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エコバッグ・シェアリング

パタゴニア  /  2022年3月3日  /  読み終えるまで7分  /  フットプリント

実証実験、参加者、協力者、絶賛募集中

イラスト:ヤマグチカヨ

パタゴニア日本支社は、2020年8月、「パタゴニア直営店では、2020年8月26日にてお持ち帰り袋の提供を終了しました。ご来店の際にはマイバッグのご持参をお願いいたします。」というお知らせをウェブサイトに掲載し、同時に、各家庭で使用されずに眠っているエコバッグ(他社製も含む)を回収し、循環、共有する仕組み「エコバッグ・シェアリング」を開始しました。

この時点で、お持ち帰り袋(私たちの社内ではショッピングバッグをこのように呼んでいます。)が不要だった割合は、パタゴニア直営店で商品をご購入いただいたすべてのお客様の83.4%でした。そして、2020年9月~2021年8月の平均は97.3%、つまり100名のうち、新たなお持ち帰り袋を必要とされたお客様は約3名にまでになりました。

日本の一人当たりのプラスチック容器包装の廃棄量は主要な地域・国の中で2番目に多いこと、廃棄物処理にかかる社会的コストの増大、海洋プラスチック汚染など、プラスチックに起因する社会問題を背景に、政府が日本全国でプラスチック製のレジ袋を有料化したのは2020年7月1日です。その3か月後、環境省がレジ袋の消費量が多い業界団体にヒアリングした結果によるとスーパーではレジ袋有料化が義務づけられる前の辞退率57%が有料化後は80%に、コンビニは23%から75%になり、ドラッグストアではレジ袋使用量が84%減ったとのことでした。

コンビニなどで購入する製品と、パタゴニアのような衣料品が中心の店舗で購入する製品の違いを考慮すると、パタゴニアのお客様のご協力によるお持ち帰り袋の辞退率97.3%は、驚異的な高さです。これは全直営店の平均で、いくつかの直営店は99%を超えていますが、逆に90%前半の直営店もあります。

エコバッグ・シェアリング

一方で、「エコバッグ・シェアリング」でご用意できたエコバッグは、お持ち帰り袋が必要とされるお客様数には達することができず、利用したお客様からのご返却率も23 %であったため、「お持ち帰り袋の廃止」を宣言したにも関わらず、実際には直営店では何らかのお持ち帰り用の袋をご用意せざるを得ない状態が続いていました。

この結果から、私たちがどのようなことを学べるのでしょうか。これらの数字に満足して良いのでしょうか。社会にインパクトは出せているのでしょうか? どうやったら、さらに前進できるのでしょうか。何が「前進」なのでしょうか。

私たちが出した答えは

“「お持ち帰り袋の辞退率97.3%を100%にすることではなく、お客様と共に問題の根本原因となっている既成概念を再考し、インパクトを拡げること」”

私たちがあえてお持ち帰り袋の「廃止」まで踏み切った理由のひとつは、素材は何であれ、当たり前に配られ、私たちが無意識に受け取ってきたレジ袋を通じて、現代の多くの環境・社会問題の根本の原因になっている“take-make-consume and dispose(取って、作って、消費して捨てる)”というリニア・エコノミー(直線型経済)へ疑問を投げかけることでした。

そして、今では、当たり前になってきつつある、出かけるときは、リユースできるお気に入りのマイバックをひとつ(あるいは、いくつか)、常にバッグに入れておく。店舗でお買い物をする時には、長く使える、パッケージが少ない、あるいは背景にストーリーのあるモノを選択していく。こうしたライフスタイルを広げるきっかけになることは、小さくとも大きな一歩となると考えていました。

環境NGO、Center for International Environmental Law (CIEL、国際環境法センター)は、 2019年に公表した報告書【Plastic & Climate:The Hidden Costs of a Plastic Planet(プラスチックと気候:プラスチック・プラネットの隠れたコスト)】の中で、「もしプラスチックの生産と使用が現在の計画通りに拡大すれば、2030年までに温室効果ガス排出量は年間1.34ギガトンに達し、これは500メガワットの石炭火力発電所を295基以上新設した場合の排出量に相当します(注:神奈川県横須賀市で建設が進む火力発電所は1基650メガワット)。さらに、2050年までには、残された炭素予算全体の13パーセントを占めるようになる可能性があります」と述べています。

つまり、海洋プラスチックごみの問題だけでなく、気候危機の側面からも、プラスチック製品のほんの一部分でしかない「レジ袋をもらわないこと」だけが大切なのではなく、「プラスチックの生産量、焼却量全体を減らす」ことが必要なのです。

エコバッグ・シェアリング

また、マイバッグについてしばしば指摘されることが、原材料の抽出、精製、製品の製造、出荷のための梱包、輸送、流通、使用、リサイクル、最終的な廃棄を含むライフサイクルにおける環境影響を分析(LCA)した場合、プラスチック製レジ袋よりも環境影響を低くするためには、繰り返し何度も使い続ける必要がある、ということです。

日本LCA学会の研究発表会における、中国で製造するポリエチレン製レジ袋とポリエステル製マイバッグを比較した報告「環境配慮行動支援のためのレジ袋とマイバックのLCA」によると、「1枚あたりのCO2排出量は、マイバッグの方がレジ袋に比べ約50倍大きいことがわかった」とし、「買物客は耐久性の高いマイバッグを選択した上で、自身の繰り返し利用回数の向上を心がける必要がある」と述べています。

また、私たちがお持ち帰り袋を廃止する際に話し合ったもうひとつの想定は、2020年7月に全国でレジ袋が有料化するのに合わせて、社会全体でエコバッグの販売や配布が増加し、私たちひとりひとりの手元に残るエコバッグのストックが増えていくだろう、ということでした。

さらに、もうひとつ紛れもない事実が、私たちがいくら店頭で「お持ち帰り袋を廃止しています」と書いたPOPを張り出しても、Eメールニュースで呼びかけても、こうしてブログで投稿しても、お持ち帰り袋を必要とされるお客様は様々な理由でゼロになることはない、ということでした。

そこで、出てきたアイデアが、冒頭でも書いた、各家庭で使用されずに眠っているエコバッグ(他社製も含む)を回収し、循環、共有する仕組み「エコバッグ・シェアリング」でした。

「シェアリング」は、サーキュラー・エコノミー(循環型経済)を創っていく上でとても有効なツールであり、共助の仕組みです。「エコバッグ・シェアリング」はそのひとつです。なにより、パタゴニア直営店における持参率は、活動がもたらしたアウトプット(直接の結果)であって、目的ではないということです。私たちが目指すアウトカム(成果)は、顔を合わせることのないお客様どうしがパタゴニア直営店を介してサポートし合う仕組みの構築を通じて、消費行動を変化させることです。

エコバッグ・シェアリング

あるお客様の「お持ち帰り袋が必要」というニーズを、ほかのお客様が不要になったエコバッグを回収・循環させることで満たす共助の仕組みにより、新たなエコバッグの製造に伴う新たな天然資源の採取やCO2排出を防ぎ、焼却を減らすことを目指す実証実験「エコバッグ・シェアリング」。私たちはその先にある辞退率100%がイメージできています。参加者、協力者、絶賛募集中です。

エコバッグ・シェアリング

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