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2025年までにカーボンニュートラルになる

ロドリゴ・ブスタマンテ  /  読み終えるまで9分  /  アクティビズム, フットプリント

パタゴニアは2025年までにカーボンニュートラルになるという目標を設定した。これを達成するため、自然が意図する方法で食物や繊維を栽培するなど、私たちはさまざまな手段を試している。インドの環境再生型有機農業のコットン畑。Photo : Hashim Badani

日本では、耕作地の上と太陽電池アレイの下に同時に立つことができる。エンジニアと起業家が既存の耕作地の上にソーラーパネルを設置し、必要量の太陽光が下の作物に届くようにするモデルを開発した。企業と農家の協業であるソーラー・シェアリング(別称「営農型太陽光発電」)と呼ばれる事業は日本各地に広がりつつある。初の稼働中のソーラー・シェアリング・アレイのひとつを訪問後、パタゴニア日本支社は千葉県で50キロワットのプロジェクトに出資することにした。一宮のパタゴニア サーフ千葉から1時間ほど離れた場所だ。この試験的プログラムの成功により、パタゴニア日本支社はソーラー・シェアリングへの投資を拡大することとなり、総計600キロワット以上となる、さらに2件のプロジェクトが承認された。

「日本は平坦な地形や広い空間自体があまり多くない、小さな国です」とパタゴニア日本支社の環境・社会部門ディレクターの佐藤潤一は語る。「私たちは再生可能エネルギーの生産容量を増やす運動を展開してきましたが、太陽エネルギーの開発者と投資家は、森林皆伐によって山上に太陽電池パネルを設置してきました。」ソーラー・シェアリングを通じて、パタゴニア日本支部は直営店で発生する炭素排出量の大部分を埋め合わせ、大規模開発により失われる土地の量を減らし、農家が自分の所有地で生産した再生可能エネルギーを販売することで補助収入を得られるようにしている。

少数の直営店に再生可能エネルギーを供給するためのこの努力は、明白な問題――衣料品業界が排出する二酸化炭素量は国際航空便と海運の総排出量を超え、全世界の排出量の1割を占める――というとてつもない問題に対処しようとするパタゴニアのさらに大きな取り組みの一環だ。衣料品業界全体は何らかの形で気候危機の一因となっているのだ。ほとんどの衣料は石炭とガスによるエネルギーに大きく依存する工場で製造されている。ポリエステルなどの化繊繊維はとくに炭素集約度が高いが、ヘンプや綿などの天然繊維から作られた衣料でさえ土壌の栄養分を剥ぎ取り、地中に封じ込められた炭素を大気中に放出し、地球の温暖化をさらに進めている。これまでどおりに事業がつづけば、衣料品業界では2050年までに、消費者の需要に対応するために3倍の資源が必要になると予想されている。将来も地球に人間が住みつづけるためには、衣料品業界が変わらなければならない。

2025年までにカーボンニュートラルになる

ネットゼロを達成するには、千葉県にあるこのプロジェクトに投資するなど、排出量を穴埋めしなければならない。ソーラー・シェアリングでは、農家は作物を栽培すると同時に太陽エネルギーを活用することができる。写真:パタゴニア日本支社

パタゴニアでは、炭素排出源の約95%がサプライチェーンによってもたらされる。サプライチェーンという用語は、作物栽培や紡糸から、完成した衣料を倉庫、店舗、顧客の自宅に届けるまでの全工程を説明するための語だ。パタゴニアは人と地球への影響を削減するため、2025年までにサプライチェーンを含む事業全体でカーボンニュートラルを達成するために取り組んでいる。

再生可能エネルギーへの切り替え
中間段階として、パタゴニアは2020年末までに、世界的に所有・運営している場所で使用する電力の100%を再生可能エネルギーから調達することを計画している。ベンチュラのパタゴニア本社とリノの流通センターはすでに太陽電池アレイを備え、さらに4基のアレイを設置中だ。そのうち最大のものは流通センターの1メガワット・アレイで、同施設での電力使用の約80%をカバーする。国内使用の残り分に対処するため、社内の投資基金であるティンシェッド・ベンチャーズは、米国全土で1,500基を超える住宅用ソーラー・プロジェクトに投資した。これによりパタゴニアは米国での電力消費量を相殺するために利用できる再生可能エネルギー証書(REC)を得た。
「カーボンニュートラルについて検討するとき、投資は目標達成のための鍵となると思います」とパタゴニアの企業開発ディレクター、フィル・グレイブスは語る。「私たちは資金投資がなければ実現しないようなプロジェクトを探しています。そのようなプロジェクトを見つけ、それに投資できれば、さらに多くの太陽光を送電網に送ることができます」

2025年までにカーボンニュートラルになる

リノの配送センターの屋根に設置されている太陽電池アレイ。これらの太陽電池パネルは、やがて同施設のエネルギー需要の80%を供給することになる。Photo : Ryan Inskip

アムステルダムにある地域事業所では、その建物の他のテナントと協力して、建物に風力発電を100%利用するよう家主を説得し、近くの田舎の農場における太陽光発電プロジェクトへの投資も検討している。オーストラリアでは、パタゴニアのオフィスと直営店の1つにソーラーパネルを設置し、パタゴニア・オーストラリア支社のエネルギー需要の25%をまかなっている。さらに同国での残りの電力フットプリントを補うため、安定した電力を利用できないメルボルン北部の地域にソーラーパネルを設置することを検討している。そしてパタゴニア日本支社が実施しているソーラー・シェアリングの取り組みもある。

「私たちは、私たちが所有・運営するフットプリントを残している各国で、同様のモデルを使用するよう努めています」とパタゴニアの環境責任担当シニア・マネージャー、ポール・ヘンドリックスは言う。まだ再生可能資源に切り替えることができない場所では、現場外の再生可能資源プロジェクト、とくに現地社会にさらなる利益をもたらすものに投資することで、電力フットプリントを相殺することが可能だ。

サプライチェーンへの対応
店舗やオフィスを再生可能エネルギーに切り替えるのは簡単だが、排出量を本当に制限するには、サプライチェーンの圧倒的な影響を軽減する必要がある。パタゴニアの総炭素排出量のほぼ86%は製品に使用される衣類の製造に起因している。「2025年までにカーボンニュートラルになるためには、これらの排出量を削減・排除する必要があり、それには複数の戦略を要する。」

低排出染色技術やバイオ素材や生分解性材料の開発と同様に、リサイクルされた再生可能な原料への切り替えが解決策の大きな要因だ。これまで、パタゴニアの最高の製品の多くに高品質のポリエステルとナイロンを使用してきたが、そのリサイクルについて大きな進歩を遂げた。1993年、パタゴニアはゴミをフリースに変換した初のアウトドア衣類メーカーだった。そしてこの秋には、パタゴニア製品で使用される全原料の69%がリサイクル原料となる。今シーズンの製品に使用するリサイクル素材だけでも二酸化炭素フットプリントを2万トンも削減することになる。それは1年間、車4,200台が道路を走らなくなるのと同じレベルだ。

2025年までにカーボンニュートラルになる

衣料品業界は世界の二酸化炭素排出量の1割を占め、気候危機の一因を担う。パタゴニアはその影響を減らすことをはっきりと表明しており、その大きな部分は、サプライチェーン全体のパートナーとともに再生可能エネルギー源への切り替えについて取り組むことだ。中国、杭州にある製造工場から立ち上がる煙。Photo : Xia Yuan/Getty Images

しかし、素材を変えても排出量がネットゼロになることはあり得ない。そこでパタゴニアの環境責任チームは、サプライチェーン全体で提携するサプライヤーが業務で使用するエネルギー量を削減するための長期目標に取り組んでいる。そのための戦略は、よりエネルギー効率の高い機械の設置から事業における再生可能エネルギーの使用まで広範囲におよぶ。こうした手段により、工場から出荷される製品の二酸化炭素フットプリントを確実に軽減することができる。サプライヤー数、そして国ごとに再生可能エネルギーの政策が異なることを考えると、これは巨大な課題だ。それでもなお、私たちはサプライヤーと緊密に連携し、これらの変化に資金を供給する革新的な方法を考案してこれを成し遂げることに、真剣に取り組んでいる。

このような取り組みを越えて、パタゴニアは炭素隔離プロジェクトに投資している。私たちはこれが最終的に気候危機の逆転に役立つことを確信している。とくに環境再生型有機農業と再植林を介して大気中の炭素を捕らえ、大規模破壊を起こすことができない土壌の深部に蓄える取り組みを広めようとしている。

だが最終的な目標は、パタゴニアの総炭素排出量を外部投資や炭素隔離イニシアチブによって相殺することではない。「パタゴニアがカーボンニュートラルを2025年までに達成するという目標は、どちらかというとカーボンニュートラルへの旅の出発点だと考えます」とヘンドリックスは言う。「最終的には、排出量をオフセットするという方法への依存を減らし、いずれは総排出量自体をゼロにすることを望んでいます」

2025年までにカーボンニュートラルになる

ネットゼロを達成するという目標は最初の一歩に過ぎず、最終的には排出量をオフセットするという方法への依存を減らし、いずれは総排出量自体をゼロにすることを望んでいる。これを実現するには、ビジネスや顧客に、この運動に参加してもらうことが必要となる。ニューヨーク市で小包を運搬する労働者。Photo : Christopher Lee/Getty Images

単独では不可能
真の変化をもたらすには、しかしながら、顧客や他の企業もこの運動に参加してもらう必要がある。ナイキ社の360億ドルもの大事業と比較すれば、パタゴニアはまだ比較的小さな企業だ。人間や地球への影響を減らすにはより多くのブランド、とくに有名な主要ブランドの取り組みが必要だ。そしてそれらの顧客が、そうした主要ブランドに対して取り組みを強化するよう、求めなければならない。

「気候危機は真正面に立ちはだかっています。これについて何かしなければなりません」とヘンドリックスは言う。「これまで長いあいだ、企業は持続可能性に向けて段階的な措置しか講じてきませんでした。この船を方向転換させる期間は11年です。パタゴニアは、全力投球する必要があることを確信しました。小さな目標をいくつか設定するのではなく、目標達成のために全力で進むことが必要です」

気候変動に対するパタゴニアの取り組み、および2025年までにカーボンニュートラルになるという目標については、こちらでさらに詳しくお読みください。

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