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生活賃金

生活賃金とは、労働者とその家族のために適切な生活水準を保つのに十分な報酬を意味します。それが賄うべきものは食物、水、住居、教育、ヘルスケア、交通費、衣類、そして非常時に備える蓄えを考慮に入れた、その他の日々の必需品を含みます。

なぜ

衣料品業界の工場労働者のほとんどは生活賃金を受けず、その基本的なニーズを満たすために妥協を余儀なくされています。パタゴニアは私たちの提携工場において労働者が地元の労働法を遵守する最低賃金、残業手当、法定待遇を確実に受けられるよう努力してきましたが、そうした賃金は適切な生活水準を満たすのに十分ではないことも知っています。

生活賃金:基本的人権

国連とその国際労働機関(ILO)は、生活賃金は基本的人権であると宣言しました。

生活賃金について広範にわたる調査を実施し、他のブランドやNGOや生活賃金関連組織と論議を重ねた結果、パタゴニアは〈グローバル・リビング・ウェイジ・コーリション(GLWC)〉の生活賃金の定義を支援します:
ある特定の場所における標準的な週間労働に対し、労働者とその家族のために適切な生活水準を保つのに十分な、労働者が受けるべき報酬。適切な生活水準の要素には食品、水、住居、教育、ヘルスケア、交通費、衣類、そして非常時に備える蓄えを考慮に入れた、その他の日々の必需品を含む。

歴史的には賃金および異なる地域にまたがる生活費のデータはほとんど存在していませんでした。2017年のアンカー・メソドロジーのローンチは、生活賃金の見積もりとある特定地域内の典型的な家族の生活費を考慮した、異なる国々にわたるその比較を可能としました。パタゴニアは、労働者とその家族が暮らす場所に特化した基本的ながらも適切な生活様式のコストを見積もるために、地元の人びとや組織と取り組むアンカー・メソドロジーを支持します。これは確固とした信頼のおける生活賃金ベンチマークの見積もりへとつながる透明性と詳細な研究を要します。この方法の創始者に名を連ねる〈GLWC〉はすでに20か国以上における生活賃金ベンチマークを完了し、今後さらに多くの国々を加えていきます。この生活賃金ベンチマークはオープンソースで誰でも利用できます。

このベンチマークはパタゴニアが開発に助力した、公正労働協会(FLA)の報酬/生活賃金ダッシュボードにも含まれています。FLAのダッシュボードはアンカー・メソドロジーと一貫しており、アパレル/フットウェア企業によって世界中の何百もの工場から収集された賃金に関するデータを含みます。このダッシュボードは特定の工場における生活賃金と既存の賃金の違いを探しやすくするため、私たちはその差をなくすためにより効果的に取り組むことができます。

現在の取り組み

パタゴニアは労働者のひとりひとりに生活賃金の権利があると信じています。公正労働協会(FLA)の創設メンバーである私たちは、その生活賃金の基準要項をパタゴニアの行動規範に組み込み、提携工場での賃金改善を目指す方法を開発しました。

2021年現在、パタゴニアのアパレル製造工場の30%(30社のうち10社)が平均的に労働者に生活賃金を支払っています。

パンデミックの危機的段階から脱しつつある現在も、私たちは賃金へのその影響を監視し、責任ある購買慣行を強化させつづけます。

私たちはまた、予期せぬ経済的あるいは気候的ショックに直面するサプライヤーとアパレル労働者を助けるための異なる方法についても探究をつづけています。労働者のための生活賃金はこの取り組みの基本的要素です。

次なる展開

パタゴニアは引きつづきサプライヤーから賃金に関する年次データを収集し、2025年までに私たちのアパレル製造工場で生活賃金を達成するという目標への進捗を監視していきます。私たちはまた、労働者にとって意義のある賃金向上を目指し、サプライチェーンのいたるところで革新的なアプローチを試しています。

生活賃金の達成は、ひとりではできないということも知っている私たちには、他のプランドや団体との協働と、世界的なサプライチェーンを通して賃金の差をなくすための業界レベルのイニシアチブが必要です。私たちは 公正労働協会(FLA)と緊密に協力し、この分野における彼らの取り組みを支援しながら、生活賃金に関するFLAの活動に他のブランドも関与するよう奨励しています。

企業の皆様へ:
企業は労働者の賃金を引き上げることにおいて重要な役割を果たします。あなたの会社のサプライチェーンとビジネス慣行を検証することからはじめ、生活賃金について専門家との対話を持ちます。生活賃金の達成は多数の工場と取引する企業にとっては困難なことですが、ブランドの協働がその変化のためのきっかけとなります。以下はそれに着手する際のヒントです:

  • 公正な労働慣行を促進し、維持するために工場と取り組むことについての私たちの理念と、企業の責任とパタゴニアの歩みをお読みください。これらすべてのアプローチはパタゴニアが生活賃金戦略を実施する上で、私たちのいる場所にたどり着くのに役に立っています。
  • - 生活賃金を見積もるアンカー・メソドロジーについて学んでください。
  • 賃金向上に取り組む専門家と機関を探してください。
  • 公正労働協会(FLA)にご参加ください。FLAの公正賃金戦略は生活賃金達成へのロードマップを提供し、その生活賃金ダッシュボードは自社のプログラムを開発する際に世界的な賃金のデータを分析するための素晴らしいツールです。
  • お客様へ:
    皆様には衣類の製造方法を変える力があります。

    情報に長けたお客様はその購買力によって生活賃金に向けて取り組むブランドを支持することができます。お気に入りのブランドが生活賃金を達成するためにどのように取り組んでいるのかについて質問しましょう。より良い慣行を求めましょう――皆様が買うものが業界をつくります。

    生活賃金へ向けた私たちの取り組み
    パタゴニアの生活賃金のための戦略は以下の4つの原則に基づいています:

    • 私たちは、工場と直接協力して、生活賃金を達成と維持に向けた多面的なアプローチを模索し、試験的に取り組むことを信条とします。
    • 他社、サプライヤー、労働者、NGO、労働組合、専門家、教育機関および顧客と協力して、私たちはこれらの目標を達成するために取り組みます。
    • 私たちはサプライヤーが事業変動時にも生活賃金を支払いやすいように、持続可能な生活賃金戦略を実施したいと考えています。
    • 私たちは、何がうまくいったのか、何がうまくいかなかったのかなど、自らの教訓を共有し、解決策を展開できるようにしたいと考えています。私たちは、業界の会議やミーティングに参加したり、他のブランドやNGOとの1対1で通話をしたりすることで、このような活動を促進しています。
    • 第1段階:ローンチ
      2010年〜2011年:公正労働協会の会員ブランドが生活賃金へ向けて取り組むことを要求するサプライヤーの職場行動規範の内容の開発に、パタゴニアの社会的/環境的責任(SER)チームが協力。

      2013年:パタゴニアは生活賃金へ向けた旅の第一歩であるフェアトレードUSAとのパートナーシップに着手。また、生活賃金要素を含んだサプライヤーの職場行動規範の改訂版を出版。

      2014年:パタゴニアは複数の利害関係者によるFLAのアパレル/フットウェア製造工場における生活賃金達成方法のビジョンであるフェア・コンペンセーション・ワークプラン創作に一役買う。ワークプラン施行に先立ち、FLAを支援し、サプライチェーンにて生活賃金を達成するための会社の軌道解明を使命とする複数の部門にまたがるパタゴニア社内の公正賃金タスクフォースを設立。

      第2段階:実績評価
      2015年:FLAがフェア・コンペンセーション・ワークプランを出版。パタゴニアはそれを、2025年までにアパレル製造工場で生活賃金を達成するという社内目標の基礎として利用。

      2016年:私たちはアパレル製造工場のための賃金データを収集・分析する最善の方法を構築するためにFLA会員との仕事に着手し、パタゴニアのアパレル製造工場10社にて賃金データを集めるツールをテスト。

      2017年:パタゴニアのアパレル製造工場10社にて賃金データを集めるツールのテストを完了することによりFLAとの取り組みを継続。現行賃金と生活賃金のギャップを狭めるためにパタゴニアのどのアパレル製造工場が即座の取り組みを必要としているかを見極めるため、私たちは大規模サプライチェーン全般にわたる賃金データを収集しやすい方法を見つけるため、マサチューセッツ工科大学(MIT)の持続可能なビジネスラボの学生に援助を要請。学生はこのデータ収集の合理的なモデルを開発。

      2018年:この年のはじめ、私たちはFLAの改善された賃金データ収集ツールを10社のアパレル製造工場にて試験的に導入。この試みは良好で、すべてのサプライヤーにてこのツールを導入する前段階として、パタゴニアのすべてのアパレル製造工場のためにインタラクティブなトレーニングのためのウェビナーを実施。本ウェビナーでパタゴニアの生活賃金プログラムを正式にローンチし、私たちの目標を発表し、生活賃金を定義づけ、生活賃金の大切さを示し、生活賃金達成のための私たちの戦略を伝え、次の段階とそのタイムラインについて討議し、質問に答え、フィードバックを受けた。サプライヤーとの正式なプログラムのローンチの後、賃金データの収集を完了。このデータを手に私たちはMITの持続可能ビジネスラボに分析の支援を依頼。

      2019年:私たちはアパレル製造工場サプライチェーンの生活賃金の分析を改定。私たちのレポートは当時35%、または31社のアパレル製造工場のうち11社において平均で生活賃金を支払っていることを示した。このデータは新型コロナウイルス感染拡大以前に収集されたもので、これらの労働者および工場における経済的現実は現在大きく異なる。

      2020年:私たちはアパレル製造工場サプライチェーンの生活賃金の分析を改定。私たちは2020年当時39%、または31社のアパレル製造工場のうち12社において平均で生活賃金を支払っていることを公表。

      2021年:私たちはアパレル製造工場サプライチェーン全体において賃金の年次分析を継続。2021年当時には、30社のアパレル製造工場のうち10社において平均で生活賃金を支払っており、これは2020年と比較すると、パンデミック前に生活賃金を支払っていたほぼすべての工場が2021年にもそれを継続していたことを意味する。パンデミックの経済的影響を考慮に入れても、私たちのパートナーであるサプライヤーが最も困難な期間を経て現在も守りつづける誓約は賞賛に値する。総体的には、これら30社の工場における賃金に関する年次分析は、世界中の工場で5万人以上の労働者に支払われた賃金への洞察を私たちにもたらすものである。

      2022年:2022年の賃金に関する私たちの年次分析は現在進行中。このデータの準備が整った際にはそれを公表し、パンデミックから残存する影響とその他の経済的な弊害を綿密に追跡していく予定。

      第3段階:学習、計画、変革
      2021年:パタゴニアはこれらの工場の競合性を損なうことなく労働者の賃金を向上させるために、私たちのアパレル製造サプライヤーとともに試験的な方法の計画に着手。私たちの計画は毎年1〜2の試験の導入し、参加ブランドとサプライヤーが共通の目標に向けて協力するための有益なフォーラムを構築するために、その結果をFLAと共有することだった。しかし2020年に新型コロナウイルスの感染拡大がはじまり、パタゴニアおよびサプライヤーのビジネスへの顕著な経済的影響と感染を拡大させるリスクにともなって、現地での取り組みに関与することが困難となったことからこの試験を進めることができないでいた。そこでパタゴニアはサプライヤーの状況を再評価し、最大の影響を及ぼすために私たちの仕事を適合させた。

      2022年以降:2022年に私たちは2つの試験を開始(1つは完全に遠隔、もう1つは遠隔と現場の両要素を含む)。これらの試験は特定のサプライヤーにおける賃金支払いのシステムを探究し、性別面での賃金差の可能性についても調査するもの。こうした試験から私たちは今後の取り組みを前進させるための情報を得て、生活賃金の差をなくすための方法を探ることを継続。

      上記のような試験に加え、パタゴニアは私たちの業界の他企業だけでなく他の業界にも提供できる、生活賃金のための取り組みに投資をつづけます。2021年に私たちはFLAと協働でエルサルバドル、コロンビア、タイにおける3つの生活賃金ベンチマーク調査のための資金提供を行いました。これらの見積もりはアンカー・リサーチ・インスティテュートのアンカー・メソドロジーを利用して作られており、完了時にはGLWCのウェブサイトで無料公開を予定しています。これは生活賃金のための取り組みを前進させるために世界中の利害関係者が利用できる、データの質を向上させるという重要な仕事です。パタゴニアは、世界中で生活賃金ベンチマークの調査を追加および更新していくアンカー・リサーチ・インスティテュートによるこの重要な仕事を、支援しつづけることを楽しみにしています。

生活賃金
よく使われる検索語