ごまかしがないショット
写真家ゲイリー・レジェスターのレンズを通して見る70年代のパタゴニア。
写真とキャプション:ゲイリー・レジェスター
1974年、当時ロサンゼルスのアートセンター・カレッジ・オブ・デザインの学生だったゲイリー・レジェスターは、授業の課題を仕上げるため、シュイナード・イクイップメントでじゃまにならないように撮影をさせてもらっていました。1週間かけてあれやこれやとショットを収めていくうちに、創業当初の従業員たちと仲良くなったゲイリーは、その後も時折ここを訪れては彼らの成長を記録しつづけるようになりました。ゲイリーと彼がそこで出会った友人たちはまた、パタゴニアが商業的な写真から、よりジャーナリズム的な方法にたどり着く過程を、知らず知らずのうちに助けていました。「笑顔のモデルに間違って着せたウェア」という大失敗を経験しながら、その協働が私たちの必要としていたスタイルを作り上げたのでした。それは私たちの創業者イヴォン・シュイナードが呼ぶところの、「リアルな人間がリアルに取り組んでいる様子をとらえる『ごまかしがないショット』」という方法です。私たちは創業50周年を祝うにあたり、みずからに問いかけます。
私たちは何を持っていき、何を置いていくのか。パタゴニアの写真部にとって、その答えは明確です。それは、私たちの写真における原則を貫くこと。次の50年はリフレームではなく、さまざまな背景や経験をもった視覚芸術家たちの非公式なギルドを育てるという新たな取り組みです。本物に対する審美眼をもった、そして初代アートディレクター兼写真編集者だったジェニファー・リッジウェイが呼んだ「正しい心構え、正しい精神」をもったアーティストたちの開拓です。それは未来のゲイリー・レジェスターと言ってもよいでしょう。
「私たちは魔法を放つ写真が好きです」とジェニファーは記しています。「これを言葉にするのはむずかしいけれど、ある種の像には構図を超えた精神があります」
――ハイディ・ヴォルプパタゴニア写真部長