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より良く知り、より良く行動する

デイヴ・ラストヴィッチ  /  読み終えるまで7分  /  フットプリント, サーフィン

スリランカのコロンボ近郊でパタゴニア製品を製造するフェアトレード認証済みの工場、MAS アクティブ・レジャーラインに足を踏み入れると、感覚をまず刺激するのはその音だ。

鮮やかな緑色の作業服を着た数百人の従業員が、蛍光灯の白い光の下で列をなす裁断機とミシンを操作している。スリランカの伝統音楽が機械に負けない音量で作業場に流れている。僕は騒音のなかに立ち、パタゴニアのサーフィン製品がどこで、誰の手によって作られているのか、また従業員がどんな待遇を受けているのか、もっとはっきりと理解しようとする。

長いあいだ、衣料品業界では透明性は皆無に近かった。僕たちが衣類を購入するとき、それがどのように作られているのかに関心をもつことはまずなく、ましてや製造工程で発生する人間や生態系への影響に関してはなおさら。それでも子供のころからサーフィン文化やサーフィン産業にどっぷりと浸かってきた僕は、自分たちのギアを作っている人たちに正しいことをしているかどうか、いつも知りたかった。もっと良くすることができるのではないか、と。同じ疑問は多くのサーファーも感じていたことだろう。ただこれまでは、なんらかの現実的な答えは得られなかった。なぜならギアの多くがどのように作られているかという現実を公開することは、サーフィン産業にとっては単純に、あまりにも気まずいことだったからだ。

パタゴニアはサーフィン界で新たな一歩を踏み出している。一層の努力を重ねて正しいことをすることを目指し、できる限り多くの製品をフェアトレード・サーティファイドの工場で製造している。今回ここスリランカを訪問している僕は、フェアトレードが現場で実際にどう機能しているかを目にする機会を得た。僕はこの訪問がどのような安心感を与えてくれるのかに興味がある。その工程の最後にいる消費者たちに、そして僕自身に。

より良く知り、より良く行動する

MASアクティブ・レジャーラインの従業員約525名(清掃員と警備員を含む)が、2016年にフェアトレードのプレミア賃金を受け取った。スリランカ、カトゥナヤケ。Photo: Jarrah Lynch

作業室内での僕の最初の思いは「ワォ、これがフェアトレード工場なのか。作業環境は強烈だし、ずっと曲がかかっている。他の工場のスペースがどれほど急進的なのか想像できない」だ。だがこの大きな部屋は騒がしいけれども清潔で、空気は涼しく、呼吸も容易だ。

工場のマネージャー、チャンドラ・バンダラが製品ラインのはじめにあるガレージからツアーを開始する。上げられたガレージの扉からは、トラックに積まれた布ロールが見える。ロールが機械に取り付けられると、一定のペースで布が広がっていき、素材の欠陥を作業員が検査していく。はじめから、この最初の工程が明らかに示していた。衣類を製造するのは自動化された工程ではないということを。本物の技術をもつ本物の人間が必要なのだ。

素材の検査を担当するのはチャミンダという名の男。彼は目を左右に素早く動かしてロールの布を走査し、僕には決して見つけられそうにもない小さな欠陥を探知していた。彼は工場のユニフォームを着ているが、つま先にスチールキャプの入った尖った黒革の安全靴を履いている。彼は僕が靴を凝視しているのに気づくと笑って、両方の眉毛を上げながら、僕に向かってスリランカ風に頭を揺らし、布の走査に戻る。

僕は「スムーズ・オペレーター」とひとりごちる。

次の工程は布地にアートをプリントするもので、正しい色の配分でアートを正確に配置しなければならないチーム員の技術がはっきりとわかる工程だ。ツアーがはじまってから数分たらずで、僕の見識はすでに崩壊している。僕は近代の工場はほとんどが機械化されていると思っていた。だが僕が目撃していたのは、アパレル製造業が人間の才能に依存しているということだった。従業員の手と目の協調具合は驚きで、すぐに僕は改めて彼らの仕事ぶりを称賛する。笑って軽口をたたきながら仕事をする彼らは、僕がスリランカ風に頭を揺らしてみようとすると、また笑った。

より良く知り、より良く行動する

MASレジャーラインを見学中のパタゴニア社員デイヴ・ラストヴィッチ、ベリンダ・バグス、ハブ・ハバード。 Photo: Jarrah Lynch

工場見学は一日中つづき、そしてどの工程でも明らかなのは、僕たちがアウトドアで使用するサーフィン用のシャツやボード・ショーツ、あるいはその他のギアの製造の中核を成すのは、高度な技能を要する作業だということだった。僕たちが頼みにしている工場はたんに機械が豊富なだけではなく、多くの人びと、つまり家族があり、歴史があり、未来のある人びとで満ちている。しかしこうした労働者たちはあまりにも長いあいだ、産業界によって見て見ぬふりをされてきた。

社会の片隅にたびたび追いやられるこのような人たちに対して、同じ人間という家族として、価値、認識、尊敬という念を示し、不当な扱いの現実を打ち破るのがフェアトレードだ。しかもその恩恵は概念にとどまらない。MAS の従業員は民主制の労働者委員会が選んだ日常品をフェアトレードの賞与で購入したときの、お祝いの写真を見せてくれた。福利厚生基金から支払われた 50 キロの米や粉ミルクや小麦粉を受け取った話を生き生きと語る彼らの表情は、改良の余地がまだまだ多い産業にとって、より良い行動の出発点にふさわしいと言える。

僕にとって、フェアトレードについて学ぶことはまた、社会的問題と環境的問題が密に関連していることを思い出させてくれる。最近若い女の子がパタゴニアの創業者、イヴォン・シュイナードになぜ自然を気遣うのかと尋ねたとき、彼はただシンプルにこう答えたという。「僕がその一部だからだ」 僕らの息づく肉体とそれを維持する息づく生態系のあいだに垣根はない。生態圏との僕らの共生的な関係が示すのは、人が人を気遣うことはまた、人が生態系を気遣うことであるということ。だから社会的により良い行動をすることはまた、生態系にも良いことなのだ。

より良く知り、より良く行動する

スリランカへの旅は必ずサンドのポイントブレイクで締めくくられる。Photo: Tommy Schultz

サーファー、クライマー、ハイカー、セイラーであること、または朝日が昇るのを静かに見つめたり、鳥のさえずりに耳をすます人間として、僕らはしばしば自然のなかでこうした相互接続された関係を垣間見る。自己という感覚が拡張されるこうした瞬間は喜びだ。これと同じように、フェアトレードは僕らが買うものを作ったり、あるいは収穫してくれる人への認識と尊敬の念を伝えるのだ。

日没時に工場をあとにしながら、僕は帰途につく従業員の姿を見る。工場内の機械は静まりかえり、仕事仲間たちと笑いながら連れ立って歩く彼らは、家族のもとへ帰って行くのを楽しみにしているのだろう。僕は自分が着ているシャツとショーツに目をやり、生まれてから今日まで、誰が作った服かを深く考えることもなく、誰かが作った服を着てきたことを認める。そしていま、このシャツには物語があることを実感する。

もちろん、どの服にも物語はあった。ただ必ずしも誇りに思える物語でなかっただけ。フェアトレードはこれらの物語を、僕たちに必要な、また僕たちが聞きたくて共有したいと思う物語に変える。

こうしてより良く知った僕は、自分に誓う。いまこそより良く行動するときだと。

このストーリーの初出はパタゴニアの2017年Surfカタログです。

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