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高地砂漠で手を貸す

パタゴニア  /  2019年11月5日  /  読み終えるまで6分  /  ワークウェア

オレゴン南東部のスティーンズ・マウンテン・コーペラティブ・マネージメント&プロテクション・エリアで古い有刺鉄線のフェンスを除去する〈オレゴン・ナチュラル・デザート・アソシエーション〉のマイケル・オケイシー。過去の放牧によって残されたフェンスを取り除くことで、自生の野生動物が景観のなかでふたたび自由に徘徊することができる。Photo: Sage Brown

低地を去り、東へ向けて登って行くと、周囲の景観はかなり違ったものになります。カスケード山脈が東西を区切る海側は深い森林、そして内陸側はウィラメット・バレーの肥沃な土地が、開かれた放牧地や岩が点在し、乾燥したオレゴンの高地砂漠の紆曲する渓谷へとつづきます。

厳しい冬と太陽に照りつけられる夏、そして通年強風が吹く高地砂漠は、最も強靭で順応性のある種にとってすら、つねに困難な環境です。そうした挑戦は変動する気候と人間が招いた生息地の劣化によってさらに厳しくなりながらも、高地砂漠はいまなお純粋な野生と偉大なる生態系の多様性が見られる場所であり、〈オレゴン・ナチュラル・デザート・アソシエーション(ONDA)〉はそれらの特性を守ろうと熱心に働いています。

オレゴン州ベンドを拠点とする〈ONDA〉は高地砂漠で広範囲な生態系の復元プロジェクトに取り組んでいます。パタゴニアは環境助成金プログラムを通して彼らの仕事を支援し、またフィールドテスターとしての彼らから、パタゴニアのワークウェアに関する貴重なフィードバックを得ています。

高地砂漠で手を貸す

〈オレゴン・ナチュラル・デザート・アソシエーション(ONDA)〉はオレゴンの高地砂漠でボランティアをハンズオンの保護および修復活動と結びつける。10年以上もスティーンズ・マウンテンのボランティアとして働いてきたクレイグ・テリーと〈ONDA〉のスチュワードシップ・コーディネーターのマイケル・オケイシーが、その日の目標について会話する。Photo: Sage Brown

「オレゴンの高地砂漠は健全で広大な土地を必要とするプロングホーンやキジオライチョウ、その他多くの野生動物の生息地です」と〈ONDA〉のスチュワードシップ・プログラムのディレクターであるベン・ゴードンは語ります。「多くの場所では生命の多様性はまだ残されていますが、同時に景観を損なう活動も長年たくさん行われてきました」

毎年〈ONDA〉のスタッフは2,600万エーカーにおよぶ砂漠の公有地と私有地の両方でのマルチデープロジェクトに500人以上のボランティアをリードします。仕事は放牧によって影響を受けた川岸に植物を植え、野生動物を妨げる不要となった有刺鉄線のフェンスを取り除き、管理および保護を命じられた政府機関を援助するために野生動物の生息地と野生地の状況を監視します。またオレゴン州の最も遠隔地のいくつかを通過する1,200キロに及ぶルートの「オレゴン・デザート・トレイル」を着想し、その促進もつづけています。

「フェンス撤去の仕事は生息地の質を修復し、公有地の状況を監視するための大規模な高地改善戦略の一部です」とゴードンは語ります。「私たちは不要となった、野生動物の移動を妨げる有刺鉄線のフェンスを抜いて、取り除きます。また有刺鉄線の上部と下部を置き換えて、プロングホーンが下部をくぐり、ミュールジカとヘラジカが引っかからずに上部を飛び越えられるよう、フェンスの修理もします」

高地砂漠で手を貸す

重さ125トンにも及ぶ100キロメートル以上のフェンスをスティーンズ山脈から除去した〈ONDA〉のボランティアたち。最後の有刺鉄線を取り除き、97,000エーカーの野生地をフェンスのない場所にしたことを祝うスタッフ(左から右):アーロン・ヘリクソン、アンドリュー・スーレック、クレイグ・テリー、エリッサ・リンデンメイヤー、アンバー・ラメット、マイケル・オケイシー、コリーン・ハンデルマン、クリフォード・ローン。Photo: Sage Brown

ゴードンはこうつづけます。「渓谷の底では、川岸に沿って自生植物群を復元させることで、気候変動に対してできるだけ弾力性をもつ砂漠の河川システムを作ることを目的とした川岸復元プログラムを行なっています。これらの川岸地域は何十年も過放牧されてきましたが、いまでは河川の回廊に牛を近づけないことの恩恵を認識する意欲のある土地所有者や機関のパートナーがいます。新しい管理計画または適切なフェンスが設定されたら、私たちのボランティアが自信をもって植物を植え、より多くの日陰を作ることによって、砂漠の河川をなるべく冷涼に保つ手伝いをします。ボランティアはこれらのプロジェクトで、週末だけで500から1,000の自生植物を植えます。それはとても厳しい仕事ですが、植物をひとつ残らず植えるために、彼らはせっせと働きます」

川底から尾根まで、〈ONDA〉のプロジェクトの多くは道路が通っていない野生地で行われます。よって、プラスキアックスやマクラウド熊手、そして杭を取り除くための重いハンドツールを手にバックカントリーを何キロも歩かねばなりません。「各々平均14キロほどのツールとキャンプ用装備を運びます。それはきつく、時間を要する仕事ですが、私たちのボランティアは全員が熱心です」とゴードンは言います。

高地砂漠で手を貸す

スティーンズ・マウンテン・ウィルダネスでの長い1日のあとにキャンプ。18年前、この場所はオレゴンの高地砂漠でははじめて原生地域指定を受けた場所となった。この野生の特徴を保護するため、〈ONDA〉は管理計画を固める手助けをし、工業エネルギー開発に反対し、野生動物を危険にさらすフェンスの撤去を行なってきた。Photo: Sage Brown

〈ONDA〉の公有地におけるプロジェクトに加えて、私有地の復元を支援するために、同組織は土地所有者とパートナーシップを組んでいます。

「ジョン・デイ・リバー盆地では土地所有者のパートナーと効果的に仕事をしました」とゴードンは言います。「さらに政府の助成金によって指示された私有地復元プロジェクトも実行してきました。土地所有者は〈ONDA〉のボランティアの生産能力を認識し、彼らの多くは重機を運んでくるのではなく、手で仕事をするボランティアを好みます」

「これらのプロジェクトが生じるのは、野生動物の生息地を重視する共通の利害によるものです。ともに働き、1日の終わりにキャンプファイヤーを囲んで物語を分かち合うとき、以前はこの種のプロジェクトに関して慎重だったかもしれない土地所有者も、〈ONDA〉のボランティアが純粋に高地砂漠の健康さを改善することを願っていることを認めます。ボランティアは砂漠全体を助けたいがためにそこに存在し、その結果、土地所有者の私有地も改善しています。それは両者に利点をもたらすもので、より多くの土地所有者と仕事をする可能性を砂漠全域で探っています」

「究極的に、私たちは自生魚と野生動物の生息地のためにできることすべてをやりたいのです。そしてここに存在する強靭な地域社会が繁栄するのを目にしたいのです。だから私たちが重要視するのは資源、つまり高地砂漠自体がなるべく健全であることをたしかにすることなのです」

ワークウェア

ワークウェアは私たちにとっては目新しいものではありませんが、労働を重んじるパタゴニアの一面を再考できることに胸を躍らせています。重労働に耐えるよう開発された実用主義の製品ラインを構成する作業用の上着やシャツ、ズボン、半ズボンや胸当ての付いたズボンには、非常に丈夫で長持ちする素材を使用。新たに開発したオール・シーズン・ヘンプ・キャンバスは、軽量で驚くほどの耐久性がありながら、着慣らす必要はなく、気温が上昇する日にも弾力性と自由な動きを提供し、フェアトレード・サーティファイドの縫製を採用しています。全コレクションはpatagonia.jp/workwearをご覧ください。

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