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私たちはグリーンウォッシングを止められるのでしょうか?

エリザベス・L・クライン  /  読み終えるまで15分  /  フットプリント

細断機にかける準備としてリサイクル・ウールの端切れに水を噴射し、静電気を防止するガブリエル・ミケローニ。衣類のリサイクルは、それを回収し、分別し、細断し、梳き、紡ぎ、織り、布地を新たな生命へと準備する専門ビジネスのネットワークに依存している。イタリアのプラートにあるこの機械はリサイクル・ウールの細断に使用される。Photo:Keri Oberly

最近パタゴニアは衣料品業界がどれほど持続可能ではないかについての意識を高めようと努力し、みずからの影響を削減するための取り組みについて共有しています。私たちには衣類の製造方法を変える大きな力があります。この取り組みの一部として、パタゴニアはジャーナリストのエリザベス・クラインに依頼し、衣類を購入する際にどの主張が信頼できるかを知ることがなぜ困難なのかについて説明してもらいました。クラインは業界を暴いた『ファストファッション: クローゼットの中の憂鬱』、および良いことをしながらおしゃれをするためのガイド本『シンプルなクローゼットが地球を救う』の著者です。彼女はフリージャーナリストとして執筆することを条件に、この課題に同意しました。彼女のルポは私たちを緊張させましたが、それは重要なことです。私たちには目を光らせてくれる外の専門家が必要です。彼女はその役割を果たしてくれただけではなく、「エコ・フレンドリー」や「持続可能」などの言葉がなぜパタゴニア社内において汚い禁止用語なのかを裏付けてくれました。——編集者

あなたのInstagramのフィードが私のそれと似ていたなら、「地球フレンドリー」なトップや「気候変動と闘う」衣類、「持続可能な」パジャマ、「循環型」シューズ、何百万リットルもの水を節約したと主張するパンツなどの広告を、次々に目にするはずです。これらの広告が描写しているのは、アパレル産業が世界で最も汚染するそれから、地球にとってよいものへと奇跡的に変身したこと、です。しかしそれよりも可能性が高いのは、これがただのグリーンウォッシングだということです。この言葉は、企業が偽りの、または誤解を招く環境のための主張、あるいはあまり意味のないエコ・イニシアチブの誇張を意味します。そしてそれはファッション業界が直面する最大の問題のひとつです。

「グリーンウォッシングは重大な問題で、前進のおもな障害物です」とグリーンウォッシングを暴き、科学に基づいた持続可能性基準をファッション業界に推進する非営利団体〈ニュー・スタンダード・インスティチュート〉のマキシーン・ベダットは語ります。グリーンウォッシングは危険なようには聞こえないかもしれません。しかし実際にファッションの環境的利益を過大に吹聴することは、消費者を混乱させるのみならず、不信感を植え付けて環境のための前進をスローダウンさせる可能性があることが証明されています。最近のイギリスの消費者アンケートでは、わずか5分の1の購買者がブランドの持続可能性の主張を信じています。そして他の研究では、洗練された環境意識を抱く消費者でさえ偽りのグリーンの主張に騙されることを示しています。「グリーウォッシングがあるかぎり、問題が何であるかを真に定義して、解決に向けて団結することはできません」とベダットは言います。

グリーンウォッシング自体は真新しいものではありません。これは1986年に環境活動家のジェイ・ウェスターヴェルドがフィージーへ旅行した際、環境保護の実績を謳う巨大リゾートの偽善にあぜんとして思いついたフレーズです。近年それはアパレル業界においてあまりにも蔓延し、それを嗅ぎ出すための助言を提供する雑誌の記事Instagram投稿というサブジャンルを触発したほどです。主要なテレビ番組もその主義を支持し、昨年、ハサン・ミンハジの『愛国者として物申す』は「生態学的に栽培されたコットン」や「持続可能に生産されたポリウレタン」などの曖昧な言葉で衣類を売り込むH&MとZARAを名指しにしました。より最近では、グリーン・マーケティングの猛攻にうんざりした『ファイナンシャル・タイムズ』紙のスタイル部門の編集者が「持続可能なファッションなんてものはない」と宣言しました。

このグリーンウォッシングの多発の影には数々の勢力があると専門家は言います。ある意味、それは急激に増加する持続可能性への関心という、非常に肯定的な変化の否定的な副産物です。持続可能な繊維に関する主張についての概要を設定し、より責任ある原料調達へ向けて業界を推進させる非営利団体〈テキスタイル・エクスチェンジ〉のディレクター、アシュリー・ギルは、「グリーンウォッシングは、何を求められているかと何をなさねばならないかのブランドの知識のあいだに存在する遅延だと、私は思います」と語ります。ギルいわく、これらのブランドは意図的に消費者の誤解を招いてはいるものの、その問題の起因は、概ね変わらなければいけないことに気づいたブランドがその方法をよく理解していないことです。彼女は「彼らはどのような戦略をとるべきかを理解しようと懸命なのです」と言います。

ベダットによれば、グリーンウォッシングのもうひとつの要因は、ファッション業界がもたらす環境への影響についての不良データが大量に出回っていることです。「産業は持続可能性に興味を抱き、新しいコレクションを「グリーン」だと宣伝しますが、それらの主張はほぼ、あるいはまったく、事実に基づいたものではありません」と彼女は語ります。よく言われるファッション業界が地球上第2の汚染者だということは神話であることがわかりました。業界のカーボン・フットプリントは世界の炭素排出量全体の4%から最大10%だと測定されています。〈ニュー・スタンダード・インスティチュート〉は偽りの主張を暴くため、ウェブサイトに信頼のおける情報源から持続可能性についての情報をまとめ、ブランドとジャーナリストが使用できるようにしています。彼らがグリーンウォッシングにゴム印を押すことがないように、です」とビダットは言います。

それでもファッション業界のあまりにも多くの主張がうつろに響く、より深くより体系的な理由があります。それはブランドと製造業者があまりにも離れ、サプライチェーンが複雑であるという、この産業の構造に関連しています。この産業の環境への影響の大多数が製造工程と原料資材の製造に起因します。ギルは「影響はサプライチェーンの一番下で起こる」と語り、驚くべきことにサプライチェーン全体を追跡できるブランドがほとんどないこと、「全製品にわたって原料資材レベルの調達地図をはっきりと描くことのできる会社は、ほぼ存在しません」と付け加えます。すなわち、ほとんどのブランドはそのビジネスにおいてほぼ知識のないことについて主張しているのです。

アパレル産業の低価格と巨大規模の相互作用の問題も存在します。同セクターの経営は、概ね大量の低価格の製品を製造する志向の大規模な企業によっておこなわれています。昨年独自の持続可能な製品ライン、オーク&エイコーンを発足したミコ・アンダーウッドは、それ以前に大規模ブランドのデザイン・ディレクターとして勤めていましたが、製品を安価に製造するこの圧力は、会社がよりグリーンになるための大幅な変更を妨げると言います。「会社がH&MやZARAなどの市場を独占してきた巨大ブランドと対抗せねばならないとき、グリーン化がとても困難になります」とアンダーウッドは語ります。代わりに、大規模ブランドは多くの消費者がグリーンな製品を求めていることを知っており、そこには環境に配慮したコレクションや一握りの製品を「グリーン」への転身として売り込むことへの誘惑があります。「持続可能性はキャッチフレーズとなり、ただの策略となるのです」とアンダーウッドはいくつかの大手企業について言います。同じように、ギルは巨大ブランドが持続可能性に焦点を当てることの難しさを「巨大な船を回転させる」ことにたとえます。

“グリーンウォッシングは、それについていく規制機関の能力をしのいでいるようです”

最初から立ち上げることの方が簡単なこともあり、それがニソロ、オーガニック・ベーシック、ガールフレンド・コレクションなどの新興企業、そして持続可能性をそのDNAとするオーク&エイコーンのような独立デザイナーが続々登場している理由です。しかし小企業にもグリーンウォッシングができる、ということにも言及する価値があります。私のInstagramのフィードに出現する広告はすべて、小規模と中規模のブランドからのものです。広告弁護士のランドール・シャヒーンは一部の新興企業がグリーンウォッシングの最悪の違反者であることに同意します。「心根は良くても、広告の主張はそうではありません」と彼は言います。新参の企業はグリーン・マーケティングを規制する連邦政府のガイドラインへの理解が不十分である可能性がより高く、さらに発足前に法的助言を得ている可能性もより低いのです。「トラブルに陥るまでは彼らからは連絡を受けません」と彼は言います。

ファッション業界のグリーンウォッシングのアウトブレイクを進める多数の力を考えると、それを癒すためにできることはあるのでしょうか。規制は明らかな出発地点です。たとえば、ノルウェー政府はH&Mを厳重に取り締まりました。同社のコンシャス・コレクションが実際にどう環境にとって良いのかについての説明が不足しているからです。アメリカでは、「偽りおよび詐欺」広告を阻止するのは連邦取引委員会(FTC)の仕事で、FTCのグリーン・ガイドでは、環境への主張を広告に使う際には企業がどのようにそれにアプローチすべきかの徹底的な規則を定めています。

ときおり、FTCはこれらの規則を施行します。2013年2015年、FTCはアマゾン、メイシーズ、シアーズなどを含む数々の大規模アパレル小売店に対し、衣類が竹製であると不当表示を行い、環境に配慮したものであると表記したことについて民事罰則を提示しました。竹製の生地はビスコース・レーヨンあるいはリヨセルの一種で、植物と樹木を化学的に粉砕して作られています。それゆえに、FTCは製品をグリーンとして広告に出したブランドに罰金を貸しました。実際は「刺激の強い化学薬品の使用が関与していたのにです」とシャヒーンは言います。

しかし規制の施行をさらに進める方法があるかもしれないと、政府機関のコンサルタントでファッション政策のウェブサイト、ポリティカリー・イン・ファッションの創始者であるヒラリ-・F・ジョクマンスは言います。彼女いわく、それには消費者が政治に関与することが必要です。「これらの問題のための対話が必要であり、それはコミュニティが声を高めることからはじまります」 アメリカの消費者はFTC.govで誇大広告の苦情を提出するか、877-FTC-HELPに電話で連絡することができます。さらにジョクマンスは言います。究極的に必要とされるのは、最新の科学を反映し、「持続可能」などといった業界が使う用語を明白に定義するためにグリーン・ガイド(最後に改定されたのは2012年)に大幅な改定を入れることであり、この改定には米国下院エネルギーおよび商業対策委員会がよい立場にあると。

もちろん、すべてのブランドが消費者を騙そうとしているわけではありません。ほとんどのブランドがそうでないかもしれません。アパレル産業に、より資源を節約させ、汚染を削減させるための信じられない力が存在し、そしてそれが何を意味するかについての総意も膨らんでいます。リサイクルであれ、オーガニックやリジェネラティブ・オーガニックであれ、あるいはその他の数多くの可能性であれ、より多くのブランドがエコ・フレンドリーな原料の調達へと移行しています。たとえばオーク&エイコーンはアップサイクルされた原料、ヘンプ、リサイクル繊維のリフィブラなどを使用します。パタゴニアは最近ナノ・パフ・ジャケットのインサレーションを100%リサイクルに切り替え、同製品の炭素排出量を230トン削減しました。

持続可能なブランドはまた、製造工程を検証するブルーサインあるいはリサイクル原料の採用を検証する〈テキスタイル・エクスチェンジ〉のグローバル・リサイクル基準などの第3者機関の認証を使用し、消費者の信頼を得ています。持続可能なアスリージャーであり、日常着のブランドであるプラナは、これらの第3者機関の認証に大きく依存する企業です。

その他のブランドは自社製品の影響を炭素排出から水使用まで測定し、そのデータを消費者向けに公開しています。最近の多くの例のひとつに、フットウェアのカーボン・フットプリントを公開したオールバーズがあります。〈テキスタイル・エクスチェンジ〉はまず第一歩としてサプライチェーンのマッピングを企業に推進しています。「持続可能性を真実、正真正銘かつ正直なものとするためのひとつは、透明性をできるだけ高めることです」とギルは語ります。彼女は透明性の先導企業としてパタゴニア、アイリーン・フィッシャー、フェールラーベンを挙げています。

グリーンの主張に関して言えば、企業への助言はかなり率直で、「それらはつねに実証されるべきだ」ということです。「『私たちの衣類は持続可能だ』と言うときは、こうも言うべきなのです。『これらが、私たちが遵守し、指標とする持続可能性原則のいくつかです』」とシャヒーンは語ります。

これらすべては正しい方向へ進む重大なステップですが、ファッション業界のグリーンウォッシングについての議論すべての根底には、もっと大きな会話が潜んでいます。私たちは、本当はグリーンウォッシングについてではなく、この惑星の生命の未来について語っているのです。ファッション業界全体の環境への影響は(パンデミックにおいて歴史的な衣類購入の削減が起きた2020年以外は)、毎年増加しています。2019年のボストン・コンサルティング・グループとグローバル・ファッション・アジェンダの年次報告書『Pulse of the Fashion Industry(ファッション産業の脈拍)』のアップデートでは、ファッションにおける持続可能性への前進は減速しているようだと報告しています。「グリーンウォッシング」という言葉が最初に作られて以来、気候変動と持続不可能な資源消費は重大なレベルに達しています。かつては煩わしかった環境的利益の誇大広告は、いまや長期的な存続への脅威となり得るのです。

私たちはグリーンウォッシングを止められるのでしょうか?

メキシコのメリダにあるパタゴニアのサプライヤー、ジオテックス工場でTシャツの糸へと紡がれるリサイクル・コットン。Photo:Keri Oberly

カリフォルニア大学サンタバーバラ校の環境科学者ローランド・ガイアーいわく、製品はしばしば消費者の行動と市場を予期せぬ方法で変えるため、真に「グリーン」な製品というものありません。ガイアーがビジネスと持続可能性の専門家であるトレヴァー・ジンクと共著した2016年のグリーン製品の研究での指摘にはこのようなものがあります。たとえば、リサイクル含有製品はバージン素材の生産を増加させることがあります。またグリーン製品の一部は、製品がより安価であったり、消費者がそれをより多く消費する自由と勘違いすることにより、全体の消費を増やすことにつながるのです。さらに「企業は環境への前進よりも早く成長することがあります」とガイアーは言います。たとえばパタゴニアは近年劇的に成長しており、持続可能性企業としての評判により会社が成長している、という逆説的な証拠もあります。

それゆえ、グリーンウォッシングの究極的な解決策は、企業がサプライチェーンの追跡のために取り組み、完全な環境へのフットプリントを公開することなのです。〈ニュー・スタンダード・インスティチュート〉は巨大ブランドにそれを強く勧めています。つまり農場から工場、そして小売店まで、ビジネス全体における炭素排出の影響と水およびエネルギー使用の公開です。一握りの新興ブランドはその誓約準備をしていると、ベダットは言います。そしてそれまでは、ブランドはその大小にかかわらず、つねに正道を進み、持続可能なファッションはいかなる意味においても実際には存在しないことを顧客に思い出させることができます。その代わりとして、ブランドは環境フットプリントを削減するために何をしているかを伝えることもできます。「これらの企業は持続可能なブランド、または製品はないことを明確に伝えることにより、一役買うことができるのです」とベダットは語ります。

信じがたいことに、この過激的に正直なアプローチをとるブランドが存在します。ストリートウェアのブランドであるNoah(ノア)は、持続可能な衣類会社などは存在しないと宣言します。同社は持続可能性原料と責任ある資材調達慣行を採用しながらも、「私たちは決して持続可能であること、あるいはそれに近いことすら主張したことはありません」と創業者のブレンドン・バベンジンは語ります。よりグリーンへと移行することを誇張するのではなく、どういった意味において持続可能性に欠けているかを公に認めるブランドが増えている、という証拠もあります。

どのブランドも実際には衣類製造の影響をゼロにする方法を発見してはいません。ですからブランドはそのメッセージの音量を少し、あるいは大幅に下げるべきです。ファッションは惑星に重大な影響をもたらします。そしてそれが決してグリーンとは言えないことには、一理あるのです。

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