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パタゴニア  /  2024年1月23日  /  読み終えるまで12分  /  コミュニティ

パタゴニアの企業理念ディレクターであり『レスポンシブル・カンパニーの未来:パタゴニアがこの50年で学んだこと』の共著者、ヴィンセント・スタンリーとの対話

1974年頃にパタゴニアの初の店舗「グレート・パシフィック・アイアン・ワークス」で撮影された、パタゴニア創業者のイヴォン・シュイナードと当時の営業部長ヴィンセント・スタンリー。カリフォルニア州ベンチュラ Photo : Gary Regester

2012年、私たちはイヴォン・シュイナードとヴィンセント・スタンリーによる、パタゴニアの回顧録であり、自然界に対してより良い行動をとるための企業向けガイドブック『レスポンシブル・カンパニー』を出版しました。そして、パタゴニアが他とは異なるビジネスを展開して50年を迎えたいま、同書の第2版を出版します。ヴィンセントが語るように、パタゴニアは多くのことを学んだからです。気候危機が加速するなか、環境と社会への影響を必須とする基盤の必要性は、かつてないほど重要です。

パタゴニアではさまざまな仕事をされてきましたが、どのような役割を担ってきたのか教えてください。
私は20歳で、請求書のタイピスト、簿記係、梱包係として働きはじめました。サーファーではなかったので、波がいいときは、私だけがオフィスに残って電話に出たり、取扱店からの注文を受けたりしていました。入社して2か月ほど経ったころ、イヴォンが私の肩をたたいて、「今日から営業部長だ」と言いました。「それってどういう仕事?」と尋ねると、イヴォンは肩をすくめて、「やってるうちにわかるさ」と言いました。その年、パタゴニアはシュイナード・イクイップメントの兄弟分としてスタートしました。

それから約20年間、卸売り担当を2回ほどやりました。でも天職はライターなので、40歳を過ぎたあたりから、そろそろ本腰を入れなければと思い、役を退きました。そのほか、初代の環境担当者の採用活動を指揮し、長年製品コピーを書き、編集部をまとめ、マーケティングに携わったこともありました。この9年間は、企業理念ディレクターを務めています。社員を少人数のグループに分けて、会社の歴史や価値観、そしてそれが日々の業務のなかでどのように活かされているのかについて話します。理念というのは面白い言葉ですよね。本物の神学者である友人に、「『企業理念ディレクター』という肩書なんだけど、自分がその役職を名乗る資格があるかどうか疑わしいんだ」と尋ねたことがあります。彼には「いや、大丈夫。僕だってイェール大学の経営・環境センターのレジデントフェローで、その他の学校では客員教授として大学院生にデザインと環境科学とビジネスを教えているからね。それにBコープ運動を支援し、自分の価値観に沿ったビジネスを展開したいと考える人たちと話をしたりもしているんだから」と言われてしまいました。

現在の役割は、『レスポンシブル・カンパニー』の第2版の共著者ですね。なぜ第2版を書こうと思ったのですか。
『レスポンシブル・カンパニー』が世に出てからの10年間、私たちは環境的および社会的慣行を改善する方法について、より多くを学びました。地球の健康を回復させるために何が必要なのか、というより明確な展望があります。そしていまこそ、それについてパタゴニアの顧客である方々や同じ価値観をもつ他企業と対話するときだと思ったのです。

パタゴニアは、活動家を支援する企業から、活動家の企業へと進化しました。そして、たんに環境への悪影響を削減するだけでなく、パタゴニアプロビジョンズやリジェネラティブ・オーガニック農業を通じて、自然から得たものと同じだけ自然に還元できることを私たちは発見しました。パタゴニアの新しい存在意義と所有形態はそれを反映したもので、この50年にわたる予想外の発見と目的意識をもった行動の集大成だと言えます。

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ウェアの前に、クライミング用ギアがあった。1965年にシュイナード・イクイップメントが創業してまもなく、ピトンは同社のベストセラー製品となった。しかしそのピトンが取りかえしのつかないほど岩を変貌させているとわかったイヴォンとビジネスパートナーのトム・フロストは、岩を傷つけることなく容易に回収可能なアルミニウム製チョックへの切り替えに踏み切った。Photo : Gary Regester

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パタゴニアの研究開発施設「ザ・フォージ」での、あるスキー用ジャケットの製作のはじまり。カリフォルニア州ベンチュラ Photo : Tim Davis

本書のなかで、「パタゴニアの歴史において、自分たちが知らず知らずのうちに可能性の概念を変えてしまったいくつかの決定的な瞬間」について語られていますが、具体的にはどのようなことがあったのか、いくつか例を挙げていただけますか。
シュイナード・イクイップメントが、みずから発明したピトンが岩を傷つけているとわかり、ピトンの代わりにチョックを導入したとき、彼らはこれほど早く、しかもこれほど多くのクライマーが、この変化を受け入れるとは思ってもみませんでした。

ベンチュラ・リバーを死んだものとしてコンクリート詰めにするべきだと役人が主張する市議会の集会に出席したとき、それに反して川をなんとか生きかえらせるべきだと主張した生物学専攻の若い学生の姿に、私たちは心を動かされました。

私たちはこの青年に電話とデスクと郵便受けを与えました。それがきっかけで、パタゴニアは草の根環境保護団体に毎年売上の1パーセントを寄付することになりました。

従来のコットン栽培がいかに有害であるかに気づいたとき、オーガニックコットンに切り替えました。それがサプライチェーンを再開発し、再構築することになるとは思いませんでした。

ブラックフライデーに「このジャケットを買わないで」という新聞広告を掲載したとき、私たちは一年で最大の書き入れ時を台無しにするのではないかと懸念もしました。しかしこの広告は「組織的運動」として捉えられ、より責任あるデザイン、製造、消費を呼びかける広告が、これほど強く響くとは思いませんでした。

パタゴニアは2012年にフェアトレードUSAとの協働をはじめました。パタゴニア社内や他のアパレル企業で、それ以来、どのような成長が見られましたか。
まずは10製品をフェアトレード・サーティファイドの工場で製造しました。いまではほぼすべての製品がこれらの工場で作られています。フェアトレード・サーティファイドの工場で働く従業員には、ブランドから第三者預託を通じて賞与が支払われます。お金の配分方法は選任された委員会が決定します。たとえば、現金で支払うことも、従業員の通勤が楽になるよう自転車で渡すこともあるといった具合にです。この成功を見て、他企業もあとにつづいてくれています。

2007年は、フットプリントの立ち上げに携わりましたね。パタゴニアが使用する素材やパタゴニア製品を製造する労働者を含む、サプライチェーンの調査について報告したものです。これはパタゴニアが恐れていたことを発見することにもなりましたが、そのような事実を公表するのは困難でしたか。
サプライヤーを遠ざけてしまうことを懸念しました。それで、たとえばビジネスパートナーの廃水処理の問題や、過熱した工場の床の問題などについて書くと疎まれる心配があるため、掲載前に直接話をしました。話し合いは決して容易ではありませんでした。でもその結果、本格的な問題の緩和や改善につながることもありました。私がとくに驚いたのは、パタゴニア社内の反響でした。私たちが学んだことを全社員と共有することで、パタゴニアの衣類がどのように作られ、どのような課題があるのか、組織全体の洞察力が高まりました。

仕事をより面白くするためにしてきた挑戦は何ですか。
私が興味を惹かれるのは、パタゴニアがどのようにしてより大きな課題に取り組み、それに対処する能力を高めてきたかということです。これはデザインや製造だけでなく、パタゴニアのすべての業務に当てはまります。たとえばネバダ州リノの配送サービスセンターが手狭になったとき、業務と財務の同僚たちがテネシー州からペンシルベニア州まで車を走らせながら、第二の配送センターの建設場所を探しました。同乗した不動産業者は、27,870平方メートルの倉庫を設置するには未開の農地や林地が最適だと言いました。しかし「それはできない」と断りつづけた我が社員たちは、最終的にはペンシルベニア州ウィルクス・バリの非営利団体とパートナーを組み、かつての炭鉱の埋立地に東海岸配送センターを建てることになりました。

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少なくとも3人の持ち主にこよなく愛されて、アルゼンチンでは複数の伝説的なクライミングにも耐えたナノ・パフ・プルオーバーが、その功績に値するパッチの勲章を受けたビフォーアフターの姿。Photo : Tim Davis

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製造段階で回収された端切れから、パタゴニア製品に使用するリサイクル・コットンの糸を製造する、私たちのサプライチェーンのパートナー。メキシコ、メリダ Photo : Keri Oberly

炭素排出に着目することは重要ですが、そのために目をそらさなければならない問題が多すぎないでしょうか。脱炭素化は、実際のところ企業の行いを一掃するための良策なのでしょうか、それとも注意をそらす煙幕なのでしょうか。
煙幕ではありませんが、脱炭素化は解決策のほんの一部で、オフセットはさらに些細なものでしかありません。たとえ経済が脱炭素化されても、私たちが水不足や生息地の喪失、種の絶滅に取り組まなければ、私たちは地球を失うことになります。私たちは、より効率的に資源を利用し、ある企業の無駄が別の企業の原料になるような、地域循環型の経済を構築する必要があります。どんなに豊かな世界でも、十分ということは決してありません。私たちは、より健全な方法でニーズを満たす必要があります。電気自動車は素晴らしいものですが、地元を自転車や徒歩で移動できるようになれば、もっと理想的です。

私たちは自然の一部であり、一市民であり、アルド・レオポルドの言葉を借りれば「生物共同体の一員」です。私たちは「環境」というもののなかで生きているのではありません。私たちは故郷である地球に住んでいるのです。もっと細かく言えば、頭上10キロメートル、海面下10キロメートル足らずしかない生命圏で、他の種とともに生存しているのです。限界があるからこそ、その美しさが際立つのです。

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パタゴニアの社内託児所「グレート・パシフィック・チャイルド・ディベロップメント・センター」に通う息子のフィンとともに出勤する、マーケティング・オペレーション・マネージャーのカイル・オルソン。カリフォルニア州ベンチュラ Photo : Tim Davis

最近の環境に関する勝利は、パタゴニア製品がおよぼす環境負荷の低減に役立っていますか。
私たちが長いあいだ取り組んできた2つの重要な領域で、大きな進展がありました。1つは、「永遠の化学物質」を耐久性撥水加工から、ウェアの機能性をほぼ失うことなく取り除いたことです。ゴアテックスブランドが10年をかけて研究とテストを行い、PFCに依存せずに、アウターウェア用として効力を発する初の防水性/透湿性メンブレンが実現しました。これは重要なことです。もう1つは、私たちが長年にわたり取り組んできた、化繊のマイクロファイバーの問題です。マイクロファイバーは洗濯中に抜け落ちて、自治体の汚水処理施設のフィルターをすり抜けて海に流出し、鳥や海洋生物に摂取されてしまうのです。サムスン社は、抜け落ちた繊維を逃さず捕らえて処理する洗濯機の開発に挑戦し、急速に向上するその技術には競合他社も追随しています。同時に、私たちはマイクロファイバーの影響を削減するための、より良い素材の技術と構造の探究をつづけます。

パンデミック後、ビジネスの役割はどのように変化したのでしょうか
つねに革新を追求する性質であるパタゴニアは、効率や利益に焦点を絞った企業よりも、より柔軟な回復力を備えています。しかし、革新を生み出す企業文化は、心地よいコミュニケーションや仲間意識が頼りです。昼休みに一緒にバイクライディングに行ったり、終業後に託児所へ子どもを迎えに行ったり、水曜の夜にパイン・マウンテンでキャンプをしたり。パンデミックのあいだ、私たちはそうした私たちの文化に非常に大切な部分を控えていたので、いまはその回復に取り組んでいるところです。

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漁網のリサイクル企業〈ブレオ〉のために網を分類する、「カコ」ことクリストファー・クレモとジャクリーン・サングエサ。廃棄されて海を汚しかねなかったこのような網はネットプラス素材にリサイクルされ、ウェアなどの製品に使用される。チリ、サン・ヴィセンテ Photo : Jürgen Westermeyer

パンデミック以降、企業の責任は変わったのでしょうか。
責任は変わっていませんが、より明確に認識できるようになりました。企業も、行政や市民社会と同じように、慢性的かつ加速度的に進行する環境危機や社会危機に対応する、あるいは最低でもみずからの行いを一掃する義務があります。いまこそ、ミルトン・フリードマンの思想をくつがえし、その代わりに、ビジネスの唯一の目的は人間の衣食住のニーズを満たすことであると言うべきでしょう。そして同時に、人間が奪った分だけ地域社会や自然界に還元することでもある、と。

10年前と比べて、より責任ある企業の数は増えましたか。
はい、確実に増えました。Bコープ運動は非常に盛んです。旧態依然とした企業は、地球を破壊しているという悪評や、それにつづく訴訟を心配しています。若い人たちは、かつてある大学の学部長が憤慨して私に言ったように、悪い企業では働きたくないと主張しています。

将来『レスポンシブル・カンパニー』の第3版では、何が伝えられることになるでしょうか。
私の望みは、民主主義が台頭し、不平等は減少していること、人類を含む自然界が事態を回復し、繁栄できるような生計の立て方を学んでいる、と言えることです。私たちはパタゴニアで、健全な生き方や働き方についてさらに多くを学び、発見したことを分かち合いたいと願っています。

ときどき、楽観主義者なのか悲観主義者なのかと聞かれることがあります。私はその中間だと思います。私が知るかぎり最も悲観的なのはイヴォンで、彼は自分を「ドゥームバット」と呼んでいます。しかし、それでも彼は自然界を守り、自然界を元の姿に戻すために正しいと思うことをするのを止めませんでした。その主体性の感覚は、楽観主義よりもずっと大切なものです。簡単だと思うから、あるいは可能だと思うからではなく、やらなければならないことだから変化を起こすのです。

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ネットプラス・リサイクル・ナイロンから作られたブレオ製のスケートボードを持ち上げるヴィンセント・スタンリー。Photo : Tee Smith

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