な変化をもたらす」こと。

2011年:
12月に原材料サプライヤーの監査を開始。パタゴニアは新しい最先端の人身売買検出ツールを履行する。サプライチェーンの人身売買についての初回の社内トレーニングを開始し、製品サプライチェーンのスタッフ全員にトレーニングを提供。

2011年後期にはサプライチェーンの透明性に関するカリフォルニア州法に準ずる開示をローンチ。

公正労働協会が調達チームへ要求した指示にしたがい、「責任ある調達慣行」を正式化して、ローンチ。

2012年:
就職斡旋業者がパタゴニアのサプライヤーである台湾の素材工場における職を紹介するのに、アジアの外国人労働者に就職斡旋手数料として7,000ドルを課していることが、原材料サプライヤーの監査で明らかになる。斡旋業者は通常、法的制限を超えた手数料を請求するが、この慣行はビジネスを営むうえで容認可能であると考えられている。手数料には輸送費や就労ビザなどの必須項目が含まれるが、工場での仕事を得るためにそのような手数料を支払うことは、すでに生計を立てるのに苦心している労働者にとってはほとんど不可能な重荷である。

サプライチェーンの社会的/環境的影響を理解する試みとして、改訂済み、かつより透明性の高いフットプリント・クロニクルのウェブサイトをローンチ。

2013年:
この年のはじめ、パタゴニアはサプライチェーンの責任ある慣行を概要した行動規範を強化し、生活賃金の項目を加え、原価計算に生活賃金レートを考慮する方針を実行に移す。これらの努力はパタゴニアのサプライチェーンにおける公平な賃金の問題に対処する短期/中期/長期的戦略の一部である。

フェアトレードUSAとのパートナーシップは生活賃金を支払うための第一歩のひとつだ。パタゴニアは製品を製造する工場を所有しないため、労働者の賃金を管理することはできない。しかし、フェアトレードを通して労働者の賃金を補足し、彼らの暮らしを向上させる具体的な恩恵を提供することができる。パタゴニアは1点のフェアトレード・サーティファイド製品ごとに賞与(プレミアム)を支払う。この賞与は工場の労働者に直接送られ、彼らがその用途を決定する。各工場にて民主的に選出された労働者で構成されたフェアトレード委員会が、その用途を決定する。この年、パタゴニアは最初の工場を認定するためにフェアトレードUSAとの仕事に着手した。

パタゴニアの工場の火災予防管理能力を高めることを奨励する積極的な努力として、私たちは公正労働協会の火災予防イニシアチブに参加し、シードマネーを提供。この世界的なプログラムは積極的な火災予防を促進させ、危険を感知し、工場管理者の承認を得るための遅れをなくし、その遅れを取り除くことのできるように、労働者と工場管理者を訓練した。

2014年:
世界中の労働者が確実に安全で公平で合法な状況で働けるようにするために献身する非営利団体〈Verité〉とパートナーシップを組み、外国人労働者を保護する強固な水準とその取り扱いを監視するための新たな監査プロトコル・ツールを開発した。台湾のサプライチェーンを皮切りにパタゴニアの強い期待をシェアしはじめる。

公正労働協会内では多岐にわたる利害関係者との詰問工程に着手し、市民社会組織(CSO)、米国大学機関およびアパレル/フットウェアのブランドと共同にてFLAのアパレル/フットウェア組立工場での生活賃金の達成方法のビジョンであるフェア・コンペンセーション・ワークプラン(公正報酬制度)を案出。同ワークプランの履行に備えてパタゴニアはFLAを支持し、パタゴニアのサプライチェーンにおいて生活賃金を達成するための経路を探る各部門のチームから成る社内のフェア・ウェージ・タスクフォース(公正賃金タスクフォース)を設定した。

FLAの火災予防イニシアチブに基づき、パタゴニアのチームメンバー2名と製造工場からの6名が今後数年にわたり製造工場全体における訓練を広範化させるためのマスター・トレーナーを育成する集中訓練期間に着手した。

パタゴニア製品を製造する最初の工場が公式にフェアトレード認証を取得し、秋シーズンよりフェアトレード・サーティファイド縫製の衣類を販売開始した。インドのプラティブハ・シンテックス社が縫製するウィメンズのスポーツウェア10製品からという比較的小さなスタートだったが、このプログラムを拡大するために他国の複数の工場との取り組みに着手した。

2015年:
パタゴニアの台湾のサプライヤーにおける外国人労働者についての詳細な評価を〈Verité〉に委託。問題の程度を学ぶにしたがい、パタゴニアはこの先数年にわたりシステム全体において変化をもたらすことを目標とし、鍵となる戦略に取り組みはじめた。これには台湾の労働省と関与し、パタゴニアが直面する問題とそれに対処する私たちのアプローチについて一般に公開し、業界としての運動へと展開するために、同業者との協働関係を構築することを含みます。

パタゴニアはインド以外でもフェアトレードのプログラムの拡大を継続し、コロンビア、メキシコ、タイ、アメリカとスリランカの工場でも認証を取得した。またフェアトレード・サーティファイドの衣類がもたらす利点について顧客を教育するために同プログラムに関する短編ビデオをリリースした。

2013年に公正労働協会の火災予防イニシアチブに参加して以来、パタゴニアの製造工場において同プログラムを実施するための多大な時間と資源を投資した。パタゴニアの社員2名と製造工場からの6名がFLA主導による訓練コースを完了。確固とした土台を基礎として、翌年に訓練プログラムを拡張する準備に着手した。

FLAのフェア・コンペンセーション・ワークプランがリリースされ、パタゴニアはこれを自社の衣類組立サプライチェーンにおける生活賃金達成のためのロードマップとして採用する。重要なことにFLAはグローバル・リビング・ウェージ・コーリション(国際生活賃金同盟)が「労働者とその家族がその場所において適切な生活を営むことに十分な報酬を受け取ること。適切な生活水準の要素は食料、水、居住、教育、ヘルスケア、移動手段、衣類、および予期せぬ出来事に対応するための準備を含むその他の不可欠なニーズを含む」とする生活賃金の定義に同調している。

ワークプランはFLAのメンバー企業が一斉に前進できることを目標とし、彼らを導き組織化させるための3段階に分けられている。初段階の「テイキング・ストック(評価)」は、アパレル労働者が稼ぐ賃金の詳細データをサプライヤーが収集するためのもの。第2段階は「ラーニング&プラニング(学習と計画)」で、賃金向上のための努力の優先度を定め、戦略を構成するために労働者の賃金を生活賃金ベンチマークと比較することに献身する。第3段階は「メーキング・チェンジ(変化を起こす)」で、時間をかけて賃金を引き上げるためにサプライヤーと協働でプロジェクトを履行することに焦点を当てる。

ワークプランは2025年までにパタゴニアの製造工場で生活賃金を達成するという社内の生活賃金目標を設定するためにパタゴニアのCEOによって利用される。パタゴニアはこの社内目標をFLAと共有し、また生活賃金への私たちの望みについてパタゴニアのウェブサイトに公開することにより、FLAはフェア・コンペンセーション・ワークプランを先導する企業としてパタゴニアを認識した。

パタゴニアの社内目標とFLAのワークプランの実施を通して、パタゴニアのフェア・ウェージ・タスクフォースは賃金データ、戦略および広範囲にわたる持続可能な賃金向上をもたらすために必要な業界の協働方法を計画することによってフル回転しはじめる。

2015年終盤には、農業とアパレルの関係についての考えるようになり、動物福祉と労働者の公平性への高水準を含みながら土壌の健康を優先する「リジェネラティブ農業」という新しい概念について学びはじめる。リジェネラティブ農業慣行は土壌の炭素隔離を促進することを示しており、私たちはリジェネラティブ農業と気候変動のつながりについてのより詳しい研究に着手する。

2016年:
2名のマスター・トレーナーを有し、パタゴニアのチームのさらに2名を訓練。そして製造工場全体における訓練にも着手しはじめ、訓練を受けた工場の合計を18に引き上げる。各工場はその訓練を労働力全体にわたって広めることができるようになり、私たちはその年以降、何万人もの労働者が火災予防についての定期的かつ容易に理解可能な訓練を受けられるように計画する。

公正労働協会のメンバーと共に製造工場の賃金データの収集と分析の最善の方法を考案するための仕事に着手。ツールがリリースされ、FLAのブランド数社が現地における検証に利用できるようシェアされる。年間を通してこのツールはパタゴニアの製造工場10社で試験的に使われた。

同時にFLAは労働者が受け取っている賃金と生活賃金とみなされるものとのギャップを測定するために生活賃金ベンチマークの収集を開始。

秋にパタゴニアは「リジェネラティブ農業」という言葉が私たちにとって何を意味するのかについて決めるため、初の社内ホワイトペーパーを草稿。またカリフォルニア大学バークレー校のハース・スクール・オブ・ビジネスで開催された第2回年次のケースコンペティションを利用し、「パタゴニアはどうすればリジェネラティブ農業を気候変動への闘いのために促進できるのか」という疑問への回答を探る。

2017年:
パタゴニアの台湾のサプライヤーは外国人労働者の就労環境については大幅な改善を達成するものの、就職斡旋手数料を完全には撲滅できていなかった。この問題にきっぱりと終止符を打ち、2020年1月以降に雇用された労働者が斡旋手数料を一切支払わないことを保証するため、パタゴニアは翌28か月にわたってサプライヤーとパタゴニアが達成すべき鍵となる項目を概要した詳細な「2020年までに斡旋手数料を撲滅するためのロードマップ」を開発。

2017年、パタゴニアはさらに11の工場にて包括的火災予防訓練を実施し、訓練を受けた工場の合計を29、労働者の合計を1万3千人以上に引き上げた。

10社の製造工場からの賃金を収集する試験的取り組みを完成させ、パタゴニアのサプライチェーンで受け取った報酬を評価するために公正労働協会との取り組みをつづける。賃金データを集めることは膨大な困難を伴い、また収集したデータは現行賃金と生活賃金のギャップを埋めるためにどの工場と即座に取り組むべきかを判断するには不十分であることが判明する。

現行賃金と生活賃金のギャップを埋めるためにパタゴニアのどの製造工場が即刻の取り組みを要するかを理解するため、マサチューセッツ工科大学(MIT)のビジネススクールが提供するコースであるサステイナブル・ビジネス・ラボの学生に、大規模なサプライチェーン全体において賃金データを収集するより簡単な方法を発見し、能率的な収集モデルの開発をするよう依頼。

その結果はFLAとシェアされ、FLAは賃金データ収集ツールを改善するためにプラクティショナーズ・ワーキング・グループ(実践者ワーキンググループ)の設立を決定。パタゴニアはこのワーキンググループに参加し、年間を通して改善したツールをテストすることに同意。

2017年後半、FLAはパタゴニアを再認定し、その労働遵守プログラムについての報告書を出版。同報告書に言及されたパタゴニアの長所には、パタゴニア製品の工場における就労環境のみならず、サプライチェーンのより深い分野における就労環境向上のための上層幹部の献身、外国人労働者が直面する問題への対処や生活賃金の追求、労働者が職場においてより発言力を持てるようにするための市民社会との強い関与、さらに製品の調達場所およびその方法について資材調達、品質、環境および社会的責任の各チームに同等の決断力を与えるパタゴニアの協働的な4段階の審査アプローチが含まれた。

パタゴニアは中国、エルサルバドル、ベトナムへとフェアトレード・プログラムの拡大をつづけ、ウェットスーツとテクニカルウェアを含むスポーツウェア以外の製品への拡大の模索も継続した。

2017年、パタゴニアはリジェネラティブ農業により深く関与し、リジェネラティブ・オーガニック農業や動物福祉と社会公平性の高水準を含む農場レベルにおける包括的な認証プログラムを作成する可能性を探るために専門家のグループを結成。秋には鍵となるパートナーである〈ロデール・インスティチュート〉、〈ドクター・ブロナー〉、〈コンパッション・イン・ワールド・ファーミング〉、〈テキスタイル・エクスチェンジ〉、〈デメター・インターナショナル〉、〈フェア・ワールド・プロジェクト〉、〈グレイン・プレイス・フーズ〉および〈ホワイト・オーク・パスチャーズ〉と共に「リジェネラティブ・オーガニック・サーティフィケーション(ROC)」の枠組みをはじめて草稿し、意見を求めるために公開。ROCは放牧を基盤とする動物福祉、農家と労働者のための公平性、そして土壌の健康と土地管理のための強固な要件を含む包括的な農業認証である。同年の終わりまでに、〈リジェネラティブ・オーガニック・アライアンス〉と呼ばれる新たな非営利団体の形成のためにパートナー団体と協力。

2018年:
パタゴニアは公正労働協会とアメリカン・アパレル&フットウェア・アソシエーションによって書かれた、いかなる労働者もその仕事を得るために手数料を支払わないことを確実にする公の誓約であるレスポンシブル・リクルートメント(責任ある社員募集)誓約の署名企業となる。

2018年、さらに15の工場にて火災防止訓練を実施し、訓練を受けた工場の数を44に引き上げた。同年、これらの工場はさらに6万5千人の労働者を訓練し、パタゴニアの製造工場のサプライチェーンにて訓練を受けた労働者の数は8万人に上る。

同年初期にはFLAの改善された賃金データ収集ツールを10社の製造工場にてテスト。このテストは良好で、結果を分析した後、パタゴニアはプラクティショナーズ・ワーキンググループにてこのツールを最終版へ向けて調整。

新たに改善されたツールを製造工場にて展開する前に、サプライヤーのためにインタラクティブな訓練ウェビナーのスケジュールを作り、製造工場の100%がこれに参加。このウェビナーでパタゴニアのサプライヤーと生活賃金プログラムを正式にローンチし、生活賃金を定義し、生活賃金の重要性を示し、生活賃金達成のためのパタゴニアの戦略を伝え、次のステップおよびタイムラインを討議し、質問に答え、フィードバックを受ける。

パタゴニアのサプライヤーと同プログラムを正式にローンチした後、賃金データの収集を完了。このデータを手に、再びMITのサステイナブル・ビジネス・ラボにデータ分析を依頼。彼らはパタゴニアの製造工場から集めた詳細な賃金データとFLAが提供した生活賃金ベンチマークを組み込んだ素晴らしいツールを作成した。

MITのプロジェクトはまた地域の優先度を示すために労働者賃金を国レベルで比較すること、パタゴニアのビジネスの優先度を示すために工場ごとの賃金を生産率と比較すること、パタゴニアのパートナー工場が賃金向上のために何を優先すべきかを理解する手助けをすることを目的とした労働者の報酬の要素別の分類を含んだデータ分析のための新たな枠組みを提供した。

この分析は生活賃金をサプライヤーにおいて達成するためのパタゴニアの位置付けを示す最初の指標である。朗報はパタゴニアは思ったよりも前進しており、2018年度の環境的・社会的イニシアチブ本でパタゴニアの製造工場では平均で生活賃金の81%が支払われていることを示す初期分析の結果を公開した。

2018年、パタゴニアはミッション・ステートメントを「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」に変更し、私たちの焦点を気候変動を逆転させる方法としてのリジェネラティブ農業に倍賭けすることを含む解決策へと移行した。

2月にパタゴニアは持続可能な繊維に焦点を当てる非営利団体〈テキスタイル・エクスチェンジ〉のラリア・ペッパーを議長として初のリジェネラティブ・オーガニック・ファイバー・サミットを開催。本サミットは世界中からパタゴニアのオーガニックコットンの主要サプライヤー4社を集め、オーガニックコットン・セクターの成長を妨げる項目について討議し、コットン生産におけるリジェネラティブ・オーガニック慣行の可能性を探った。

3月、〈リジェネラティブ・オーガニック・アライアンス(ROA)〉は天然製品の最大のトレードショーであるエクスポ・ウエストにて正式にリジェネラティブ・オーガニック・サーティフィケーション(ROC)をローンチ。NSFインターナショナルがROC認証プログラムの管理機関に選ばれ、ROAと共同にてROCの枠組みを22のブランド、農家、牧場、葡萄園にてテストし、調整するための世界的な試験的プロジェクトに着手。この試験的試みの一部として、パタゴニアはリジェネラティブ慣行を150以上のインドのオーガニックコットンの小規模農家にてテストするために主要なオーガニックコットン・サプライヤー2社とのプロジェクトを開始した。

2019年:
2019年を通して外国人労働者を就職斡旋手数料の支払いから保護するための求人および雇用システムを構築する手助けをするため、パタゴニアは台湾の各サプライヤーと協働する。これはサプライチェーンにおける手数料を2020年までに撲滅するというパタゴニアの目標を支援するためのもので、2020年以降も労働者が職を得るために手数料を支払わない求人システムが存続するようにサプライヤーを継続して監視する。

この年、パタゴニアはさらに9社の工場にて火災予防訓練を実施し、訓練を受けた工場の数を54に引き上げた。これらの工場はさらに7万人の労働者を訓練し、パタゴニアのサプライチェーンの製造工場にてこの訓練を受けた労働者の数は15万人へと拡張した。

またパタゴニアから訓練を受けた最初の工場のうち、中国の4社における労働者にこの訓練プログラムの成果を数値にて確認するためのアンケート調査を実施するという新たなアプローチを試みた。その結果は朗報で、5,884の労働者がこの調査に参加し、98%が火災予防への知識が向上したことを報告し、99%が職場での火災予防文化が改善されたこと、97%が火災安全の危険性を率先して報告することに自信を感じ、同様に職場が安全でないと認識した際には処罰なく仕事を拒否できると感じていると報告された。

パタゴニアは全般的にアンケート調査がサプライチェーンの製造工場の火災予防訓練が及ぼす労働者への影響を測定する効果的な手段であると感じ、今後もこれを継続したいと考えている。このアンケート調査結果は、職場の健康と安全について労働者との関係性を高めるツールとして、公正労働協会の火災予防イニシアチブが職場での火災予防文化への労働者の関心と自信をいかに向上させたかを示している。

2019年、パタゴニアはサプライチェーンにおける製造工場での生活賃金の分析をアップデートし、サプライヤーが平均で生活賃金の88%を支払っていることを報告した。この分析は有益だが、パタゴニアは一般のコミュニティとの関係も向上させたいと願い、その達成のために最も効果的な方法を探るために、再びMITのサステイナブル・ビジネス・ラボを起用した。彼らはまず顧客がその購買力を善のために最大限に活用することに焦点を当て、次に業界の同業者が協調して動き出せるようにパタゴニアが学んだことをシェアすべきであると結論付けた。これはパタゴニアが2020年に公開を目指す企画の一助となる。

さらに同年、パタゴニアは工場の競合性を損なわずに労働者の賃金を引き上げるために、いかにして衣類組立サプライヤーと取り組むかについての試験的計画に着手した。毎年1〜2の試験的プログラムをローンチし、その結果は同じ目標に向けて共同で取り組む参加ブランドに有益なフォーラムを提供し、FLAと共に共有される。

2019年、パタゴニアはフェアトレードUSAとのパートナーシップの5周年を記念。そのお祝いの一環として、ウエスト・エルムやクローガーなどの他のフェアトレード・ブランドと共にニューヨーク市でフェアトレードのポップアップ店をローンチした。パタゴニアは9か国のフェアトレード認証工場と取引し、6万6千人以上の労働者に影響を与えている。2019年の春夏および秋冬シーズンのパタゴニアの製品のおよそ70%がフェアトレード認証を受けた工場で製造されている。これは2014年にインドの工場1社、10製品から着手して以来、巨大な前進である。

2019年、インドのパタゴニアのオーガニックコットンのパートナーはROCの試験的プログラムの拡張をつづけ、150以上の農家から550以上へと広がっている。これらの農家はリジェネラティブ・オーガニック慣行の土壌への恩恵を確認しはじめ、試験プログラムの期間中、ROCの枠組みに関するフィードバックを提供するためにROAと協力している。

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